Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

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ハーバードでのクローニンとツアー: 研究者たちがデザインを理論に紛れ込ませる方法

This is the Japanese translation of this site.

 

ブライアン・ミラー
2023/12/12 6:22

 

最近、ハーバード大学で開催された起源の研究者リー・クローニンと合成化学者ジェームズ・ツアーによる生命の起源研究の現状についての討論を視聴しました。最も関連性の高い化学に焦点を当てたツアーのプレゼンテーションと、化学の詳細を完全に避けながら単にアセンブリ理論を説明したクローニンのプレゼンテーションを、ギュンター・ベヒリーがすでに対比させています。ここでは、ベヒリーの洞察力のある分析に基づき、無方向性の生命の起源についての信条を正当化しようとするクローニンや他の人達のすべての試みが、自然選択や自己組織化を装いつつ理論にデザインを紛れ込ませる方法を例証することにします。

 

クローニンのアセンブリ理論

クローニンは、生命の起源を理解するための枠組みとして「アセンブリ理論」を提示しました。私は、彼の意図しない方向で彼は正しいと信じています。彼は、生物学的複雑性の特徴を識別することによって生命を検出する方法としてアセンブリ理論を説明しています。それは、生物学的システムにおいて生成された、あるいは存在する生物学的情報あるいは「アセンブリ」の総量を定量化するものです。彼は、自然の過程は生物学的情報や秩序を産み出さず、だからこそ機能的情報や目的を持った秩序の出現が生命を指し示すことを認めています。彼の枠組みは、『The Design Inference』の両方の版 (こちらこちら) で提示されているウィリアム・デムスキーのデザイン検出装置の粗雑な形として機能しているように見えます。違いは、クローニンは秩序が自然選択によって生成されたと仮定することで、デザインという結論を回避していることです。

 

問題は、いわゆる自然選択は、高精度の自己複製が可能な完全に機能的な細胞がすでに存在してからでないと開始できないということです。単純な分子が自己複製し、生命に向かって進化するという仮説は、ツアーと私が以前に概説した理由 (こちらこちら) から、まったく信じ難いものです。指導的な起源の研究者であるスティーブン・ベナーさえ、論文「Paradoxes in the Origin of Life」の中で、自己複製する分子の自発的な出現は不可能に見えることを認めています。

自己組織化と準安定状態

夕食中の会話で、物理学者ランディ・アイザックともう一人の物理学者が、生命創造のメカニズムとして自然選択に自己組織化を付け加えました。彼らは、自己組織化過程は生命につながる一連の準安定状態を生成できると断言しました (こちらこちら)。

 

これもまた、証拠に基づいた主張ではありません。スティーブン・ベナーおよびもう一人の指導的な生命の起源の研究者マイケル・ラッセルは、生命を生成する自己組織化過程が存在するはずだという信仰を抱いていますが、彼らは経験的証拠と物理学と化学について知られているすべてが、それらが存在し得ないと示唆していることを認めています。化学システムは決して生命に向かって動くことはなく、常に遠ざかっていきます。わずかでも生命のようなパターンを生成する実験は、システムがその目的を念頭において注意深く設計されているからこそ、そのようにすることができるのです。

大衆を誤導する

起源の研究者は直感的に、生命がデザインの明確な証拠を呈示していることを認識していますが、彼らの哲学的コミットメントが、証拠が自然に導くところを認めることを妨げています。その代わりに彼らは、経験的証拠に支持された現実の過程としてではなく、創造的な天才のあらゆる偉業が可能な世俗的な半神として、自然選択と自己組織化に頼っています。素人には不可解な専門用語の背後に、このようなおとり商法が隠されているため、大衆は容易に誤導されてしまいます。

 

ジェームズ・ツアーやその他の専門文献を注意深く研究してきた人々は、ほとんどすべての生命の起源の研究が以下の3つのカテゴリーに分類されることにすぐに気づきました (こちらこちら)。

 

  • プレバイオティック実験: この部類は、初期の地球に存在した可能性のある分子から始めます。エネルギーを加えて、生成物を分析します。これらの研究は一貫して膨大な数の分子を生成しますが、生命に関連する分子はほんの数パーセントに過ぎません。大量の余計な分子が、アミノ酸、ヌクレオチド、糖の長鎖の形成を妨げます。すべての起源仮説はこの時点で破綻します。
  • 合成実験: この部類では通常、非現実的な高濃度かつ純度の分子を注意深く選ぶことから始めます。実験条件は、アミノ酸鎖のような生命に関連する生成物が得られるように注意深くデザインされています。もしこのような実験が現実的な条件で始められたら、生物学的生成物は微量にしか形成されず、生命へと向かう将来の段階を支えることはできないでしょう。付け加えると、初期の地球では、細胞のための前進基地が見つかるよりもずっと前に、より単純な分子に分解されてしまうでしょう。
  • シミュレーションと数理モデル: この部類では、生命の起源シナリオのいくつかの段階について、シミュレーションや数理モデルを創り出します。モデルは、非常に非現実的なパラメータや開始条件を採用した場合にのみ興味深い結果を産み出します。それらは、初期の地球で起こり得たこととは何の関連性もありません。

 

これらの部類の実験のいずれかが、無方向性の過程を通して生命が形成されることの妥当性を実証しているという主張は、その重要性を著しく誇張しており、メディアによる誇大広告です。

 

ツアーは、研究者たちが実験室で数年のうちに生命を創成するなどという非現実的な予測によって、大衆がいかに大きく誤導されてきたかについても述べました。クローニンは、研究者が予測に失敗した他の例を引き合いに出すことで、誇張を軽視しようと試みましたが、彼が引き合いに出した例は、ツアーが言及した非常に誤解を招く主張とは比較になりません。このような主張は、バッテリーの新しいデザインを発見したある研究者が、その研究によって10年以内にNASAが別の銀河系の惑星を植民することができると主張するのに匹敵します。問題は、大衆に証拠についての真実を提示すると、唯物論者が大切にしてきた哲学が体制の多くに対して維持してきた束縛を脅かすだろうということです。