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ケイシー・ラスキン
2023/5/15 6:30
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リチャード・ドーキンスは進化生物学者として、また無神論の積極的な支持者として有名です。彼は、ベストセラーとなった『神は妄想である』などにおいて、生命の背後にあるデザイナーが存在しないことを強く言明しています。彼の立場に照らして、誰かが彼に投げかけるべき質問があります。科学者は、しばしば予測を立てることで仕事をします。証拠が出てくれば、その予測が真か偽かが示されるでしょう。それは深刻な結果になるかもしれません。ドーキンスの場合、彼は繰り返し、進化を証明すると彼が当時考えていたテストについて述べてきました。しかし現在では、蓄積された科学的証拠を考慮すると、同じテストは結論としてインテリジェントデザイン (ID) を要求します。彼はその結論を受け入れ、IDの支持者として名乗りを上げるのでしょうか?
ドーキンスが定式化したテストはこのようなものです。彼は、ダーウィン的進化が正しければ、ある生物群のすべての遺伝子が「ほぼ同じ生命の樹」をもたらすと言っています。一方、IDが正しければ、デザイナーは各生物において「その「業種」にあった最良のタンパク質」を「とりあげ、選んだ」ことでしょう。その場合、遺伝子はすべてが同じ遺伝的類似のツリーをもたらすことはない、と彼は言います。
ドーキンスは、2009年の著書『進化の存在証明』の中でこのテストを提示しました。彼は、このテストが「進化を支持することのほか強力な証拠」であると述べました。彼は当時、それぞれの遺伝子が本当にほぼ同じ樹をもたらすと信じていたようです。彼は次のように書いています。
DNA (あるいはタンパク質) の比較による証拠は、どの二種の動物が他のものよりも近い親戚であったかを――進化論的な仮定にもとづいて――決定するのに使うことができる。これを、進化を支持することのほか強力な証拠に変えるのは、それぞれの遺伝子について別々に、遺伝的類似のツリーを構築できるという事実である。そして、結果として重要なのは、あらゆる遺伝子がほぼ同じ生命の樹を生みだすということだ。またしてもこれは、あなたが本当の系統樹を扱っているとすれば予測される、まさにその通りのことなのである。もし設計者(デザイナー)が全動物界を調査し、生物界のどんな場所で発見されようとも、その「業種」にあった最良のタンパク質をとりあげ、選んだ――あるいは「借用」したとしたら、そもそもそんな予測は立てようがない。[強調追加]
452-453ページ
彼は他の時にも言っている
ドーキンスがこの予測をしたのは、その時だけではありません。彼は2009年のインタビューでもそう言いました。
最も説得力のある単一の事実または観察として指摘できるのは、・・・好きに選んだ動物のペアの・・・遺伝子を比較したときに見える類似したパターンでしょう・・・それから、類似をプロットすると、それらは完璧な階層、完璧な系統樹を形成します。そして、それが系統樹ではないとしたら、唯一の代案は、知的なデザイナーが故意に最も陰湿で狡猾な仕方で私たちを欺こうとしたことです。
2010年のインタビューで、彼は再び次のように言いました。
同じ系統樹が得られます。もはや機能しない遺伝子、痕跡に過ぎず、何もしていない遺伝子を使っても、同じ系統樹を得ることができるのです。・・・ これは圧倒的に強い証拠です。それが進化の真実性を証明すると言うことから逃れる唯一の方法は、知的なデザイナーである神が、故意に私たちに嘘をつき、故意に私たちを欺こうとした、と言うことです。
これは単純なテストです。ドーキンスは2つの競合する予測を、1つは進化に、1つはインテリジェントデザインに対して設定しています。彼は、進化が生命の樹の異なる表現の間の「完璧な」一致を予測すると主張します。その証拠は非常に「強力」であり、「進化の真実性を証明する」と彼は信じています。一方で彼は、進化の「代案」、すなわちインテリジェントデザインの予測として、異なる遺伝子ベースの樹の間の不一致や矛盾を挙げています。
データは何を示しているか?
何年も後の現在、科学者たちは膨大な数のゲノム全体の配列を決定してきました。その結果、ドーキンスが間違っていたことが分かりました。あらゆる遺伝子が「ほぼ同じ生命の樹」を生みだすわけではないのです。
この論点については、私やほかの人が以前にも書いたことがありますが (例えばこちら)、最近、ロンドン大学クイーン・メアリー校の進化ゲノミクスの教授の就任講義を見て、再びこのことを考えました。その講義の主題は興味深いことに、「Trees of Life: Do They Exist?」です。
教授のリチャード・バッグス博士は、系統学的研究を行う科学者は通常、ダーウィンの生命の樹の存在を仮定していると言及しています。実際にその存在の証明を模索する人は、文献上では非常に稀です。 その稀な例の1つとして、彼は『進化の存在証明』でのドーキンスの言説、および1982年に発表され、ドーキンスが参照した『Nature』の論文を指摘しています。講義の中で、バッグスはドーキンスが言った、「あらゆる遺伝子がほぼ同じ生命の樹を生みだす」という言葉を引用しています。それからバッグスは次のようにコメントしています。
私のように毎日配列データを扱う仕事をしている人の多くは、私がこの言葉を読み上げるのを聞いて、おそらく少したじろいだことでしょう、実はそうではないのですから。
実際、バッグス自身の研究から導かれ、彼が『Nature Ecology & Evolution』に共著で掲載された論文「Convergent molecular evolution among ash species resistant to the emerald ash borer」では、近縁種のトネリコの間で異なる遺伝子が大きく異なる遺伝子系統樹につながりました。講義で彼は、確かに論文では「総意となる」樹が作成されましたが、それは遺伝子が同じ樹を与えたことを意味してはいない、と述べています。むしろ、それは「非常に多様な遺伝子系統樹から得られた最良の樹」でした。
この例は、ある属の中の種だけに注目しており、種同士が交雑する可能性が残っているため、ドーキンスに退けられるかもしれません。しかしバッグスは、研究対象の種が非常に異なっていても、異なる遺伝子は異なる樹を与えることが分かっていると指摘します。彼は、真正双子葉類 (子葉を2枚持つ顕花植物のグループ) の関係を研究した論文を例に挙げています。これは生命の樹の奥深くまで踏み込んだ研究です。彼はその論文から、様々な遺伝子ベースの樹の「不一致」を明らかにした図表を示しています。
バッグス博士は続けて次のようにコメントしています。
それで、ダーウィン的な生命の樹は、リチャード・ドーキンスのテストによると、あまり裏付けがないようですね。彼が知的デザイナーに対して設定した仮説の方が似ているように見えます。
ドーキンスの進化のテストは、設定された条件に従って、IDを支持することになったのです。
では、リチャード・ドーキンスは今、この論点でどのような立場にあるのでしょうか?彼は今でも、このテストがIDとダーウィン的進化の対決のための強力なテストだと考えているのでしょうか?彼はテストを放棄するのでしょうか、それとも今やIDに説得されるのでしょうか?それとも、今の彼は進化がどのように働くかについて考えを改めたのでしょうか?
近年のその他多くの論文
このようなことを言っているのはバッグス博士だけではありません。最近発表された他の論文からも、生命の樹の間の不一致を示す例がたくさんあります (強調はすべて追加)。
- ドミニク・シュレンプ、ゲルゲイ・ソリューシ (2020年)。「The Sources of Phylogenetic Conflicts」、『Phylogenetics in the Genomic Era』所収、C・スコルナヴァッカ、F・デルシュク、N・ガルティエ編、3.1章、1-23ページ (2021年)。
この論文では、「遺伝子間で矛盾する系統学的シグナルはありふれたものである」ことが分かったとしています。 - リチャード・H・アダムス、トッド・A・カスター、マイケル・デジョルジョ、「PhyloWGA: chromosome-aware phylogenetic interrogation of whole genome alignments」、『Bioinformatics』37巻(13号)、1923-1925ページ (2021年)。
この論文にはこう書かれています。 「当面の課題は、ゲノム全体のデータで観察される、広範に存在する系統学的矛盾に対処することである」。 - キャロライン・パリンス-フクチ、グレゴリー・W・スタル、スティーブン・A・スミス、「Phylogenomic conflict coincides with rapid morphological innovation」、 『米国科学アカデミー紀要』(PNAS) 118巻、No. 19: e2023058118 (2021年)。
この論文は、「遺伝子系統樹が種系統樹の分析と対立する系統学的矛盾は、ゲノムの至る所で、および生命の樹のあらゆる所で普通に見られる」と指摘しています。 - ゴンサーロ・ヒリベット、「Genomics and the animal tree of life: conflicts and future prospects」、『Zoologica Scripta』45巻: s1号、14-21ページ (2016年)。
同様に、この論文はこう述べています。「『新入り』であるゲノム系統学は、分子系統学でこれまで見られなかった別のタイプの論争を加えている。大いに支持されつつ互いに矛盾する結果である」。 - ノセンコ他、「Deep metazoan phylogeny: When different genes tell different stories」、『Molecular Phylogenetics and Evolution』67巻: 223-233ページ (2013年)。
この論文は、動物の類縁関係を精査する研究をレビューし、多くの矛盾例を発見しました。
後生動物の生命の樹の基部にある極度の不一致のパターンの原因を解明するために、我々は非相称動物の分類群を強化した122の遺伝子を含むスーパーマトリクスを新規に構築した。・・・遺伝子マトリクスが異なると語られるストーリーも異なる。・・・この系統樹内の深いノードについての分析の欠如は、以前に発表された後生動物の系統発生論の間の主要な矛盾を反映しており・・・最も適合性の高いモデルでは、左右相称動物、腔腸動物、平板動物-海綿動物のクレードの相対的な位置は未解決のままであった。・・・ここで提示したものと、以前に発表されたものとの間にある、複数の矛盾する後生動物の系統発生論には、末端枝が長く、内部枝が短いという共通する一つの特徴がある。・・・ 要約すると、本研究では3つの一致しないものの、強く支持される系統樹トポロジーを生成した・・・。
- レディ他、「Why Do Phylogenomic Data Sets Yield Conflicting Trees? Data Type Influences the Avian Tree of Life more than Taxon Sampling」、『Systematic Biology』、66巻 (5号): 857-879ページ (2017年)。
この論文には、大量のデータをサンプリングすることで、系統樹間の矛盾を解決できると科学者たちが期待していたことも記されています。しかしその期待は、特に鳥類の綱内では打ち砕かれました。大規模なデータマトリクスを系統学的解析に利用するゲノム系統学は、生命の樹において難題を抱える節を解決する究極のソリューションとみなされてきた。しかし、このような大規模なゲノムデータセットを解析すると、系統発生の推定おける矛盾という結果にもなることが明らかになってきた。・・・ゲノム系統学は、生命の樹を解明するというこの約束を果たす用意ができているように思われていた。しかし、大規模なデータマトリクスを解析すると、トポロジーが一致しないことがあり、データ収集だけではこの目標に到達できないことが強調されている。
- セドリック・ブレとジョン・M・アーチボルド、「The past, present and future of the tree of life」、『 Current Biology』31巻: R311-R329ページ (2021年)。
「生命の樹」仮説の支持者と批判者の間の討論についてのこのレビューは、遺伝子ベースの系統樹の矛盾は、たとえそれが遺伝子の水平伝播のような過程によって不明瞭にされたとしても、系統の何らかの垂直的なシグナルが依然として存在することを前提としていますが、いかに頻繁に起こり得るかを認めています。20年ほど前、原核生物のゲノムが異なる進化史を持つ遺伝子で構成されている事実が認識され、生命の樹の基盤が揺らいだ。・・・続いて、1990年代後半に全ゲノム配列決定が急展開し、比較ゲノミクスが台頭したことで、ウーズの系統樹が検証され、確固たるものにされると期待された。これらの希望は短命であった。系統学はすぐに、同じゲノム内の異なる遺伝子が非常に異なる系統樹トポロジーを生み出しうることを示し、近縁の生物でさえ遺伝子含量が大きく異なることが判明したのである。新たな進化的力に頼ることになった。異なる種間での遺伝物質の交換、すなわち遺伝子の水平伝播である。・・・
[・・・]
現存するすべての種を統合する統計的な生命の樹を解明することは、広範な遺伝子の水平伝播があっても残存するのは局所的な系統樹のパターンだけであろうという予想に反して、いまだに可能かもしれない。しかし、それはもはや生物の遺伝的歴史を完全かつ包括的に表現するものではない。というのも、それはどの単一の遺伝子の歴史も追っていないからである。生命の樹が今も成立するとすれば、それは限定的な意味においてである。・・・したがって、分類のために生命の樹が使われ続けているのは、自然分類へのコミットメントと同様に、その実用的な利便性と歴史的・文化的惰性の反映なのである。
ゲノムデータから系統学的シグナルを抽出することは困難な場合があり、古代の類縁関係の証拠の多くは、良くても決定的ではない。系統樹を構築するようにデザインされた系統学的手法は、それが根底にあるデータに最も適合していてもいなくても、そのようにする。一方でネットワークは、ある解釈を強いることなく、ゲノムデータの不一致を捉える。 - ジュリ・ベルワルド、「Why evolution is not a tree of life but a fuzzy network」、『Aeon』(2022年)。
この記事は、カリフォルニア大学バークレー校の遺伝学者ラスマス・ニールセンの言葉を引用しています。「進化を樹のように抽象化することは、少し不十分であることは常に分かっていました・・・しかし今、私たちはそれが本当に不十分であることを知っています」。
ニールセンは続けました。「『分岐してまた合流し、DNAの断片をあちらこちらから取り入れる過程は、生命の樹のあらゆる所で常に起きていることだと思います』とニールセンは言った。『そしてそれは、生命の樹ではなく、実際には生命のネットワークなのだと、私たちの考え方を実際に大きく変えています』」。
したがってこの記事では、生命の歴史を樹木ではなく網目状のパターンとして描写しています。「網目状進化の仮説は、種は互いに孤立しておらず、ヘッケルの枝分かれした樹が提唱するようなものではないというものである。むしろ、種は分岐と融合の両方を行う。生命の樹は、樹よりもニシキヘビの皮膚の網目状のパターンのように見える」。
伝統的な垂直的共通系統では予想されない場所に遺伝子が現れるというこの現象は、非常に頻繁に見られます。「遺伝学者が調べた生命の樹のすべての枝で、移動する遺伝子が見つかっている」のです。この記事は、「もし種が系統樹の枝の末端にきちんと留まらないとしたら、それはヘッケルの進化の樹モデルにとって何を意味するのだろうか?我々はそれを捨てるのだろうか?」と尋ねています。
ある論文は、魚類の類縁関係についての研究を吟味し、次のことを見出しました。「長い間、この大きなグループを研究する遺伝学者たちは、その進化の歴史をめぐり、異なる研究が互いに矛盾するように思える異なる類縁関係を見出す状況に頭を悩ませた」。
この記事は、鮮やかで整然とした進化系統樹は正確ではないと説明して締めくくられています。「私は学生たちに再び話す機会があったらと想像している。私はヘッケルの樹をスクリーンに映し出し、これは時代錯誤だと彼らに伝えるだろう」。
テストをテストする
ドーキンスのインテリジェントデザインのテストの妥当性について述べずに結論を出すわけにはいきません。ある面では疑わしいのですが、別の面ではある程度理にかなっています。 インテリジェントデザインは、系統樹間の「完璧な」一致についての最良の説明ではないという点では、彼はおそらく正しいでしょう。しかし、科学理論としてのIDは、すべてがデザインの結果でなければならないと主張しているのではありません。結局のところ、完璧な系統学的一致が最も実証するのは共通祖先であり、インテリジェントデザインの支持者の中には、共通祖先の中にオリジナルのデザインが存在する可能性があるとして、この考えを受け入れている人もいます!
ドーキンスは、遺伝子の樹状分布がどの程度であってもインテリジェントデザインを論駁するものだと主張している点でも誤っているでしょう。なぜなら、デザインされた構造には機能が搭載されており、機能的構成要素はしばしば論理的、機能的に必要な方法で他の機能的構成要素に依存し、相互作用するからです。これは、非ランダムな相関関係と、階層的に分布した形質につながります。すなわち、デザインはデータセットに樹状構造を与えることができるのです!
例えば、シャツにボタンが見つかれば、ボタン穴も見つかるでしょう。車の車輪を見つけると、ほとんどの場合、車軸も見つけることになります。このような相関関係は、形質の樹のような分布につながります。物理学者のブライアン・ミラーは、最近の本『Science and Faith in Dialogue』でこの概念を説明しています。
デザインアーキテクチャはしばしば階層的パターンに分類される。すべての運搬用車両は、貨物や乗客のために割り当てられた空間、推進システム、ステアリングなど、ある共通の特徴を持っている。自動車は、これらすべての特徴に加えて、車輪、ブレーキ、冷却剤、潤滑油、車軸などの部品を備えている。トヨタ・カムリのモデルは、これらすべての特徴に加えて、付加的な特殊化された部品を備えている。運搬用車両における類似性は、少なくともある構成された系統樹に収まるであろう。異なる種のグループも同様である。
生物学的形質の間に、データセットに樹状構造をもたらす相似の相関関係が数多く存在することに疑いはありません。例えば、哺乳類における鼻の遺伝子は、おそらく鼻毛の遺伝子と共に見つかるでしょう。また、陸棲四肢動物の足の指の遺伝子は、しばしば足の爪の遺伝子と相関しています!しかし、知的行為者は入れ子構造の階層に従って形質を分布させるように強制されてはいません。したがって、ミラー博士が説明するように、ある種の樹状構造を発見する一方で、多くの非樹状形質分布を発見することは、デザインの合理的な予測です。
人間の製品の特徴の多くは、階層的な樹状パターンに収まるが、そのパターンを破るものも多い。パトカーと飛行機には双方向無線があるが、他のほとんどの車には双方向無線はない。さらに、同じような目標を達成するために、多種多様な自動車に同じ回路が実装されている。このパターンは、エンジニアがしばしば多様な背景で使用できるモジュールを創造することを反映している。モジュールは、異なる製品で動作することを明確に意図してデザインされなければならず、モジュールを使用する製品は、その動作にモジュールを適切に組み入れるようにデザインされなければならない。同じパターンと制約が、生命にも観察される。
コンピュータ科学者のウィンストン・エバートは、依存関係グラフを通して「共通のデザイン」を理解するモデルの開発さえ行っています。
追加の注記です。2009年のインタビューで、ドーキンスは「もはや機能的ではない遺伝子」、いわゆる偽遺伝子について言及しています。ドーキンスは、異なる種のゲノムの同じ場所に同一の非機能遺伝子を置くデザイナーはいないため、これはインテリジェントデザインを論駁するものだと論じています。しかし、多くの偽遺伝子が機能を持つことが今は知られていることからすると、この論議は弱いでしょう。本当に非機能的な偽遺伝子の共有は、おそらく共通デザインよりも共通祖先の方がうまく説明できるでしょう。そうは言っても、現在それらが非機能的だとしても、そのような偽遺伝子は元々は機能的に設計されていましたが、時間の経過とともに機能が退化し、「もはや機能的ではない」ようになったという可能性もあります。
ここでもまた、デザインと共通祖先が交差する可能性があります。偽遺伝子は ― もし本当に非機能的であれば ― 共有の元々は機能的にデザインされていたかもしれませんが、種ごとに別々にデザインされたというよりも、共通祖先においてデザインされた可能性が高いでしょう。偽遺伝子についてのドーキンスの要点は、大規模スケールでのデザインのテストではなく、別個でありながら共通のデザインを、共通祖先 (それでも潜在的にデザインが関わることは可能) と比較したテストにすぎません。
リチャード・ドーキンスは今何を言うのか?
いずれにせよ、上で引用した論文や記事がインテリジェントデザインを支持するために書かれたものではないことは事実です。しかし、それらは系統樹の間に頻繁に矛盾があることを肯定しており、異なる遺伝子や異なる種の間で非樹状データがあることを肯定しています。この結論は、古い論文や生命の樹の端点を研究した論文からだけではなく、動物や植物や微生物の根本的な類縁関係のような、系統樹の重要な側面を調べた最近の研究からも得られます。そして、このように系統樹の間で頻繁に起こる不一致や不調和は、まさにインテリジェントデザインによって予言されるとドーキンスが言っていることなのです。
ドーキンスは、ダーウィン的進化対インテリジェントデザインのテストを設定しました。彼は自身が繰り返し述べてきたことを受け入れる必要があります。彼は自分の予測が進化にとっては失敗し、インテリジェントデザインにとっては成功したことを認めるのでしょうか?