Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

もう1つの言論戦: ハーバードでのジム・ツアーとリー・クローニン

This is the Japanese translation of this site.

 

ケイシー・ラスキン
2024/1/11 6:55

 

2023年11月28日、ライス大学の化学教授ジェームズ・ツアーとグラスゴー大学の化学の教授リー・クローニンが、生命の起源についてのハーバード大学でのラウンドテーブルに参加しました。このイベントは、『Cambridge Faculty Roundtable on Science and Religion』が主催しました。2023年5月にライス大学で開催された、YouTuberのデイブ・ファリーナとの討論に比べれば、火花ははるかに少なかったでしょう。しかし、その修辞的力学と結果が類似していたのは印象的でした。すなわち、ツアーはその夜の大半を、科学についての話に費やしました。地球のような自然の条件下で、(1) ポリペプチド、(2) ポリヌクレオチド、(3) 多糖類、(4) 特定された情報を産み出す際の化学的な障害と、(5) これらの構成要素を「統合された機能的生命システム」に組み立てる方法に焦点を当てたのです。クローニンは、デイブ・ファリーナよりは遥かに礼儀正しく、和やかでしたが、それにもかかわらず、ジム・ツアーについて話すのに過度の時間を費やしたという点で、ファリーナに似ていました。これには、ツアーが「怒鳴っている」という同じ奇妙な非難を何度も繰り返したり、ツアーが「過剰な批判」をしていると主張したり、ツアーが「みんな愚かだ」と言った、あるいはツアーがクローニンを「悪い化学者」と呼んだと主張したりすることも含まれていました。

 

単純に言って、そのようなことは何も起こりませんでした。ツアーは怒鳴りませんでした。彼は誰も 「愚か」とは呼びませんでした。彼は決してクローニンを「悪い化学者」と呼んだり、クローニンの科学的な適性を攻撃したりはしませんでした。そして、ツアーの科学的な質問や挑戦はまったく合理的なものでした。クローニンの修辞的戦略は、初期の地球で重要な生体分子がどのように生じたのかというツアーの質問に対して、彼の答えはゼロ — つまり、イベント中のクローニンの発言からすると、完全なゼロ — であるという事実から人々の注意をそらそうとして立案されたように見えました。その代わりに、クローニンは彼のカリスマ的な人格を利用して、私たちが生命の起源について「前進している」と人々に確信させ、いつの日か解決されることを信じるという信仰を持たせようとしました。

 

もしかするとそうなるかもしれませんし、そうならないかもしれません。しかし、クローニンはその解決策がどのようなものなのかについては何の示唆も与えませんでした。クローニンは確かに「アセンブリ理論」について議論しましたが、漠然とした比喩で話し、生命が化学物質からどのように生じたかという化学に取り組むことはありませんでした。ラウンドテーブルでの彼のパフォーマンスは、初期の地球の自然条件下で生命がどのように形成されたかについてのジム・ツアーの質問に対する答えを持っていないことを示していました。

 

前回の討論を振り返る

既に言及したとおり、私たちは5月に、ツアーとファリーナ (通称「デイブ教授」) の間の激烈な討論を目撃しました。その時、私は「言論戦?ツアーとファリーナの論争にどちらが勝ったかを見分ける方法」と題した投稿を書きました。数年前に、

 

インターネット上のある人から「言論戦」という主題で質問のメールを受け取りました。この人は、生命の起源と進化、およびインテリジェントデザインをめぐる討論では、専門家の間で行き来が激しく、非専門家にとっては誰が正しいのか判断するのが難しいことがある、という懸念を表明していました。

 

と私は記しました。あまり悩まないでください、と私は説明しました。なぜなら、「どちらが優れた論議を持っているかを素早く見極めるために、科学の博士号や文献を読むための際限のない時間は必要ない」し、「誰がより優れた論議を持っているのかを知りたければ、討論の異なる「側」の修辞的スタイルを検証することで、多くのことを語れ」るからです。

 

それから7ヶ月が経ちました。『Discovery Institute』の私の同僚たち (デイヴィッド・クリンホファーギュンター・ベヒリーブライアン・ミラー) は、すでに鋭い論評を寄せています。私も加わり、この「言論戦」の分析を継続し、修辞的スタイルを検証することで、どちらがより優れた論議を持っているかを決定する方法をさらに考慮したいと思います。

トゥール・ドゥ・フォルス: 依然として科学に焦点を当てる

最初にジェームズ・ツアーがラウンドテーブルで発表しましたが、ファリーナとの討論と同様、彼の冒頭陳述は100%科学に焦点を当てたもので、個人攻撃に陥ることはありませんでした。彼の論議は包括的で明確でした。

 

第1の点: 調査によれば、かなりの割合の一般の人々が、もちろん不正確なのですが、生命は実験室で作られており、生命の起源 (OOL) は本質的に解決されたと信じています。

 

第2の点: このような不正確な信念はどこかから来るに違いないのですが、最も可能性が高い容疑者は、生命は研究室で一から創造されている (あるいは間もなく創造される) と主張する著名なOOL理論家たちです。

 

第3の点: それでも科学は逆の方向を指しており、OOLの重要な問題は未解決のままで、それにはツアーが挙げた以下の部分的なリストが含まれます。

  • 「炭水化物、アミノ酸、ヌクレオチド、脂質のエナンチオピュア版をプレバイオティクス的に適切な仕方で作る」方法。
  • 重要な生物学的分子の「合成に、隕石や星間空間で見られる混合物が役立つ可能性がある」こと。
  • 「小さな分子から細胞への化学変化における物質移動の問題」を解決する方法。
  • 炭水化物のような分子を酵素なしで重合させる方法。
  • RNAペプチドのような重要な分子の寿命が数時間から数日のオーダーであるという、「ポリマーの安定性問題」を解決する方法。
  • 側鎖が反応して有用な構造の形成を妨げることなく、アミノ酸を連結してペプチドにする方法。
  • 最初の自己複製分子システムにおいて、「ヌクレオチド (あるいは糖やタンパク質が先に生まれた場合、それら) を順序付けるためのコードの問題」を解決する方法。
  • 「最も単純な細胞に必要な高次構造を誰も作っていない」こと。

 

第4の点: ツアーは他の問題も強調し、彼が最近発した「60日間の挑戦」で、OOLの指導的な理論家10人を、OOLに必要な5つの重要な側面のいずれか1つを説明するように招いたことを述べました。それらは、十分に純粋で長い (1) ポリペプチド、(2) ポリヌクレオチド、(3) 多糖類、(4) 特定された情報を作り、(5) これらの構成要素を「統合された機能的生命システムに」組み立てる方法です。その10人に回答をたきつけるため、ツアーは誰かが質問に答えたら、OOLを批判しているビデオを削除すると申し出ました。確かに、生命がどのように始まったかについての根本的な疑問の答えを知っている人がいるとすれば、それはこの10人でしょう。しかし、挑戦の最後になっても、誰も答えようとさえしませんでした。生命がどのような起源を持つかについてのツアーの質問に答えようと試みたOOL理論家は1人もいませんでした。OOL理論家にツアーが願っているのは、彼らの修辞を和らげ、一般大衆に対して彼らの分野の現状のもっと現実的な評価を提供し始めることです。

 

第5の点: ツアー教授は最後に、OOL研究のトレンドラインを暴露する力強い修辞的質問をしました。科学がより多くを学ぶにつれて、生命の起源についての自然な説明は手の届く範囲に近づくのでしょうか、それとも遠ざかるのでしょうか?ツアーの答えは明確でした。生命の複雑さについての知識を深める発見のペースは、生命がどのようにして自然に生じたかを説明しようとする試みをはるかに上回っています。OOLの化学が進歩するたびに、小さな問題は解決されるかもしれませんが、その一方で、細胞の複雑さについての知識は、はるかに大きなペースで増え続けています。このことは、生命の起源を解明する見込みが、常に「後退している」ことを意味します。 「問題はさらに深刻になります」とツアーは言いました。「私たちは化学については少ししか学びませんが、細胞についてはたくさん学ぶのです!」。

 

以上のことから、ツアーのプレゼンテーションが科学に大いに焦点を当てたものであることは明らかでしょう。彼はOOL理論家への科学的な疑問と挑戦を多くのスライドで説明しました。それでも、ツアーが彼の科学的懸念を取り扱うために10人の指導的なOOL理論家を招待したにもかかわらず、リー・クローニンだけが対話への招待を受け入れ、進んでこれらの疑問についての会話に応じました。クローニンが進んで対話に挑んだことは大いに賞賛に値しますが、彼は実際にツアーの質問に対処したのでしょうか?明日見てみましょう。