Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

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バージェス: 骨格の関節における「貧弱なデザイン」の主張は、批判者の工学についての訓練の欠如に基づいている

This is the Japanese translation of this site.

 

ブライアン・ミラー
2022/9/14 12:00

 

ブリストル大学およびケンブリッジ大学の工学教授であるスチュアート・バージェスは、30年近くにわたって生体力学を研究してきました。彼は英国を代表する技術者の1人です。今年の初め、彼は科学と信仰に関するウェストミンスター会議で、「Why Human Skeletal Joints Are Masterpieces of Human Engineering: And a Rebuttal to the ‘Bad Design’ Arguments」と題する講演を行いました。彼は、人間の骨格の関節が工学の驚異であり、最適にデザインされていることを実証しました。特に、彼は生物学者ネイサン・レンツの著書『人体、なんでそうなった? 余分な骨、使えない遺伝子、あえて危険を冒す脳』にある、手首と足首には役に立たない骨が含まれているという主張を論駁しました。

科学の誤用

バージェスの講義は、生物学におけるデザインの証拠を抑圧することを狙った、科学の最も一般的な誤用の1つに立ち向かっています。レンツのような無神論者は、生命はしばしば工学的な不格好と無能を示すと主張するために、生物学的システムに関連する科学的証拠を著しく誤って表現してきました。レンツによって、または『ゲノムと聖書』のような他の本に列挙された、貧弱なデザインとされる例のほとんどは、それらの本が書かれたときには虚偽であることが知られていたか、またはその後信用を失ってきました。ずさんな学問の結果であるそのような虚偽の情報は、宗教的信奉者の信仰を逸脱させ、無神論者や不可知論者から、創造者への信念を追求する機会を奪いました。

 

手首と足首に関連して、レンツは著書の中で下記のように断言しています。

  • 「手首という小さな領域に、八つの完全に独立した骨が石積みのようにぎゅっと詰まっていて、誰がみても、それらの骨はいかにも役に立っているように思える。」(33ページ)。
  • 「人体には優れたデザインの関節がある。思い浮かぶのは肩関節や股関節だ。だが、手首はちがう。まともな技術者なら、これほど多くの個別に動くパーツを組み合わせて一つの関節をデザインしたりはしない。ゴチャついて可動域が狭まるからだ。」(34ページ)
  • 「ヒトの足首も、手首と同じように混みあった骨に苦しめられている。足首には七つの骨があるのだが、その大半は役立たずだ。」(35ページ)

しかし、これらの主張はいずれも根拠がありません。

 

骨格の関節の最適性

バージェス博士は、手首と足の関節のデザインが貧弱だとレンツが断言しているのは、レンツの工学についての訓練の欠如に起因することを実証しました。彼は、生体システムが複数の競合する制約を満たさなければならないことを認識していませんでした。バージェスは関節の異なる動きと機能を分析しました。次に彼は、手首と足首が、幅広くさまざまな環境で多様な機能を最適に達成するために、どのように精巧にデザインされているかを実証しました。

 

一例として、レンツは、足の指の骨の直前にある4つの骨の背後にある工学的原理を理解できませんでした。彼は、これらの骨を一つにまとまった骨に置き換えればより良いデザインになっただろうと主張しました。重要な誤りは、その複数の骨がはるかに大きな耐荷重強度を提供することです。

 

バージェスは以前の講演でも、ヒトの膝関節のデザインが貧弱であるとされる虚偽の主張について取り上げましたし、一方技術文献では、膝の最適性について詳述しています (こちらこちら)。膝の前十字靭帯 (ACL) が容易に断裂するのは、過去の人間の進化に起因する貧弱なデザインを反映していると多くの人が論じてきました。この結論は、重要なデザイン原理を認識できていません。すなわち、エンジニアはしばしば、複雑なシステムにおいて重要性が最も低い構成部分が最初に故障するように、意図的に構築することがあります。

 

例えば、車のバンパーは、車室よりもずっと前にぐしゃぐしゃになるようにデザインされています。バンパーははるかに消耗するものだからです。同様に、人はACLが断裂していても歩くことはできますが、膝の他の組織や骨に深刻な外傷があると、その人は永久的に無力になるかもしれません。ACLが初期故障となれば、ずっと過酷な損傷を防ぐことができます。さらに、ACLが断裂する割合は、大腿骨のような骨が折れる割合よりも低いのです (こちらこちら)。ACLの脆弱なデザインについての主張は、明らかに誤導されたものです。

中心的な教訓

バージェスは、もっと長い時間をかけて網膜の配線ヒトの虫垂親知らずなどの構造にあるデザインが貧弱だという虚偽の主張について語ることができたでしょう。彼は、工学的光輝の頂点を実証している生物学の無数の例を提供することができたでしょう。

 

それでも、彼が提示した2つの例は、明白な教訓を納得させるのに十分でした。進化的な仮定は一貫して、生物学者に、生命における特徴は工学的無能を反映していると誤って主張させ、それらの仮定は彼らを偏らせて生物学的システムの創意と最適性を過小評価させます。貧弱なデザインを誤って識別するという一貫した実績があることから、将来、当初は完全には理解していない生命における特徴の知恵に疑問を投げかける前に、研究者がより大きな注意を払うことになることを期待します。