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ランディ・アイザックの批判は、哲学的偏見の力を実証している

This is the Japanese translation of this site.

 

ブライアン・ミラー
2021/12/13 13:27

 

編集部注:Is Information in DNA "Abstract"? Physicist Randy Isaac Responds.」もご覧ください。

 

最近、物理学者のランディ・アイザックが、私たちの著書『The Mystery of Life's Origin: The Continuing Controversy』に対する批評を書き、生命が自然の過程に起源をもつことができないこと、あるいは生命がデザインの明確な証拠を示していることを実証する点で説得力がない、と論じました。アイザックは、信仰と科学の交差に関心を持つクリスチャンのための科学協会、『American Scientific Affiliation』の名誉事務局長です。彼の書評は、ほぼすべての論議が、彼がこの本の内容に誠実に取り組んでいないことを実証している点で注目に値します。彼の失敗は、すべてが彼のせいというわけではありません。むしろそれは、証拠に対する彼の理解力を歪めた哲学的フィルターを反映しています。

科学的唯物論におけるカテキズム

アイザックの偏見は、彼の科学的訓練の直接的な結果です。ほとんどの高等教育機関における科学カリキュラムは、単に事実や手順のトレーニングを含むのではなく、科学的唯物論の哲学的枠組みに準宗教的なカテキズムを組み込んでいます。未来の科学者たちは、観察されるものはすべて自然の過程の結果であり、デザインを示す科学的証拠は存在し得ないという硬直した概念的格子を通して世界を解釈するよう教え込まれるのです。

 

その結果、世俗的な信仰の教義に挑戦するどんなデータや論議も無視するように条件付けられています。科学者たちには、宇宙の起源における知的行為者の可能性を考慮する点では大きな自由があります。しかし、最初の創造事象の後にデザインの可能性を思案することは固く禁じられています。学生たちがこのような認知的条件付けに対して警戒することはほとんどなく、彼らの精神はこの世俗的イデオロギーに頻繁に囚われてしまいます。

 

アイザックの書評は、そのような哲学的偏見が持つ力を実証しています。彼は、標準的な教科書に見られるような等しく誤った情報の多くを繰り返し、一方で、この本のセクションで自分の論議を否定する部分は無視しています。

挑戦の無視

例えば、ジョナサン・ウェルズは彼が書いた章で、有名なミラー・ユーリー実験の結果が、生物学の教科書でいまだに誤って伝えられていることを説明しています。実験装置は、気体 (水素、メタン、アンモニア) を満たした容器と、その混合物をスパークさせる2つの電極で構成されていました。放電を当てると、生命を構成する重要な要素であるアミノ酸が生成されました。ウェルズは、この混合ガスがなぜ初期の地球上に存在したものと似ていないのか、その理由を詳細に説明しています。より正確な混合ガスを採用したところ、アミノ酸は微量にしか生成されませんでした。しかし、教科書はこの実験の意義をひどく誤って伝え続けています。

 

アイザックは、ウェルズの批判は見当違いであると断言しています。

 

ジョナサン・ウェルズによる第16章「教科書は生命の起源をいまだに誤って伝えている」もまた、最低限の価値しかない章である・・・確かに一部の教科書は正当化できる以上のことを主張しているが、科学界はこの実験を、核酸とアミノ酸の真の自然起源を解明したというより、これらの酸が自然の手段で生成され得ることを最初に実証したと称賛しているのだ。そのため、この仕事は多くの実りある研究の方向性に影響を与えたと信認されている。

 

アイザックの主張は極めて不正確です。ウェルズは、最近出版された教科書でさえ、現実的なバージョンの実験で複数のアミノ酸がかなりの量生成されると主張していることを記述しています。そして、その主張は事実ではありません。

 

さらに重要なのは、ジェームス・ツアーが彼の章で、ミラー・ユーリー実験が実りある研究につながらなかったことを実証していることです。それどころか、研究は行き詰まっています。この実験が行われて以来65年以上、研究者たちは、生命が自然の過程によってどのように生じ得たかの発見で全く進歩していません。ツアーは、起源に関するシナリオのほぼすべての段階で直面する、乗り越えられない数々のハードルについて詳しく説明しています。それには、構築ブロック (アミノ酸、ヌクレオチド、脂質、糖類) の合成、巨大複合分子 (例えば、RNA、DNA) の形成、機能的な細胞とするための構成要素の組み立てなどが含まれます。アイザックは、ツアーが書いたことを単純にすべて無視しています。

デザインの証拠の隠蔽

アイザックの哲学的格子は、彼がデザインの肯定的な証拠を取り上げる際にさらに劇的に表れます。アイザックは、著者たちが「隙間の神」として知られる無知に訴える論証のみを提示していると述べています。

 

注意深い読者が、これらの主要な点を思い出して、細かい点は理解できなくても、生命の起源についてキリスト教の視点を提供するというMLO-1 [『Mystery of Life's Origin』初版] の意図に留意すれば、そのメッセージは次のように簡単に結論づけられるであろう: 生命の起源について自然主義的説明は存在しないので、最善の説明は知的デザイナーである。[強調は原文]

 

アイザックは、この本がデザインに関する説得力のある肯定的な証拠を提示していないと断言しています。この主張は、彼が私の章の結論の段落をどのように引用しているかを吟味してみると、特に注目すべきものです。以下は、彼の書評に現れる引用文です。

 

要約すると、最初の細胞の形成は、いかなる無方向性の過程によっても、もっともらしく説明することができない。さらに、その最小限の要件は、紛れもない知性の兆候を実証している。・・・特に、細胞の構造と活動は、先見性、調整、目標指向性の紛れもない証拠を実証しており、これらは知的行為者の明確な兆候である。

- 368-369ページ

 

以下は、彼が切り取った部分を含む完全な段落です。

 

要約すると、最初の細胞の形成は、いかなる無方向性の過程によっても、もっともらしく説明することができない。さらに、その最小限の要件は、紛れもない知性の兆候を実証している。他のどんな文脈でも、エネルギー生産、情報処理、およびその他の特定の要件を満たすナノテクノロジー容器が特定されれば、いかなる合理的な基準によっても直ちにデザインの産物として認識されるであろう。特に、細胞の構造と活動は、先見性、調整、目標指向性の紛れもない証拠を実証しており、これらは知的行為者の明確な兆候である。[強調追加]。

 

彼が省略した文章は、私がその章の前半に含めた、複雑な細胞の最低限の必須構成要素の一部を要約したものです。私はこう書きました。

 

いくつかの研究グループは、生存可能な最も単純な細胞について、最小限のタンパク質のセットを特定することを試みてきた。これらの必須タンパク質を1つでも除くと、代謝が機能しなくなり、細胞は不可逆的に単純な化学物質に分解されてしまうだろう。同様に、NASAにいるようなシステムエンジニアは、自己複製を行う機械に必要な最小限の機能要件を分析してきた。どちらの部類の研究も、結果はいくつかの必須機能要素に集約される。

- 366-367ページ

私が挙げたリストは次のようなものでした。

  • 情報と情報処理の大規模リポジトリ。
  • 必須部品すべてを構築する製造センター。
  • 組立・設置工程。
  • エネルギー生産・配分機械。
  • 自動化された修理や部品交換。
  • グローバルな通信およびフィードバック制御システムとの連携。
  • 環境の検知および必要な対応の計算。
  • 自己複製。これは、他のほぼすべての基本的な機能に依存する。

アイザックは、私が提示したデザインに関する肯定的な証拠を検閲し、本の内容について読者を故意に誤解させたと結論する人もいるかもしれません。私はこの結論は不当だと信じています。アイザックは高潔な人物のように思われ、私は、最も思慮深い科学者の現実に対する認識をも歪めてしまう、哲学的な偏見の力を理解するようになったのです。

 

生物学と工学の研究の比較から生じる、デザインの肯定的な証拠は決定的なものです。それで、私はアイザックの無意識のフィルターがその情報をブロックして、彼の意識にさえ届かせないようにした、あるいは強いて抑制したのだと信じています。もし彼に尋ねたら、彼は私が列挙した必須構成要素を思い出すことさえできないのではないでしょうか。アイザックには、自分の隠された哲学的仮定を吟味する困難な旅を始めてほしいと願っています。そうすれば、将来の書評では、生命におけるデザインの証拠にもっと正直に取り組むことができるでしょう。