Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

リバースエンジニアリングとしての生物学

This is the Japanese translation of this site.

 

ブライアン・ミラー
2022/1/13 14:06

 

私は物理学と工学を専攻しているため、 インテリジェントデザインの議論には、生物学者とは少し違った角度から臨みます。ではここで、興味深い質問をします。生物学は物理学や化学に匹敵する科学なのでしょうか?私は、そうではないと考えています。

宇宙人の船

むしろそれは、リバースエンジニアリングの領域に属するものです。私が好んで使うアナロジーは、NASAがエリア51にある洞窟の中で墜落した宇宙船を発見したとするものです。彼らは、その宇宙船を理解することを、彼ら自身よりも優れた知性によって造られた人工物をリバースエンジニアリングする作業と見るでしょう。彼らは化学者や物理学者に参加を依頼するでしょうが、エンジニアにも参加を依頼するでしょう。後者は、包括的なデザインロジックと船に積載されている何らかの人間工学に類似したシステムの識別を試みるでしょう。それから、識別したデザインモチーフに基づいて、システム構成要素の目的とその相互関係を見極めようとするでしょう。また、デザインモチーフの根底にある論理に基づいて、どのような構成要素が発見されそうかを予測するかもしれません。

 

システム生物学者は、まさにこのアプローチで生命のシステムや構造を理解しています。この論題についての私の愛読書は、『System Modeling in Cellular Biology: From Concepts to Nuts and Bolts』(マサチューセッツ工科大学出版局) です。

 

以下は、39ページにある例です。

 

工学的には、高速で、可能であれば事前警告するリモートセンシングによって可能になるフィードバック制御 (とフィードフォワード制御) が、環境や構成部品の変動に対する頑健性を提供する最も強力なメカニズムであることが知られている。E. coliの熱ショック応答は、詳細モデリングとそれに続く中核的要素へのモデル低次元化によって示されているように、全く同じ原理を採用しているようである (エル-サマド他、2005年)。

生物学におけるデザインの証拠

工学に基づく分析を適用することの利点と予測力は、すでに学術的な文献で実証されています。工学を学んだことのある人にとって、生物学におけるデザインの証拠は明らかです。

 

私が所属する工学研究グループでは、このアプローチを実証するためにいくつかのプロジェクトを立ち上げました。その最初の1つが、ウォルディーン・シュルツが支持したもので、彼は現在、細菌の鞭毛に関して『BIO-Complexity』に3つの記事を執筆しています。ケイシー・ラスキンと私は、このことについて最近、こちらこちらに書きました。印象的だったのは、シュルツが鞭毛の詳細の多くを予測し、解明できた方法です。一例として、マイケル・ベーエはシュルツの斬新な洞察に非常に感銘を受けています。

 

多くのシステム生物学者は、すでにデザインに基づく仮定、言語、方法を用いています。しかし、要するに、彼らは単にその工学的手腕の栄誉をしばしば進化に帰しているに過ぎません。彼らは、自分たちの仕事と何らかの実体のある進化の過程の間に論理的な接続を一切持たせようとはしません。この皮肉な状況は、芸術の才能のない人が、芸術の天才のスタジオに押し入って、その人の作品を全部盗んでしまうようなものです。そして、その泥棒は、その芸術を自分の作品だと主張し、その天才の生産性の低さを批判するのです。