Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

ジェームズ・ツアーは科学に、デイブ・ファリーナは人格攻撃に焦点を当てた: では勝者は誰か?

This is the Japanese translation of this site.

 

ケイシー・ラスキン
2023/5/24 17:43

 

以前の投稿で述べたように、ジェームズ・ツアーとデイブ・ファリーナの生命の起源 (OOL) 討論の最中に、物事は専門的になったり、醜くなったりしました。どちらがより良い論議をしたかを判断したいのであれば、冒頭陳述を吟味することから始めるのが最善です。これらの陳述は、2人の参加者が快適なオフィスで、自分たちにできる最善の論議を考えつつ、世界に向けて言おうとした慎重な計画を反映しています。これらの陳述は、夜になって感情の熱が入り始める前に参加者たちが言いたかったことを反映しています。したがって、彼らの冒頭陳述は、彼らの核心的論議と、彼らの立場を裏付ける証拠が何であったかを物語っています。

 

単純なことです。すなわち、ジェームズ・ツアーは科学に焦点を当て、デイブ・ファリーナは人格攻撃に焦点を当てました。これは、討論の勝敗を明らかにするのに役立つ、私が取り上げる3つの注目に値する修辞的指標のうちの最初のものです。

  1. ツアーは科学に焦点を当て、ファリーナは人格攻撃に焦点を当てた。
  2. ツアーは合理的な科学的課題を提示し、ファリーナはそれに答えることを拒否した。
  3. ファリーナは子供じみた嫌がらせ、権威に訴える論証、引用ブラフに大きく依拠していた。

ここでは最初の指標について話していきます。では、具体的に掘り下げてみましょう。

ツアーの冒頭陳述

ツアーは討論の初めに、ファリーナにプレゼント — レーザー誘起グラフェンを使ったデイブ教授のプリントアウトを贈りました。それは見栄えが良く、純粋な親切心の表れとして贈られたようでした。素敵なプレゼントです!ツアーの冒頭陳述は、100%科学に焦点を当てようとしており、生命の起源モデルが現実的なプレバイオティック条件下で機能しない5つの分野を提示しました。

  1. ポリペプチド (すなわちタンパク質と酵素) の起源
  2. ポリヌクレオチド (すなわちRNA) の起源
  3. 多糖類 (すなわち炭水化物) の起源
  4. 上記のポリマー中の特定された情報の起源
  5. 上記の構成要素の、統合された機能的な生命システム、すなわち細胞への組み立て。

これら5つの課題を提示した後、ツアーは、生命の起源モデルの深刻な欠陥を認める指導的な研究者たちの言葉を引用しました。例えば、彼はシカゴ大学のジェームズ・シャピロの、「最初の生きた細胞の起源のようなある種の疑問については、現在のところ科学的に信頼できる答えはない」という言葉を引用しました。彼は、リチャード・ドーキンスの言葉も引用しました。ドーキンスは、「そもそもそれ [生命とその進化] がどのように始まったかについては、我々はダーウィンが知っていた以上のことはほとんど知らない」と認めました。最後にツアーは、リー・クローニンが言った、「生命の起源の研究は詐欺である」、なぜなら「誰も実際にその疑問に答えようとしていないし、答えられるとも思っていない」という言葉を引用しました。

 

(後にクローニンはダメージコントロールを試み、このコメントは「冗談で」なされたものだと言いましたが、彼の言葉は元々の解釈を裏付けるものでした。というのも、クローニンは、生命の起源の研究者たちは、研究室でさまざまな種類の分子、たとえばRNAを作れば、「生命の起源の鍵が開けられる」と信じるべきではないと認めました。彼は研究者たちに、「細胞をスクラッチから作り」、「細胞内のゲノムの外に具現化された偶発的な情報」を作れることを示そうとするように要求しました。これは、まだできていないとクローニンが認めたことです。)

 

ツアーはファリーナにこう言って冒頭のコメントを締めくくりました。「化学的に特定性のあるデータを見るのを楽しみにしています。それが私があなたに求めていることなので、前もって言っておきます」。

 

このように、討論の核心に入る前でさえ、ツアーは冒頭陳述で言いたかったことを言い、それはデータと実質に100%焦点を当てていました。

ファリーナの冒頭陳述

次に、デイブ・ファリーナが冒頭陳述を行いました。それはジム・ツアーの人格攻撃に焦点を当てたもので、科学についてはほとんど触れていません。以下がファリーナの冒頭の言葉で、討論全体における彼の論議の枠組みとなりました。

 

私たちはジェームズ・ツアーのせいでここにいます。ジェームズは化学者で、インターネットで生命の起源研究について嘘をつく弁明者でもあります。

 

ファリーナは続けて、ツアーが「自分が創造論者であることを認め」、「聖書的創造論を信じており」、「盲目的な信仰は常に科学的研究に打ち勝つ」と信じている (とされる) ことから、彼の「虚弱で古臭い信仰」を攻撃しました。(私の知る限り、このどれもツアーについて真実ではありません。) あまりにも多いので書き下そうとし続けるのもやっとの思いでした。いくつかを挙げてみましょう。

  • ツアーは「全くの教条主義」である。
  • ツアーは「決まって嘘をつく」。
  • ツアーは「科学者としてではなく、伝道者としてこの分野に臨んでいる」。
  • ツアーは「科学者のふりをしている」。

ファリーナは、ツアーの論議に説得力を見出す宗教的な人々を攻撃し、ツアーは「彼の偏見と妄想を共有する科学に無知なクリスチャン」のために「厄介な解説」を提供していると言いました。

 

ファリーナはツアーの出版実績も攻撃し、彼には「この論題について何かを出版する能力がないので、彼は全くの無関係になる」ように見えることを引き合いに出し、『Inference』誌に掲載されたツアーの記事を、『Inference』誌は「『Discovery Institute』の宣伝者であるデイヴィッド・バーリンスキによって立ち上げられた」のだから無視すべき、「無知な戯言」だとして退けました。この論議はもちろん発生論の誤謬を犯しており、クリストフ・アダミチャールズ・ラインウィーバーノーム・チョムスキージェレミー・イングランドローレンス・クラウスアヴィ・ローブジャン-ピエール・ルミネデニス・ノーブルマーティン・リースジェームズ・シャピロイアン・タッターソルアレキサンダー・ビレンキンなど (他にも多くの高い資質を持つ科学者の中から、知名度の高い名前をいくつか挙げたにすぎません)、数多くの非常に高名な科学者たちが『Inference』誌に記事を発表しているという事実を無視しています。

 

ファリーナはツアーへの攻撃を続け、彼が「弁明者/詐欺師」であることを示すスライドを繰り返し見せ、さらにこう言いました。「私たちがここにいるのは、ジムの詐欺行為を際立たせるためです」。彼はツアーの論議に「馬鹿馬鹿しい」というラベルを貼り、ツアーの「哀れな解説」を嘲笑し、「ジェームズ・ツアーのような弁明者が復唱するように人々を訓練しているのは」、「馬鹿げた嘘」であり、ツアーは「史上最も間抜けな藁人形」 を宣伝しており、「ジェームズはそれについて本質的に何も知らない」、 そしてツアーは「彼のような才覚の人物としては衝撃的なレベルの無能さ」を露呈しており、生命の起源について語るときに「脳が機能しなくなる」ことからツアーを「無能」と呼び、つまりは「彼の信頼性はゼロに減少する」としました。それでも足りないかのように、ファリーナは「ジェームズは厚かましい嘘つきでいかさま師」であり、「騙されやすく、彼が語っていることについて何も知らない聴衆に意図的に嘘をついている」のであり、「科学の否定を積極的に推進する病的な嘘つき」なのだ、と言いました。

 

ファリーナは奇妙な、しかし暴露的な発言で、ツアーを個人的に攻撃することを「楽しむ」と言って冒頭陳述を締めくくりました。

 

彼はご覧の皆さんの前で自分の嘘の説明責任を負わされることになるでしょう。私同様、皆さんもそれを楽しんでください。

 

皮肉や自己反省の色もなく、ファリーナはツアーを「有毒な個人」と呼び、ツアーの「専門家として大いにあるまじき中傷的な行為」を引き合いに出しました。

ファリーナのその後のコメント

今ご覧になったものは、すべてファリーナの冒頭陳述から出ています。しかし、ファリーナにとっては十分ではありませんでした。討論会の後半、ファリーナはさまざまな場面で聴衆を直接攻撃し、 彼らは「私たちのうちの誰かが語っていることについてファ〇〇〇グに無知だ」と言いました。

 

質疑応答でも、ジェームズ・ツアーに最小限の人間的な善良さを認める機会が与えられた際に、ファリーナは受け流しました。ある質問者が、討論者双方に相手について何か良いことを言うように求めました。ツアーはためらうことなく、デイブ教授の科学的コミュニケーション技能と、ファリーナが家族思いであることを称賛しました。しかし、デイブ・ファリーナはジム・ツアーについて何か良いことを言う気にさえなれませんでした。この質問に対するファリーナの答えはこうでした。「私は、あなたが嘘の台本に固執する粘り強さを称賛します」。

 

なんと。ファリーナは、ホストについて単純な良いことを一言も言う気になれませんでした。事実、ファリーナはその後、すぐにツアーについてさらに悪口を言い続けました。「彼の内容は肥溜めです」、「彼は化学を知りません」、そして「あそこ (スライド) に書いてあることがすべてでたらめだと認められないのなら、あなたは詐欺師です」と非難しました。

機能不全を起こすダーウィン討論の力学

ファリーナの冒頭陳述とそれに続くコメントには、ジェームズ・ツアーに対する、そして彼に賛同する人に対する、罵詈雑言と個人攻撃がほぼ絶え間なく流れていました。このことは、単純な疑問を招来します。もしファリーナ側にそれほど強力な証拠があるのなら、なぜこのような不愉快な戦術に訴える必要があるのでしょうか?なぜツアーのように科学だけに焦点を当てないのでしょうか?もし科学があなたの味方なら、個人的に人々を攻撃する必要はありませんし、ここでそうしたように、最終的に感覚を麻痺させるほどに繰り返すことは間違いなく必要ありません。科学を世界に示す方がはるかに効果的でしょう。これがまさしくツアーが行ったことであり、(次回の投稿で見るように) ファリーナが行わなかったことです。

 

ツアーとファリーナの対決は、私がダーウィン討論でよく観察する機能不全の力学を際立たせています。すなわち、唯物論者はしばしば、ダーウィン懐疑論者が間違っているだけでなく、私たちが不道徳で愚かである、と論じようとします。彼らは私たちの品性、真実性、能力、信頼性を中傷します。彼らの非難は突飛であり、薄弱な道徳的非難の塊に反駁するにはしばしば時間がかかります。彼らはそれを知っています。実際、彼らは、自分たちの立場の科学的弱点について語らなければならなくなるのを避けたいので、見せかけの非難に対する弁明で対話が左右されることを望んでいます。

 

それとは対照的に、私たち進化論の批判者は単に真実を追求したいだけなのです。私たちは、人々を破滅させようとも、私たちに同意しない声を沈黙させようともしていません。それで、私たちはしばしば、私たちへの批判の論議における事実誤認や論理的欠陥を指摘し、科学が本当に言っていることを示します。しかし、「メタ」的になって [訳注: 原文は「going "meta"」で、ここでは議論自体を超越した立場から、というような意味のようです。] 相手の人格を攻撃したり、彼らには意見を聞いてもらう権利がないと主張したりしようとはせず、そのままにして先に進む傾向があります。

 

ファリーナのスタイルは、特にインターネット上の無神論者の間では信じられないほど一般的であり、対話、討論、真実の探求を抑圧する醜い方法です。このように、対話を機能不全を起こす練習に変えようとするインターネット上の無神論者やその他の人々には用心してください。

 

人格攻撃に焦点を当てる人々は、真実を求めてはいません。彼らは真実を持っておらず、それゆえに真実で彼らを脅かすものを破滅させようとします。デイブ教授のツアーへの攻撃は、彼自身の見解の代弁者としてのデイブの信頼性を損なっています。もし彼の側に真実があれば、このように振る舞う理由はありません。明日にはさらに言うことがあります。