Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

反人種差別主義者は、人種差別のこの非宗教的な根源をしばしば無視する

This is the Japanese translation of this site.

 

リチャード・ウェイカート

2022/5/10 13:42

 

今日、学者たちは、私たちの社会における人種差別を暴露する本を大量生産しています。2021年に学術系出版社から出版された3つの顕著な例として、アンシア・バトラーの『White Evangelical Racism』、ランドール・バルマーの『Bad Faith: Race and the Rise of the Religious Right』、J・ラッセル・ホーキンスの『The Bible Told Them So: How Southern Evangelicals Fought to Preserve White Supremacy』があります。NPRでは同じようなことを繰り返し聞けます。例えば、2020年7月のレポート「White Supremacist Ideas Have Historical Roots in U.S. Christianity」や、2021年中の多くのレポートで、「クリスチャンナショナリズム」に内在する白人至上主義について警告しています。

 

人種差別の宗教的ルーツを検証し、暴露することは有益である一方、この言説から、今日の白人ナショナリストクー・クラックス・クランの直系の後継者であり、彼らは人種差別イデオロギーを推進するために実際に宗教を利用 (誤用) したという誤った印象を受けるかも知れません。

人種差別の本当のルーツ: 疑似科学

この議論においてしばしば無視されがちなのは、科学的人種差別の歴史で、それはある意味で、ほとんどの宗教的な形式の人種差別よりも悪質でした。これは、歴史家が科学的人種差別を完全に無視してきたと言っているのではありません。実際、私は以前の著作や、最近出版した『Darwinian Racism: How Darwinism Influenced Hitler, Nazism, and White Nationalism』でこの学問的議論に寄与しました。

 

しかし、科学的人種差別が提示される仕方と、宗教的人種差別が扱われる仕方は、大いに異なっているようです。宗教的人種差別についての多くの学術的著作やNPRの記事は、宗教 — 特にキリスト教福音派 — がいまだに人種差別に大きく汚染されていることを前提としています。実際、2021年の『Scientific American』の論説「Denial of Evolution Is a Form of White Supremacy」は、創造論者を白人至上主義者としてあからさまに非難し、若い地球の創造論者のリーダーであるケン・ハムが (アフリカ系アメリカ人との) 共著で人種差別に激しく反対している事実を完全に無視しました。

 

科学的人種主義についてのほとんどの著作は、過去に科学者たちが人種差別的な考えを助長する過ちを犯したことを認めていますが、それからその歴史家たちは、後の科学者たちがこれらの誤導された考えを克服したということで、科学の勝利を祝うのです。もちろん、今日のほとんどの科学者は、今日のほとんどの宗教指導者と同じように、人種差別を否定しています。例外の1つは、ノーベル賞を受賞した生物学者ジェームズ・ワトソンで、人種差別的な発言をしてしばしば同僚から非難されています。

部屋の中の優生学

もし大多数の科学者が人種差別を否定するならば、科学的人種差別はもはや問題ではない、と結論づけられるかもしれません。宗教的なレイシズムの方が本当はもっと重要な対象なのかもしれません。しかし、この結論は、部屋の中の象を無視したものです。

 

どんな象でしょうか?では、今日見られる白人ナショナリストが実際に何を信じているのか、検証してみるのはどうでしょうか?彼らはどのようにして自分たちの人種差別的イデオロギーを正当化しているのでしょうか?私は自著『Darwinian Racism』を執筆する際の調査で、多くのネオナチ、白人ナショナリストオルタナ右翼の個人・団体のウェブサイトや出版物を吟味しました。私が発見したのは、今日のほとんどの白人ナショナリストや白人至上主義者は、科学的人種差別の社会ダーウィニスト版を受容し、キリスト教に激しく反対しているということでした。

『Might Is Right』

私がこれまで読んだ中で最も悪質な社会ダーウィニストによる人種差別のひとつは、ラグナル・レッドベアード (筆名) の1896年の著書『Might Is Right』で、現在白人至上主義者の間で人気となっています。実際、2019年にギルロイ・ガーリック・フェスティバルで3人を殺害し、17人を負傷させた19歳の銃撃犯は、直前にソーシャルメディアでレッドベアードの本を読むことを勧めています。

 

多くの白人ナショナリストのウェブサイトがこの本を推奨し、中には販売しているところもあります。レッドベアードの本の副題は「Survival of the Fittest」で、人種間の生存競争の必要性は避けられないといった、ダーウィン的なテーマが織り込まれています。非白人種を卑下するだけでなく、レッドベアードの本はキリスト教を声高に攻撃しています。

適者生存・・・人種

多くの白人ナショナリストは、人種が異なるレベルに進化したと考えているため、ダーウィニズムが彼らのイデオロギーを直接的に支持していると主張しています。彼らは、人種は無慈悲な生存競争を強いられていると確信しています。彼らが白人至上主義へ傾倒するのは、ダーウィン的な生存競争に勝利しようと努力しているためです。

 

人種差別の宗教的根源と戦っている人々は、しばしば人種差別の名残を発見しますが、それは有益なことでしょう。しかし、ときに彼らは、人種差別の最もあからさまな推進者を野放しにしているように見えることがあります。それは、今日の白人ナショナリストの多くが徹底して世俗的であり、宗教よりもダーウィニズムと科学に触発されていると認識することに抵抗があるからなのでしょうか?