Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

カーン・アカデミーのビデオ「Evidence for Evolution」は、共通先祖について循環論法を展開する

This is the Japanese translation of this site.

 

ケイシー・ラスキン
2022/2/8 8:7

 

昨日取り上げたように、私は現在、ヘッケルのいんちきな胚の絵などの時代遅れの科学を推すカーン・アカデミーの「Evidence for Evolution」というビデオをレビューしています。人気と影響力のあるカーン・アカデミーは、生物学者ジョナサン・ウェルズが「進化のイコン」と呼んだもの、つまり長い間反駁されてきた一連の証拠が健在で、インターネット上で学生や教師などに提供されていることを示しています。このビデオは、脊椎動物の四肢の相同性という、もう一つの誤ったイコンを宣伝しています。

共通先祖についての循環論法

実際のところ、このビデオで引き合いに出されている共通先祖の証拠の一番最初のものがこれです。そこでは相同性が、「類似の構造、類似の位置、類似の先祖を持つが、必ずしも機能が全く同じではないもの」と定義されています。相同性の事例が、「類似した先祖」を持つ特徴として定義されていることに注意してください。ビデオでは、ヒト、イヌ、鳥、クジラの四肢の「骨の構造」が「不気味なほど似ている」と言い、これが共通先祖の証拠であるというオチをつけています。「これは恐らく、過去において、ヒト、イヌ、鳥、クジラが、言ってみれば構造があまり相同でない他の動物や生物よりも近い時代に共通の先祖を持つということを非常に強くほのめかしています」。

 

しかし、この論議には問題があります。もし、相同性を共通先祖から生じたものと定義するなら、一転してそれを共通先祖の論拠とすることはできません。それは循環的な推論です。ジョナサン・ウェルズは、『進化のイコン』の中で、次のように説明しています。

 

生命の樹 (系統樹) に次いで、脊椎動物の前肢の相同は、恐らく生物学のテキストで最も一般的な進化のイコンである。しかし、このイコンには二つの重大な問題が隠されている。一つは、もし相同が共通の先祖による共通性として定義されるならば、それを共通の先祖の証拠として使うのは循環論法だということ。もう一つは、生物学者たちは相同の特徴が似た遺伝子に由るものでないことを何十年も前から知っていて、それらを創るメカニズムは依然として未知のままだということである。

― 99ページ

無目的論的論議

カーン・アカデミーは、ウェルズが識別しているまさにその誤りを犯しています。ウェルズが言及する相同性の論議に共通する2番目の問題については、ビデオではまったく認識されていません。その代わりに、カーン・アカデミーは脊椎動物の四肢の「独立の」創造に反対する無目的論的論議に頼っています。ビデオではこのように言っています。

 

そして、もし誰かが、これらの異なる各種の動物の行動のための構造を個別に創造しようと試みたのなら、そのような相同な構造が実際に関わって来るのかは明らかではありません。

 

もしこれらの構造を「個別に創造しようと試みた」場合、何が起こるかをカーンはどうやって知ることができるのでしょうか?これらの類似した骨の構造に機能的な理由がないとどうしてわかるのでしょうか?

2つの単純化された構造

教科書『Explore Evolution』は、特殊なあるいは個別の創造を論じてはいませんが、脊椎動物の四肢の骨の構造が似ていることについては、共通先祖よりも機能的要件の方がよい説明だという説得力のある主張をしています。この挿絵にあるような、単純化されたそのような2つの構造を比較しています。

この教科書では次のように説明しています。

 

描かれている仮想的な四肢を見てほしい。・・・例えば、「2対1」の四肢を考えてみよう。これは、体幹に近いところに2つの骨があり、次の肢節に1つの骨があるというもので、通常の1対2のパターンを逆転させたものである。

 

さて、思いつくままに考えてみよう。この2対1の配置から生じるかもしれない機能的な困難に思い当たることはあるだろうか?この生物が直面する可能性のある実用的な問題は、ありふれた1対2のパターンでは発生しないだろうか?

 

「2対1」の四肢の可動域について考えてみよう。1対2のパターンよりも可動域は小さくなるのか、それとも大きくなるのだろうか?この質問には、自分で答えることができる。粘土の塊に、同じ長さのストローを2本取り付けよう。自由端同士をテープで接着する。このとき、つなげた点を中心として回転して、どちらかのストローが粘土から外れることなく、どこまで動かせるかに注目しよう。

 

次に、同じ長さのストローを1本、粘土につなげる。埋め込んだ端が粘土から外れることなく、ストローの自由端をどこまで動かせるかに注目しよう。

 

2対1のパターンには、機能的な問題があることがわかるだろうか?明らかに、可動域が制限されている。1対2の配列には、明らかな機能的利点が存在する。しかし、なぜ多くの生物がこれほどまでに同じ配置をしているのだろうか?

 

多くの科学者は、相同な骨格パターンについて「単にそれが歴史だから」という説明には納得していない。例えば、R・D・K・トーマスとW・E・レイフは、彼らが「スケルトンスペース 」と呼ぶ考えを発展させている。ハロウィンの仮装屋のように聞こえるが、実はこれは、幾何学的な形状と成長する材料 (骨など) が一緒になってもうまくいく方法は限られている、ということのクールな言い方である。

 

彼らの見解では、生物がなぜ似たような四肢を持つのかを理解するのに役立つのは、「単なる歴史」や共通祖先ではない。彼らは、生物の機能的要件から、骨格のパターンは限られた数しか存在しないと主張する。その要件は、幾何学、骨の特徴、成長の仕方により課される制限である。

― 47-48ページ

 

脊椎動物の四肢がなぜ同じ基本パターンの骨を持っているのかについては、機能的な説明の可能性があるので、機能的要件によりその類似性を共通祖先と同様に説明することは可能でしょう。「Explore Evolution」はここまで踏み込んでいませんが、これらの類似性は共通デザインによっても、共通祖先と同様に説明できます。カーン・アカデミーはデザインに反対していますが、デザインに賛同する論議を認識していません。

 

次回は、ビデオにあるもう一つのいんちきな進化のイコン、ウマの化石について考えてみたいと思います。

進化のイコン

進化のイコン

Amazon