Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

目: 自然のデザインの古典的な例

This is the Japanese translation of this site.

 

コーネリアス・ハンター
2022/1/19 14:21

 

古代のキケロから3世紀前のジョン・レイに至るまで、目は伝統的にデザインの驚異として挙げられてきました。チャールズ・ダーウィンでさえ、進化論を発表した後、私信で「眼は今日に至るまで私に冷たい戦慄を与えている」と認めています。その通りだったでしょう。レイは人間の視覚システムの驚異を激賞していましたが、それ以来、その驚異は増すばかりです。

 

ジョン・レイは17世紀の指導的な植物学者です。生物学上の 「種」の概念を定式化したことで知られています。また、自然のデザインを強調する18世紀から19世紀初頭の自然神学運動の父としても知られています。レイは、自然界を研究するうちに、そのデザインにますます感銘を受けるようになりました。

デザインの無数の例

レイが挙げたデザインの無数の例の中で、彼が特に注目したのは視覚システムでした。レイは、瞳孔が薄暗いときと明るいときにそれぞれ拡張・収縮し、目に入ってくる光を制御していると指摘しました。入ってきた光は像を結びますが、目の水晶体を通ると反転してしまいます。それでも、神経は何とかして、その像を「正しい、あるいは自然な状態で」魂に提示しようとします。

 

その神経は束になって視神経を形成し、網膜を通って脳に戻ります。論理的に言って視神経は網膜の中心、水晶体の真後ろを通っているように思えるかもしれませんが、実は視認性を高めるために横にずれているのです。そして、2つの目からの映像が合成されて奥行き感が形成されます。

 

6つの筋肉が眼球を「上へ、下へ、右へ、左へ、斜めへ、ぐるりと動かすために」高速かつ正確に回転させ、頭を動かさずに視野を確保することができます。これらのことや他の特徴から、レイは眼球はデザインされていると結論しました。「この用途のためには全くデザインされていないとか、デザインされているかどうかを人間が知ることは不可能だと断言するのは、非常に馬鹿げていて不合理である」1からでした。

2つの警告

このような考えを、初期の科学者の時代遅れの物思いだと言って退けようとする人たちに、私は2つの警告をします。第一に、プレザンティズムに気をつけましょう。現代の事実や情緒によって過去を時代錯誤的に判断することです。これは先人の知恵を覆い隠し、誤った自信につながる可能性があります。21世紀の事実が、必ずしも前時代の知的巨人よりあなたを優れた存在にするとは限りません。

 

第二に、その21世紀の事実は、レイの300年前の研究に論駁するどころか、レイの結論を大いに増幅しています。18世紀の視覚の研究がレイのような思想家にデザインを示唆したのであれば、21世紀の私たちの知識はデザインを叫んでいます。もしあなたが、時代が変わってレイの考えは今や時代遅れで出し抜かれたと信じているなら、あなたは科学を本当には理解していないのです。

強化されたデザイン

今日、私たちはレイが夢にも思わなかった強化されたデザインの描像を持っています。例えば、細胞のシグナル伝達と視覚のカスケードについての現在の洞察があります。網膜に入射した光は光受容細胞に入り、小さな発色団分子と相互作用し、その配置を変化させます。この変化により、複雑な事象のカスケードが引き起こされます。主客転倒しているかのように、変化した発色団がはるかに大きなオプシン蛋白質に影響を与え、それは次いで何百ものトランスデューシン分子を活性化し、それが次に何十万もの環状ヌクレオチド、cGMP分子を分解する酵素を活性化させます。

 

cGMPの濃度が低下すると、膜タンパク質が閉じられ、細胞内に入るはずだった1秒間に数百万個のナトリウムイオンが遮断されます。ナトリウムイオンの流入が減少すると、光受容細胞膜内外の電圧が変化し、細胞のシナプス領域における神経伝達物質の放出が減少します。これにより、最終的に脳に伝達される電気信号が開始されます。

始まりに過ぎない

この注目すべき、微細に調整された複雑な相互依存のカスケードが、低照度下での驚異的な感度を提供しています。20世紀の研究者たちは、私たちにほんの数個の光子を感知する能力があることを発見して圧倒されました。しかし、この視覚カスケードの説明は、ほんの始まりに過ぎません。例えば、網膜にあるミュラー細胞は、複数の機能を同時に担っています。第一に、これらは光受容細胞を支えて、脳に信号を送る神経細胞への機械的な支持を提供します。しかし第二に、これらは生体導波管の役割を果たし、入ってきた光を光の強さや波長に応じて適切な光受容細胞に導いています。その結果、光学的効率がはるかに向上します。ある研究者が説明したように、網膜の「光学的構造は我々の視覚の用途に最適化されている」2のです。

 

これは、私たちの視覚システムのデザインについてのほんの一部を紹介したに過ぎません。そして、言うまでもないことですが、このようなデザインがどのように進化してきたのかについて、信頼できる説明が進化に欠けているだけではなく、発色団やオプシンなどのさまざまな構成要素も進化的パターンに手際よく収まってはいません。目がデザインされていないと「断言するのは、非常に馬鹿げていて不合理である」という18世紀のレイの所感は、一人の老いた科学者の物思いだったのではなく、来るべきものの予兆だったことがわかります。

注釈

  1. Ray, J. (1977) The Wisdom of God Manifested in the Works of the Creation, 7th ed. New York: Arno Press. 初版は1717年。
  2. EurekaAlert! (2015) Mystery of the reverse-wired eyeball solved. AAAS, 2015/2/27. https://www.eurekalert.org/news-releases/817813