Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

ファインチューニングにもかかわらず、ロジャー・ペンローズはインテリジェントデザインについて「不可知論者」である

This is the Japanese translation of this site.

 

グランヴィル・セウェル
2023/12/5 6:28

 

昨年の夏、インテリジェントデザインについての授業の準備をしていた私は、2020年にノーベル物理学賞を受賞したロジャー・ペンローズとクリスチャンの哲学者ウィリアム・レーン・クレイグの友好的な討論の中で、ファインチューニングに関する部分を含む映像を見つけました。司会はジャスティン・ブライアリーです。

 

討論のこの部分が特に興味深い理由は2つあります。第1に、サー・ロジャー・ペンローズは、最も壮大なファインチューニングの例の情報源となったその人です。それは、彼が10N分の1の精度が必要だと推定したもので、ここで N=10123 です。Nはそれ自体、既知の宇宙にある原子の数よりも大きい (ペンローズ自身が指摘するように、はるかに大きい) のです。この「初期エントロピーのファインチューニング」については、スティーブン・メイヤーの2021年の著書『Return of the God Hypothesis』の148-151ページで議論されています。第2に、ペンローズはデザインに対して「不可知論者」であると言っていますが、デザインという結論を避けるためにほぼ常に使われる多元宇宙論は好んでいません

 

多元宇宙の主な問題点

もちろん、多元宇宙論の主な問題点は、他の宇宙の存在にすら科学的証拠がまったくない — どんな科学的証拠もありえない — ことです。しかし、ペンローズが多元宇宙に訴えない理由は、もしそれでファインチューニングが説明できるのであれば、「私たちは今とはずっと違う宇宙を観測しているはず」(ペンローズの反論をクレイグが要約したもの) だからです。したがってペンローズは、ファインチューニングについての多元宇宙の説明に、他の人々が指摘し、マイケル・ベーエが『The Edge of Evolution』の中で次のように表現しているのと同じ問題を見ているようです。

 

有限でランダムな多元宇宙という見解では、我々は、知的な観測者を産み出すために絶対に必要とされるもの以外、生命にはほとんどあるいはまったく何もない、必要最小限の世界に住んでいる可能性が非常に高い。だから、もし最小限よりもはるかに余分なものが贅沢にある世界にいることに気づいたら、我々の世界が有限の多元宇宙シナリオの結果ではない方に大きく賭けるべきだ。このような質問について厳密な論議をするのは難しい。とはいえ、我々の世界は非常に豊かで、知性に絶対に必要なものよりもはるかに多くのものを含んでいるようだ。

 

ペンローズが多元宇宙論を好まないもう一つの理由は、彼が発見したファインチューニングを説明するためには、恐ろしいほど多くの宇宙が必要とされるからではないでしょうか!実際、そんなに多くの宇宙を想像しなければならないのであれば、そのうちの1つに純粋な偶然によって、知的で意識のある観察者が完全に形成された状態で現れる可能性が十分にあると想像してもいいでしょう。そうすれば、生命の起源がどのようなものか、あるいは生命はどのようにして還元不能なほど複雑な特徴を進化させたかについて心配する必要はありません。(知的で意識のある観察者が純粋な偶然によって現れる確率を計算する方法は知りませんが、文脈を考えるために、既知の宇宙に存在する原子と同じ数の単語が書かれた本を想像してみてください。サルがランダムにこの本のすべての単語を正しくタイプする確率は、10N分の1よりはるかに高いでしょう。ここで上記のペンローズの計算の通り、N=10123 です。)

デザインに代わるもの

では、ペンローズはデザインに代わるものは何だと見ているのでしょうか?彼は無知を言い訳にして、私たちはほとんど何も知らないのだと言うだけです。ひょっとしたら、私たちが想像すらできないような他のタイプの生命、ひいては他のタイプの意識のある観測者が存在して、それはまったく異なる宇宙でも進化できるのかもしれません。そして彼は、サイエンスフィクションからいくつかの例を提示します。

 

ペンローズのコメントを最初に聞いたとき、この考えは何か非常に間違っていると私は思いましたし、ウィリアム・レーン・クレイグは丁重にこれを「絶望的な方便」と呼んでいます。この問題は、星や水素より重い元素を伴わない生命を1つでも想像することの難しさだけではありませんが、もちろんそれも十分に難しいことではあります。「ファインチューニングがなければ、物質すら存在しないでしょう。化学も存在しないでしょう」とクレイグは言います。ほぼすべての自然の基本的なパラメータに極小の変化があっても、安定した星のない宇宙、あるいは星がまったくない宇宙、安定した原子のない宇宙、したがって炭素や炭素化合物のない宇宙、星を公転する岩石惑星のない宇宙、そして最も可能性の高いこととして、観測者のいない宇宙につながったでしょう!

非常に異なる種類の生命

しかし、非常に異なる種類の生命 (明らかに炭素ベースではない) や、意識のある観測者さえ、そのような宇宙ではあるいは誕生する可能性があるという不自然な考えを受け入れたとしても、この宇宙で見られるファインチューニングを本当に説明してはいません。宇宙のファインチューニングについてのこちらの映像では、ある世界が鉛筆の先端でバランスを取っており、その鉛筆はペーパークリップの先端でバランスを取っており、それが別のものの上でバランスを・・・という光景が示されています。このバランスを取る行動を見たとしても、あなたがこのように考えることはおそらくないでしょう。「私は感銘を受けたりはしない。なぜなら、仮に支えの1つがわずかに動いてこの世界が崩れ落ちたとしても、完全に異なる種類の世界を構築することは可能かもしれないからだ」。私たちは今でも、既知の化学や星や生命を説明するために、デザインあるいは信じられないほど大量の幸運を必要としています。

 

上記の映像には、ペンローズとクレイグの討論から7分間の部分を埋め込んでおり、13:55のところから始まります。