Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

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進化論者: 目は「完璧に近い」

This is the Japanese translation of this site.

 

デイヴィッド・コッペッジ
2022/4/21 6:51

 

2人の進化論者が驚くべき告白をしました。人間の目は貧弱に設計されてはいないというのです。これは、インテリジェントデザインへの批判において長年行われてきた論議を崩すものです。脊椎動物の目が逆方向の網膜を持っているのには良い理由があると彼らは言います。頭足類の目は工学的デザインのより賢い例として取り上げられてきましたが、事実として、人間の目はそれを凌駕しているかもしれません。

 

この大きな再考について、私たちは2つのパートに分けて分析します。まず、人間の目のデザイン、つまり逆方向の網膜がなぜ理にかなっているのかを見ます。第2に、著者たちがこの大きな再考からダーウィニズムをどのように救おうとしているかを見ます。この物語で特に興味深いのは、著者の一人であるダン-エリック・ニルソンが、1994年にスザンヌ・ペルガーとともに、光に敏感な点が段階的に脊椎動物の目に進化しうることを示す目の進化の図で評判になったことです。リチャード・ドーキンスはその話を活用しました。そのエピソードに反論するには、ジョナサン・ウェルズデイヴィッド・バーリンスキが覚えているように、多くのファクトチェックが必要でした。

用語と事実

いくつかの用語と事実について明確にしておきましょう。頭足類 (タコ、イカコウイカ) の網膜は外向きで、光受容細胞が光源の方を向いています。脊椎動物はすべて逆向きの網膜で、光受容細胞は光源から離れた方向を向いています。他のいくつかの無脊椎動物は、そのどちらか一方の配置になっています。また、ゼブラフィッシュの幼生のように、水晶体と網膜の間に硝子体腔がない動物もいます。ヒトは、水晶体と網膜の間が硝子体液で満たされており、脊椎動物のほとんどの配置の例示になっています。

 

トム・バーデンとダン-エリック・ニルソンによる新しい論文は、今月の『Current Biology』に掲載されました。タイトルは、「Is Our Retina Really Upside Down?」です。彼らは、ある形態が他より優れていると論じているのではなく、サイズ、生息地、行動によるトレードオフのため、ある動物にとってうまくいくことが、他の動物にとって最適とは限らないと論じています。

 

しかし、一般に、どちらかの網膜の向きが他方よりも優れているとは言えない。正しいまたは間違っているという観念は役に立たない。我々の網膜は、逆立ちでもしない限り、逆さまにはなってはいない。

「逆方向の網膜」への批判の消滅

バーデンとニルソンは、進化論者の仲間の多くが、逆方向の網膜を悪いデザインだと批判していることを知っており、その批判を詳しく説明した上で、彼らの論題を述べています。

 

技術者の視点からすれば、これらの問題は網膜が反対になったなら、つまり光受容細胞が目の中心を向いていれば回避できることは自明である。そのため、人間の網膜は逆さまになっているように見える。しかし、ここで我々は、物事がそれほど白黒はっきりしていないことを論じる。事実、神経細胞の経済性に基づく進化の歴史から行動に至るまでまで、網膜のデザインが逆になっていることが有利であると考えられる理由は豊富に存在する。[強調追加]

 

28の参照文献を含むこの論文の残りの部分では、ヒトが他のすべての脊椎動物と共有している逆向きの網膜と、ほとんどの無脊椎動物が共有している外向きの網膜の利点について、進化の物語を十分に交えつつ考慮しています。こちらが、逆向きの網膜に対する具体的な批判とそれに対する回答です。

 

盲点。逆方向の網膜には、光受容細胞から出た神経を束ねて、脳への視神経に合流させるための穴が必要です。このいわゆる盲点は、「悪いことばかりではない」と彼らは指摘しています。盲点は人間の場合、視野の1%しかなく、もう片方の目からのデータで満たされてしまいます。「さらに、この厄介な点にもかかわらず、体の動きによって視覚シーンの適切なサンプリングが可能になっている」と彼らは言います。「結局のところ、あなたが自分の盲点によって最後に不便を感じたのはいつだろうか?」

 

光学的に妥協した空間。確かに、光受容細胞の前にある神経細胞のもつれは、光学的な質を低下させるのではありませんか?バーデンとニルソンは、いくつかの理由から、そうではないと言っています。

 

神経組織の層を通して外を見ることは、脊椎動物の視覚にとって重大な欠点に見えるかもしれない。とはいえ、脊椎動物には、あらゆる動物の中で最も鋭い視覚をもつ猛禽類も含まれ、一般的にも、脊椎動物の視力は、典型的には網膜の欠陥ではなく、光の物理学によって制限されている。同様に、脊椎動物の目では、光受容細胞体も網膜像の障害となるが、視力を強く制限してはいないようである。むしろ、魚類、爬虫類、鳥類を含むいくつかの系統では、これらの細胞体には色覚を改善する油滴や、エネルギーを供給するだけでなく光受容細胞の外節に光を集中するのを助けるミトコンドリアの塊が含まれている。

 

彼らは光受容細胞への導波管として働くミュラー細胞については特に言及していませんが、それらは確かに逆向きの網膜における「デザイン上の挑戦に対処した」「驚くべき」方法の1つです。

逆向きの網膜の利点

逆向きの網膜には明確な利点もあります。

 

前処理。外向きの網膜がうまくできないことのひとつは、情報を脳に届く前に処理することです。バーデンとニルソンは、これがなぜ非常に有益であるかについて、時間をかけて議論しています。

 

逆向きのデザインの利点を十分に理解するには、視覚情報がどのように処理されるのが最善かを考える必要がある。自然光の構造には高い相関があるため、目によって抽出される光のパターンの大部分は冗長である。網膜での処理を用いて、脊椎動物の目はこの冗長性の多くを切り捨て、脳へ伝えるべき情報量を大幅に減らしている。これにより、膨大な量のエネルギーが節約され、視神経が細く保たれるため、眼球運動がしやすくなる。

 

例えば、青空はほとんど冗長な情報で構成されていると彼らは言います。脊椎動物の目は、空を背景に飛ぶ鳥の影のような、新しい情報や予期せぬ情報に集中することに「真に秀でている」のです。視覚野の変化していない部分を監視する神経細胞は不活性にとどまり、エネルギーを節約できます。さらに、別のところで報告されているように、脊椎動物の目には、脳に送られる情報を前処理する特殊な細胞の層があり、目に「予測符号化」を与えています。彼らはここでその事実に触れています。

 

眼球内の広範な局所神経回路は、2つの厚く濃密に相互接続されたシナプス層により可能になっているが、情景の驚くほど効率的な並列表現を実現している。予期せぬ信号の存在によるスパイクの大部分は、その信号が視神経を形成する神経節細胞に到達するまでには引き起こされている。

 

有用な空間。逆向きの網膜は、前処理細胞の「広範な局所神経回路」を配置するために、硝子体腔をうまく利用しています。イカの目では、光受容細胞が視葉にぴったりとくっついているため、そのような利点はありません。ここで、バーデンとニルソンが「悪いデザイン」批判に対して実に雄弁に形勢を逆転させているのを、彼ら自身の言葉で読むべきでしょう。

 

我々の主題に話を戻すと、脊椎動物の目の眼球内空間は、このような初期処理に理想的な場所であり、脊椎動物の網膜が実は巧妙に正しい方向に向いていることを示唆している!・・・最もよく研究されている例として、ゼブラフィッシュの幼生を取り上げると、神経節細胞の細胞体と軸索は水晶体のすぐそばに押し込まれており、もう一方の端には光受容細胞の外節が眼球を覆う色素上皮にきちんと収まっている。明らかに、脊椎動物の完全に機能する最小の眼球では、逆向きの網膜によって眼球内の地所を1立方ミクロン単位で有効活用することが可能になっている。対照的に、今度は頭足類の網膜が突然、厄介な方向を向いているように見えてしまう。・・・小さな目にとって、逆向きの網膜のデザインは恩恵であるのに対し、外向きのデザインは目の中の非常に貴重なスペースを浪費しているのだ。この推論によれば、頭足類の網膜の向きは不幸であり、一般的な通念とは対照的に、正しい向きにあるのは脊椎動物の網膜なのである。

「完璧に近い」

彼らの論議の最高潮として、彼らは「性能の面では、脊椎動物の目は完璧に近くなっている」と結論しています。これは、この驚くべき逆転劇において、哀れなタコが敗者であることを意味するものではありません。もし科学者が頭足類の、その動物自身の状況における目の性能についてもっと知っていたら、おそらく同じような結論が正当化されたことでしょう。「外向きおよび逆向きの網膜デザイン原理には、どちらにも利点課題、あるいは『機会』とでも呼ぶべきものがある」のです。

 

確かに、これだけの工学とデザインの話があれば、著者たちはダーウィンの船を降りてIDコミュニティに飛び込む準備ができているのではないでしょうか?進化論者の強情さと話術能力を過小評価してはなりません。次回は、彼らがこの工学的完成度のすべてをダーウィン的用語でどのように説明するのかを見てみましょう。