Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

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あくびが出ます: 無神論者のYouTuber「デイブ教授」がインテリジェントデザインについて暴言を吐く

This is the Japanese translation of this site.

 

ギュンター・ベヒリー
2022/5/25 6:35

 

デイブ・ファリーナは無神論者アメリカ人YouTuberで、『Professor Dave Explains』というチャンネルを運営し、約200万人の登録者がいます。彼のチャンネルによると、彼は「物事を説明するコツを知っており、・・・知識をいくらか共有したい」のだそうです。「デイブ教授」と名乗ってはいますが、ファリーナは大学教授でもなければ、博士号を持っているわけでもありません。彼は科学教育学の修士号を持っています。彼は、自分の外的人格として 「デイブ教授」を選んだのは、「あまり考えてのことではありません。正直なところ、ちょっとした冗談でした」と言っています

 

ファリーナは、主に高校生や大学生向けの科学ビデオを制作しています。彼の作品の中には、まともなエデュテイメントになるものもあるかもしれません。残念なことに、彼は自分に賛同しないさまざまな人々に対して暴言を吐き、誤り伝えることによって、その信頼性を損なっています。最近の悪口の対象は?『Discovery Institute』に連なるインテリジェントデザインの支持者たちです。

 

あくびをこらえていることをお許しください。ファリーナが繰り返し使うインテリジェントデザインに関する決まり文句や誤った表現は、もう飽き飽きしています。それでも、この討論に初めて知る人には、ファリーナの誤った主張が暴露されるのを見るのは助けになるかもしれません。

ファリーナに見て見ぬふりをさせた科学者

まず、背景からです。ファリーナは以前、世界で最も引用されている化学者の10人に入る (バーガー、2010年) ジェームズ・ツアー教授を標的にしたことがあります。ツアーはインテリジェントデザイン理論を擁護しているわけではありませんが、無誘導の化学的・生物学的進化については科学的な観点から懐疑的です。そして彼は、生命の起源の研究の不幸な分野に対する専門家としての批判を、あえて公に共有しています。

 

ファリーナは、ツアーを攻撃する3つのYouTubeビデオ (123) を制作し、これは「生命の起源の研究領域におけるツアーと彼の反科学的なふざけた行為の・・・打破」を提示するものだと豪語しています。誰が本当に「反科学的」なふざけた行為をしていたのか、それはファリーナやその他の人々に対する、ツアー教授の徹底的な13部にわたる返答を見て、あなた自身で判断してください。ツアーは、ファリーナが提起した問題について、一対一の公開討論に参加するよう誠実に招待しました。ファリーナは応じませんでした。もしかしたら、彼はツアーに対する自分の主張が、批判的な精査に耐えられないと恐れたのでしょうか?

 

ファリーナは、ツアー教授に対する批判を擁護するために立ち上がるのではなく、新たな糾弾の標的を求めて動き出しました。すると、極悪非道な『Discovery Institute』の邪悪極まるインテリジェントデザインの支持者以上のものがあるでしょうか?そこで、ファリーナは「Exposing the Discovery Institute」と題するシリーズの制作を開始しました。これは、インテリジェントデザイン支持者について「一度に一人のピエロ」を追いかけると約束するものです。このシリーズの第1部は、インテリジェントデザイン、『Discovery Institute』、そしてケイシー・ラスキン博士と、人類の進化に関する『Science Uprising』のエピソードへの彼の出演を攻撃しています。

 

ファリーナのビデオシリーズにおける攻撃的な趣は、YouTube公式説明文にあるとおり、『Discovery Institute』の「プロパガンダ」、「不正」、「中傷」、「詐欺的活動」への非難に見ることができます。真摯な知的議論はファリーナの得意とするところではありません。正確さもありません。

 

ファリーナは、『Discovery Institute』を「福音派プロパガンダ製造所」と呼ぶことから導入のビデオを始めています。もちろん、彼はこの断定の証拠を何も示していません。ファリーナは次に、『Discovery Institute』は「創造科学やインテリジェントデザインを進化生物学と一緒に学校で教えることを促進する努力」に過ぎない、と主張します。これ以上の虚偽を一つの文章に詰め込むのは難しいでしょう。

誤ったステレオタイプ

まず第一に、インテリジェントデザイン理論を創造科学と同一視するのは、全く誤ったステレオタイプです。この同一視は何度も反駁されているので、誰もそれについて無知であるともっともらしく主張することはできません。Googleはあなたの友です。ジョン・ウェスト (2002年) とスティーブン・C・メイヤー (2006年) による2つの傑作記事があります。メイヤー (2006年)は、なぜインテリジェントデザイン創造論でないかを説明しています。私は非常に個人的な理由を付け加えることができます。私がインテリジェントデザインの支持者になったのは、有神論者やクリスチャンになるずっと前、ホワイトヘッド的なプロセス形而上学に傾倒していた頃です。私にはIDを支持する宗教的な理由は全くありませんでしたし、今もありません。私は、聖書を科学の教科書のように文字通りに読むことを否定しています。多くのID支持者と同様に、私は古い地球を受け入れ、多くの著名なID支持者(例えば、マイケル・ベーエ、マイケル・デントン、リチャード・スタンバーグ)と同様に、共通祖先も受け入れています。しかし、ファリーナのような人の空想では、私たちはまだ聖書にうるさい創造論者でなければならないのでしょう。

 

ファリーナは、自分が同意しない人々を理解するよりも、彼らを風刺することに興味があるようです。それはとても残念なことです。もし、彼がもっと開かれた心を持っていれば、インテリジェントデザインは、システム外部から情報を注入するという意味で、必ずしも神による奇跡的な介入への傾倒を示唆しないことを学んだことでしょう。結局、現在一部の物理学者やITエンジニア (ジョン・バロウ、ニック・ボストロム、ミチオ・カク、レイ・カーツワイルマービン・ミンスキーイーロン・マスク、マーティン・リース、ニール・ドグラース・タイソンなど) の間で流行しているシミュレーション仮説は、インテリジェントデザイン論の1つに他なりません。私自身が好む、量子計算としての目的論的進化という仮説 (ラーツ & ベヒリー、2019年、私のウェブサイトもご覧ください) も、方程式に「神がやった」とか「ここで奇跡が起きた」ということがない別の例です。

 

ファリーナの2番目の論点、『Discovery Institute』が学校でインテリジェントデザインの教育を推進しているとされる点についてはどうでしょうか。これもまた明らかに誤った主張です。『Discovery Institute』の科学教育方針は、これ以上ないほど明確です。「公共政策の問題として、『Discovery Institute』は学区や州の教育委員会インテリジェントデザインを教えることを要求するいかなる努力にも反対する」(Discovery Institute、2002年こちらもご覧ください)。ファリーナは「『Discovery Institute』は反対する」のどの部分を理解していなかったのでしょうか?有名なドーバー裁判の前から、『Discovery Institute』はドーバー教育委員会にIDをカリキュラムに押し込まないよう強く勧告していましたが、残念ながら彼らは耳を傾けませんでした (ウェスト、2005年)。これらの事実はすべて、数分もあればGoogleで検索できます。見たところ、ファリーナにとってそれはあまりにも大変な努力だったようです。

3つの大きな問題

ファリーナは、インテリジェントデザイン理論について、「何も説明しないし、何も予言しないので、本当の科学として検証できない」とも考えています。この発言には、3つの大きな問題があります。

  1. 何が「本当の科学」として適格なのか、誰が定義するのでしょうか?それは確かにデイブ・ファリーナではありません。法廷の裁判官でもありません。また、科学者自身が「科学」を定義するのでもありません。道理からすると、この質問に取り組むのは科学哲学者です。しかし、ファリーナは、科学と非科学を確実に区別する境界基準について、科学哲学者の間でコンセンサスが得られていないという事実を全く知らないようです。カール・ポパー反証可能性の基準を含め、これまでに提案された基準はみな、あまりにも多くのものを排除しているか (例えば、超弦理論や進化生物学のような科学分野)、あまりにも多くのものを含んでいます (例えば、ホメオパシー超心理学)。
  2. もちろん、インテリジェントデザインには説明力があります。そうでなければ、ウィリアム・シェイクスピアの知的行為によって『ロミオとジュリエット』の存在を説明することさえできないでしょう。複雑で特定されたパターンを説明する上で、知的行為者のデザイン活動が完全に有効であることに疑問の余地はありません。ただ、そのようなパターンが人間の文化的な人工物の領域に限定されるのか、それとも自然界にも見られるのかが論点となる質問なのです。しかし、この質問は、証拠がどうであれデザインによる説明を許さないある種の世界観の教条的・先験的制約によって解決されるべきではなく、むしろ何であれ証拠が導くところに従うべきです。それはデータによって解決されるべき経験的な質問です。
  3. インテリジェントデザインは何も予言しないというのは、単に誤りです。実際、これもよくあるもう一つのステレオタイプで、ID支持者たちによって何度も反論されているので、この論議を今後も使うのは、事実に対する完全な無知 (あるいは故意の嘘かもしれませんが、私はその解釈を当てはめたくありません) に基づくのでない限りありえません。スティーブン・メイヤー (2009年) は、著書『Signature in the Cell』に、全体がインテリジェントデザイン理論に触発された12の予言を扱った章を含めました。これらの予言はしばしば非常に正確で、容易に反証可能です。例えば、「非生物学的な源から500ビットの新しい [特定された] 情報を生成する能力を実証する無向性の過程は存在しない」。裏口から情報をこっそり持ち込むことなく、これを達成するコンピュータ・シミュレーションを書けば、インテリジェントデザインの核となる予言に勝利したと主張できるのです。

ああ、いやだ — 神権政治だ!!!

この実にひどいビデオの最後の方で、ファリーナはインテリジェントデザインがイランのアーヤトッラー体制やディストピア的作品の『侍女の物語』のような全体主義神権政治につながるという陳腐な脅しを掲げました。いえ、冗談を言っているのではありません。

 

私たちは、ユダヤ人の不可知論者であるデイヴィッド・バーリンスキや理神論者のマイケル・デントンのような著名な『Discovery Institute』のフェローが、神権政治を確立して魔女たちを焼き殺すこと以外に何も考えていないと信じられているようです。そして、これらの無信仰のフェローは、カトリック (DIの共同設立者ブルース・チャップマン、マイケル・ベーエ、アン・ゲイジャー、ジェイ・リチャーズ、そして私、ただし私はまだクリスチャンどころか有神論者でさえない時にID運動に参加しましたが)、ユダヤ教徒 (デイヴィッド・クリンホファー)、正教 (リチャード・スタンバーグ)、プロテスタント (ダグラス・アックス、ウィリアム・デムスキー、スティーブン・メイヤー、ポール・ネルソン) の同僚と、彼らが強要したいその種の神権政治について同意しているらしいのです。

 

ファリーナは、そんな馬鹿げた主張をする前に、本格的な調査をわざとしなかったのでしょうか?他人を中傷で非難する厚かましさが彼にはあるのでしょうか?根拠のない乱暴な断言を別にして、そのようなアジェンダがあるという証拠はどこにあるのでしょうか?

 

『Discovery Institute』には確かにアジェンダがあり、それはまったく秘密ではありません (クラウザー、2005年; Discovery Institute、2019年)。それは、唯物論無神論の虚無的世界観によって現代科学が乗っ取られることに反対するという方向性のアジェンダです。私は、この崇高な仕事に貢献できることを誇りに思います。なぜなら、科学は「何であれ証拠が導くところに従う」自由があるべきだからで、これはDiscovery InstituteとID運動の非公式なモットーになっています。このアジェンダは、宗教を社会に押し付けることについてではなく、思想の自由と研究の自由についてなのです。邪悪で危険な響きではありませんか?

ファリーナの形而上学が見えてきた

ファリーナの次の失態は、またしても遠吠えです。彼は、「科学は本質的に唯物論的である」、「科学は唯物論である」と言っています。そして、「そうでないと言う人は、科学とは何かを知らない」と大胆に主張します。まあ、科学が何であるかを理解していないのは明らかに彼の方で、というのは科学は本質的にも実際にも唯物論ではないからです。唯物論形而上学的なものであり、科学的な立場ではありません。それは存在するのは物質、エネルギー、空間、時間がすべてであるという見方のことです。科学はこの時空間的な領域を研究するだけで、それが存在するすべてであるかどうかを言うことはできません。科学は方法論に過ぎません。科学は形而上学については沈黙しており、だからこそ後者は物理学ではなく、メタ物理学と呼ばれます。科学は、唯物論からプラトン主義、観念論、有神論まで、さまざまな形而上学的立場と完全に両立できます。

 

現代の科学者には、明らかに唯物論者ではない人がたくさんいます。多くのクリスチャンの科学者ノーベル賞受賞者についてだけ言っているのではありませんが、例えば、宇宙論者のマックス・テグマーク (2008年2014年) は、存在するのはすべて数学であり、物質は存在さえしていないと提唱しています。またノーベル賞受賞者ロジャー・ペンローズ (マーフィ、2020年) は、物質宇宙に加えて別個の数学と形式の領域があると考える多くのプラトン主義者の一人ですし、アントン・ツァイリンガー (ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング、2008年) のような著名な量子物理学者は、唯物論を拒絶し、代わりにある種の観念論を支持しています。実際、ショーン・キャロル、ブライアン・グリーン、ニマ・アルカニ-ハメッド、レオナルド・サスキンド、マックス・テグマーク、エリック・ヴァーリンデといった世界的物理学者たちが支持している、時空 (したがって物質やエネルギーも) は基本的なものではなく、量子情報のもつれた非物質・無時間領域から出現する、という現代物理学において拡大しているコンセンサスは、唯物論を19世紀の時代遅れのパラダイムとして徹底的に打倒しています。現代実験物理学の新しい成果に刺激されて、「Quantum physics says goodbye to reality」(Physics World、2007年)、「Reality doesn’t exist until we measure it, quantum experiment confirms」(マクドナルド、2015年)、「A quantum experiment suggests there’s no such thing as objective reality」(MIT、2019年) といった見出しが現れています。ナイーブな唯物論を論駁する多くの知見 — ベル、レゲット、レゲット・ガーグの不等式の実験での破れや、コッヘン-シュペッカーの定理の実験での確認のような — は、量子観念論に関する私の論文に引用されていますので、興味がありドイツ語が読める方はご覧いただけます (ラーツ & ベヒリー、2019年)。これらの結果のある種の解釈にはまだ同意できない人もいるかもしれませんが、これらは少なくとも、現代科学が唯物論を必然的に伴うことは決してないことを証明しています。全く逆なのです!

「調査に先立つ予言」

ファリーナはさらに、進化論は科学だがインテリジェントデザインは科学ではない、なぜなら「調査に先立つ予言」というルールに従うのは前者だけだからだ、と主張します。これもまた、多くの点でナンセンスです。進化論とその予言は、調査に先行したものではなく、調査の帰結です。チャールズ・ダーウィンは、経験的事例の積み重ねを明示的に行い、理論を発展させる以前のデータを解釈することで自身の理論を導出しました。もちろん、その理論は経験的に検証可能な予言をします。例えば、小さな変化が長い時間をかけてゆっくりと積み重なって大きな差になるという漸進的なパターンを予言します。この予言が化石の証拠と矛盾すると、矛盾する証拠について釈明するために、アーティファクト仮説や断続平衡など、数多くのアドホックな説明が作り出されました。同じことが系統研究における膨大な矛盾した証拠 (ホモプラシー) にも起こり、同様にゴースト系統や不完全な系統選別などのアドホックな仮説で釈明されました。これはそれ自体では悪いことではありません。些細な異常のために、優れた理論をあきらめることはありません。しかし、その異常があまりにも大きくなり、パラダイムシフトが正当化されるような場合には問題であり、ID支持者はこれを実証することを目指しているのです。

 

インテリジェントデザイン理論とその予言についてはどうでしょうか?インテリジェントデザインは、例えば、生命の歴史における変化は、システムの外部からの新しい情報の躍動または注入によって突然生じたと予言します。このことは、古生物学的研究と、化石記録における普遍的な不連続性によって強く裏付けられており、もはや不完全性やアンダーサンプリングへの言及では釈明しきれません (ベヒリー & メイヤー、2017年; ベヒリー、 2021年)。もう一つ、調査の前になされて成功した予言があります。ID支持者のリチャード・スタンバーグは2005年、ジャンクDNAは結局ジャンクではないことが判明すると予言しました (シャピロ & スタンバーグ、2005年)。これは、後にENCODEプロジェクトの成果によって確認されました (アックス、2012年)。上述したように、メイヤー(2009年) は12の予言を挙げています。つまり、インテリジェントデザインは、進化論と同じように、検証可能な予言をしており、だからこそ、哲学者のトーマス・ネーゲル (ネーゲル、2012年) や物理学者のブラッドリー・モントーン (モントーン、2009年) のような無神論者も、ID理論の科学的地位を認めているのです。

 

反ID活動家が、インテリジェントデザインは反証可能でないため科学ではないと主張し、その一文後にそれは打倒された (すなわち反証された) と、その主張の深い矛盾を認識せずに言うのは滑稽なことです。

的を外す

結局のところ、ファリーナのインテリジェントデザインと『Discovery Institute』に対する手当たり時代の批判は、完全に的を外しています。「デイブ教授」は、もし純粋に真実を追求することに興味を持つ人々から真剣に受け止められたいのであれば、過去の信用を失った主張を再利用する以上のことをする必要があります。

 

ファリーナはこのビデオの中で、さらに誤った、あるいは誤解を招くような発言をしており、今後はそれらをレビューしていきます。次に取り上げるのは、「ダーウィニズム」という言葉は時代遅れで、「創造論者」しか使っていないという彼の主張です。その後、ケイシー・ラスキンと人類の進化に関する化石の証拠についての彼の具体的な告発を取り上げるつもりです。