Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

デイブ教授はジェームズ・ツアーとの「討論」で芸術的引用ブラフを披露する

This is the Japanese translation of this site.

 

ブライアン・ミラー
2023/5/24 10:56

 

YouTuberのデイブ・ファリーナ (通称デイブ教授) が先週金曜日、生命の起源の謎を解明する研究者の進歩についてジェームズ・ツアーと「討論」しました。やりとりは私の予想通りに進行しました。ファリーナは直ちに討論を乗っ取ろうとし、科学についての率直な議論から、ワールドレスリングのエキシビションマッチに類似したものに変えました。

 

侮辱やその他の悪罵を浴びせた後に、ファリーナは引用ブラフとして知られる名誉あるとは言えない討論技術を主にディベートのテクニックに従事しました。すなわち、技術文献を引用して論点を証明するという建前で、その内容を誤認させることです。科学を取り上げる際にファリーナは、一連の技術論文を長々と読みあさりましたが、初期の地球で起こり得たこととその研究の関連性を大幅に誇張しました。

 

アミノ酸ポリペプチド

討論の中心的な論点は、アミノ酸が水中で連結 (重合) して長い鎖 (ポリペプチド) になって、現代の細胞でタンパク質の役割を果たせるかということでした。ツアーは、アミノ酸の側鎖ポリペプチド主鎖の成長を妨げるため、そのようなシナリオはありそうにないと説明しました。ファリーナは、その逆を証明したと主張するいくつかの技術論文を挙げて対抗しましたが、まさにそれらの論文のデータが、側鎖のいくつかのバージョンは実際に適応できないことを示していました。

 

ファリーナはまた、彼が引用した研究はすべて、化学的に変化させたアミノ酸、不自然な環境、あるいは連結を促進するための特殊な分子を使用していることを明らかにすることを怠りました。それに相当するような条件が、太古の地球上で発生したことはあり得ません。論文のタイトルはファリーナの主張を支持しているように見えますが、実際の実験の詳細は正反対のことを実証していました。以前の記事 (こちらこちらこちら) で私が要約したように、ツアーはビデオでその理由を説明しています。

 

水中でポリペプチドを形成することの難題を認識しているのはツアーだけではありません。『Nature』誌は「水のパラドックスと生命の起源」という記事を掲載し、その問題を次のように述べています。

 

・・・タンパク質や核酸 (DNAとRNA) などの生命の基礎となる高分子は、連結部が脆弱で、水中で分解されてしまうからだ。タンパク質はアミノ酸が連結した鎖から、核酸ヌクレオチド (窒素を含む有機塩基と糖とリン酸の化合物) が連結した鎖からできていて、これらの鎖を水中に入れると、水が連結部を攻撃して鎖を切断してしまう。生化学者ロバート・シャピロ (Robert Shapiro) は、生命の起源を巡るさまざまな仮説を批判的に検証する1986年の著書『生命の起源』において、炭素化学の世界では「水は可能な限り厳しく排除すべき敵である」として、原始の海仮説を批判している。

 

この課題に対して解決策を提唱するには、溜まっている水を脱水してアミノ酸の結合を可能にする物理的過程が必要になりますが、それでも側鎖の干渉は残ります。適切な結合を持つポリペプチドが、微量以上に存在することはありえないでしょう。もうひとつの問題は、必要とされる強度の熱やその他のエネルギー源が、RNAや糖などの生物学的に関連する分子を破壊してしまうことで、そこで生命への進歩は即座に失われることになります。ツアーはリー・クローニンの研究を批判したビデオの中で、これらの論点を説明しています。

自己複製RNA

2番目の論題では、RNAワールド仮説に不可欠な要素である自己複製RNAの研究が取り上げられました。ツアーは、RNAの構成要素であるRNAヌクレオチドが、化学的手法を用いるといつでも間違った方法で結合し、鎖も不自然な分枝を含むことを指摘しました。さらに彼は、研究者たちが創成することができたのは、自分自身の数パーセントしか複製できないRNA分子だけだと述べました。ファリーナは再度これに回答して、ツアーが間違っていることを示唆するタイトルの研究論文をいくつか素早く表示しましたが、その研究についてのファリーナの描写はまたもや誤りでした。

実験では、RNA鎖同士を連結させるか、それ自体のごく一部を複製することに成功しただけでした。重合の場合はすべて、間違った連結と枝分かれが起こりました。真の複製は、慎重に調整された実験条件下で、現代の細胞から拝借した複雑な分子によって実行されました。したがってどの研究も、以前のビデオでツアーが詳述したように、自然界で起こりうることとは何の関連性もありませんでした。

 

RNAについての議論の中で、ファリーナは最も突飛な非難をしました。彼は、ヌクレオチドに使われる糖のひとつであるリボースの形成に関連するスティーブン・ベナーの実験の1つから得られた生成物の13C NMRスペクトルのグラフを、ツアーが正しく解釈していないと主張しました。ファリーナは、放射線科長がX線を正しく解釈できていないと主張するのと同じことを断言しました。

 

ツアーの信用を貶めようとするこの必死な試みの動機は明らかでした。ツアーは、ベナーがリボースを生成するために使った反応が、他の多くの分子も生成していたことを暴露しました。リボースが他の分子から分離して、微量でないヌクレオチドの生成を促進することはあり得ませんでした。その結果として、自己複製するのに十分な長さのRNA分子は存在し得ませんでした。

 

この研究は、4つのヌクレオチドだけが高濃度で形成されるという理想的なシナリオであっても、生命の起源とは何の関連性もないでしょう。自己複製が可能かもしれない最小のRNAは約200ヌクレオチドです。課題は、その長さの可能性があるヌクレオチド配列の数は10120以上であり、自己複製を実行できる配列の割合は非常に小さいはずだということです。ベナーはその論文『Paradoxes in the Origin of Life』の中で、十分なRNAがあっても、自己複製を行うための正しい情報を持つRNAが一つでも形成されることはあり得ないと認めています。RNAワールド仮説に見込みはありません。

討論からの教訓

今回の討論は、生命起源研究の状況について重要な教訓を与えてくれました。この分野へのツアーの批判があまりに痛烈なので、彼の論議に異議を唱える唯一の方法は、技術文献を誤り伝え、誤った方向性と偽情報に基づいた戦術に従事することです。YouTubeにある討論後のコメントを見ると、当初ファリーナを支持していたある人たちが、彼の論議や独白は響きと怒りに満ちていても実質的な内容はほとんどないことを認識したことが明らかでした。