Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

「シミュレーション仮説」とスター・トレック — インテリジェントデザインの別名

This is the Japanese translation of this site.

 

ケイシー・ラスキン

2021/2/17 6:25

 

最近、主流メディアで「シミュレーション仮説」が注目されています。シミュレーション仮説とは何でしょうか?理論物理学者のザビーネ・ホッセンフェルダーの最近の説明によると、それは宇宙を映画のマトリックスによく似ていて、「知的な存在によってコード化されている」ものとします。

 

シミュレーション仮説によると、私たちが経験するすべてのものは、インテリジェントな存在によってコード化され、私たちはそのコンピュータコードの一部です。私たちがある種の計算の中で、計算により生きていること自体は、非科学的ではありません。現在わかっていることは、自然界の法則は数学的なものなので、宇宙は本当にその法則を計算しているだけだと言えるかもしれません。この言い方は少し変だと思うかもしれませんし、私もそう思いますが、これは議論の対象ではありません。シミュレーション仮説でいささか物議を醸しているのは、別のレベルの現実があると仮定していることです。そこでは、誰かか、または何かが私たちが自然法則だと信じているものを支配し、あるいはその法則を妨害しているのです。

 

自然界の法則に干渉することができ、何らかの理由で私たちから隠されたままでいる全知の存在についての信条は、一神教の共通の要素です。しかし、シミュレーション仮説を信じる人たちは、理性によってその信条に到達したと主張しています。例えば、哲学者のニック・ボストロムは、一言で言えば次のような主張に基づいて、私たちはコンピュータシミュレーションの中に住んでいる可能性が高いと主張しています。a) 多くの文明があり、その文明が b) 意識的存在のシミュレーションを実行するコンピュータを作っているとすると、c) シミュレーションされた意識的存在は現実のものよりも多く存在するので、シミュレーションの中に住んでいる可能性が高いということです。

 

デイヴィッド・クリンホファーは、明らかにすべきことを説明しています。「シミュレーション仮説」は「私たちの宇宙が知的にデザインされていること」を必要とします。「コンピュータシミュレーションとは、明らかにインテリジェントデザインであるということです。」

科学と宗教?

ホッセンフェルダーの最近の投稿は、「シミュレーション仮説」を否定する理由を説明しており、「科学と宗教を混ぜるのは・・・一般的に良くない考えだ」というような、無知に基づいた論証を採用するのと同様の説得力のない理由を述べています。「一般相対性理論素粒子物理学の標準モデルを、ある種の機械上で実行されているコンピュータアルゴリズムから再現する方法は、現在のところ誰も知らない」ので、彼女は、「物理学者が非常に高い精度で確認した自然法則ではなく、プログラマが実行している別の基礎となるアルゴリズムを使って、私たちのすべての観測を再現する方法は私たちには分からない」と主張しています。このような議論は、(私の言い換えではありますが)「これはまだ方法が分かっていないので不可能だ」ということになります。こうした議論は通常あまりうまくいきません。おそらく「シミュレーション仮説」を唱える人たちは、高度な先進文明ならば必要な計算を実行する方法を理解できるようになるだろうと反論するでしょう。

デザインの別名

彼女の批評に伴うこれらの問題点はどれも、シミュレーション仮説が正しいことを意味しません (マイケル・エグナーは、親IDの観点から、彼自身の強力な批評をしています)。例えば、宇宙は知的にデザインされていても、シミュレーションではないかもしれません。インテリジェントデザインの理論はシミュレーション仮説に左右されるものではありませんが、考えるには興味深いアイデアです。少なくとも、それは論争になりえるインテリジェントデザインモデルの1つです。

 

ここでの要点は、宇宙が知的にデザインされたという可能性が、科学者や尊敬される思想家の間でますます真剣な話題になっていることを「シミュレーション仮説」が示しているということです。『National Review』のジャック・バトラーの最近の記事では、シミュレーション仮説を「公正かつ公平に」扱った新しいドキュメンタリー「A Glitch in the Matrix」を取り上げています。ホッセンフェルダーは、このアイデアにメリットを見いだす注目すべき人物を2人観察しています。

 

このアイデアに賛同している人々の一人はイーロン・マスクです。彼もまた、「我々はシミュレーションの中にいる可能性が高い」と言っています。そして、ニール・ドグラース・タイソンでさえ、シミュレーション仮説は「50-50以上の確率で」正しい可能性があると述べています。 

もう一人の著名な思想家

ちなみに、シミュレーション仮説と宇宙のデザインを真面目に考えている、大いに尊敬すべき思想家がもう一人います。『スター・トレック』のミスター・スポックです。

 

2018年、スタートレックの最新シリーズ「ディスカバリー」のシーズン1と2の間に、フランチャイズは「ショート・トレック」を発表しましたた。これらは15分のエピソードでキャラクターやプロットを深く掘り下げています。オタク向けなのは確かですが面白いものです。

 

2019年の後半、「ディスカバリー」のシーズン2と3の間には、Q&Aと題された「ショート・トレック」が公開されました。そこでは、(イーサン・ペック演じる) 若き日のミスター・スポックが登場します。スポックが科学士官としてUSSエンタープライズ号に乗船した初日の経験です。上官(レベッカ・ロミン演じるナンバーワン)から「私から始めて、あなたが会う乗組員全員に、迷惑になるほど質問しまくりなさい」という指示を受けた後、スポックは質問攻めを開始します。二人はその後、ターボリフト (ファンシーなスター・トレック版エレベーター) で立ち往生することになり、スポックは質問し続けます。最終的に彼は次のように尋ねます。

 

自然界の至る所にある、eやいわゆる黄金比のような数学的定数は、宇宙がデザインされたか、おそらくは巨大なシミュレーションであることを示唆している可能性を考慮したことがありますか?

 

ここで、若き日のミスター・スポックは、数学的な秩序と合理性に基づいた宇宙のデザインの古典的な議論に言及している。これは、ノーベル賞を受賞した物理学者ユージン・ウィグナーが「数学の不合理な有効性」と呼んだものに似ています。ウィグナーは1960年に発表した論文 「The unreasonable effectiveness of mathematics in the natural sciences」の中で次のように述べています。

 

我々を取り巻く世界は不可解なほど複雑であり、それについて最も明白な事実は、私たちが未来を予測できないということである。未来が不確実であるという見解を楽観主義者にのみ当てはめるジョークもあるが、この場合は楽観主義者が正しい。すなわち、未来は予測できない。シュレーディンガーが述べているように、世界の不可解な複雑さにもかかわらず、事象の中にある種の規則性が発見されたことは奇跡である・・・。

 

ここで我々が1つの奇跡に直面しているという印象を避けることは困難である。この奇跡は、その衝撃的な性質において、人間の心が矛盾に陥ることなく千の議論をつなぎ合わせることができるという奇跡や、自然法則の存在とそれを神格化する人間の心の能力という2つの奇跡に匹敵する・・・。

 

物理法則の定式化のために数学の言語が適切であるという奇跡は、我々には理解できないし、受けるに値しない素晴らしい贈り物である。我々はそれに感謝し,それが将来の研究において有効であり続けることや,良くも悪くも我々の喜びのために,おそらくは我々の困惑のためにも,幅広い学問の分野にまで拡大することを期待すべきであろう。

 

これは、「宇宙はデザインされている」と直接的に示唆している若き日のミスター・スポックにとっては、明らかに魅力的な議論です。彼がそれに反対している形跡は全くありません。むしろ彼は寛大で、この議論を真剣に受け止める価値があると考えている形跡があります。 

迷惑になるインテリジェントデザイン

スポックはそのとき、「迷惑になりましたか?」と質問しています。私はこれがショーとして自覚的であることを示す瞬間だったのではないかとわずかながら疑っています。なぜなら、スター・トレックの神聖な科学士官がインテリジェントデザインに対して寛大であることを、多くのファンは迷惑に — 冒涜ではないにしても — 思うだろうことを脚本家は認識しているからです。

 

私は、スター・トレックのコンベンションに行ったことはありませんが、パートタイムのスター・トレックファンであり、博士号取得のために研究室での長い夜を過ごす際に、多くの古いエピソードを再視聴しています。そのため、多くのスター・トレックファンが自分たちを非常に合理的な無神論者だと思っていることをよく知っています。その中には、ミスター・スポックがインテリジェントデザインに反対しているわけではないことを知って愕然とする人も多いでしょう。彼の思想への寛容さを「迷惑」と呼んだ方がいいのでしょうか?そうかもしれません。 

もう一つの考慮すべき事実

誰かに迷惑をかけるつもりはありませんが、スター・トレックファンの中には気に入らない人もいるかもしれないもう一つの事実を紹介しましょう。インテリジェントデザインのための世界的な機関である『Discovery Institute』は、名前の由来においてスタートレックの最新シリーズ「ディスカバリー」と共通の祖先を共有しています。これがその系統図です。

 

 

要点はここです。シミュレーション仮説が、ジャック・バトラーが言うように「論理ゲームとポップカルチャーを参照しつつ、個人的な性癖を模造的に組み合わせて擬似宗教もどきを構成しており、その背後にあるのは悲しい妄想」の反映であろうとなかろうと、またそれがザビーネ・ホッセンフェルダーが言うように「疑似科学」であろうとなかろうと、またそれが正しかろうとなかろうと、1つのことは明らかです。シミュレーション仮説により、思想家たちは宇宙がデザインされたことを示唆しているように見える特別な数学的特性を真剣に考慮せざるを得なくなっています。