Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

新しい「Long Story」の動画が取り組む「予測の戦い: ジャンクDNA」

This is the Japanese translation of this site.

 

ケイシー・ラスキン
2024/3/28 15:17

 

前回の「Long Story Short: The Codes of Life」の動画では、私たちの身体には驚異的な情報がぎっしりと詰まっていることを学びました。情報は精神から来るものなので、このことはインテリジェントデザイン (ID) にとって肯定的な意味を持ちます。進化論者は直ちに、私たちのゲノムは実際には大量の 「ジャンクDNA 」でいっぱいで、私たちのDNAがランダムな突然変異によって進化したのであってデザインされてはいないことを示しているとして反対しています。

 

しかし、ヒトゲノムに大量のジャンクDNAが含まれているというのは真実でしょうか?私たちは今回、新しい「Long Story Short: Codes of Life」の動画を公開しました。タイトルは「A Battle of Predictions: Junk DNA」です。この動画は、進化論者たちによって長い間支持されてきたジャンクDNAという概念が、山のようなデータによって全面的に反駁され、多くの生物学者たちによってもはや妥当とさえ考えられていないことを示しています。

 

進化に基づく悪い予測

まず、ジャンクDNAという概念がそもそもどこから来たのかを記さなければなりません。このアイディアは100%進化生物学者から来たものです。少し歴史を振り返ってみましょう。

 

私が調査した限りでは、ジャンクDNAという概念が文献に登場したのは1960年代から1970年代初頭にかけてです。私が見つけた最も古い例は、『Journal of Ultrastructure Research』の1963年の論文で、DNAの一部は「能力のある遺伝物質」ではなく、「『ジャンク』DNA」である可能性を漠然とほのめかしていました。その論文ではDNAのどれくらいの割合が「ジャンク」なのかについては推測していませんでしたが、1969年の『Science』の論文では、「哺乳類のDNAの99パーセントは真の遺伝物質ではない」という、はるかに大胆な予測がなされました。この概念は、1972年に日本の進化生物学者の大野乾がある本の中で「So much 'junk' DNA in our genome」という章を書き、また『Journal of Human Evolution』に「哺乳類のゲノムDNAの少なくとも90%は、様々な種類の『ナンセンス』なDNA塩基配列を表現しているように見える」と論じる論文を発表したときに本格的に広まりました。

 

そこから、このアイディアは進化科学者たちの間で本格的に流行しました。1980年4月17日号の『Nature』に、進化は私たちのゲノムがジャンクDNAでいっぱいであることを予測すると論じる、影響力のある生物学者たちの論文が掲載されました。最初の論文は、W・フォード・ドゥーリトルとカルメン・サピエンツァによる「Selfish Genes, the Phenotype Paradigm and Genome Evolution」で、「ゲノム内で自然選択が働くと必然的な結果として、ゲノム内での生存だけが『機能』である、表現型発現を持たないDNAが出現する」と主張しました。2番目の論文、「Selfish DNA: the ultimate parasite」は、DNAの構造決定でノーベル賞を受賞したフランシス・クリックと、著名な生命の起源理論家レスリー・オーゲルによるものです。彼らは、「高等生物のDNAの多くはジャンク同然である」、そしてその機能を「執拗に追求するのはそのような場合には愚行であろう」と結論しました。

 

その15年後の1995年にも、『Scientific American』が報じたように、ジャンクDNAのパラダイムは健在でした。

 

これらの領域は従来、何百万年もの進化によって蓄積された無用の物質と見なされてきた・・・。ヒトの場合、ゲノムの約97パーセントがジャンクである。

 

このアイディアは2000年代に入っても生き続けていました。2007年に、コロンビア大学の科学哲学者フィリップ・キッチャーは、オックスフォード大学出版局の『Living with Darwin』という本の中で、「ゲノムに散らばっている」「大量のゲノム的ジャンク」に言及しています。キッチャーは、「現在我々が手にしているゲノム解析の最も印象的な特徴は、明らかに機能しないDNAがいかに多く存在するかということである」と公言しています。彼の見解では、「ダーウィン的観点からは、これらはすべて説明可能である」、しかし「もしあなたが生物のゲノムをデザインするのであれば、それらをジャンクで満たすようなことは決してしないだろう」。

 

リチャード・ドーキンスは2009年の著書『進化の存在証明』の中で、「ゲノムの大部分 (ヒトの場合には九五%) が、きわめて大きな相違を示しているにもかかわらず、存在しないのも同然だ」と述べています。最近でも、昨年、トロント大学の生化学教授ローレンス・モランが『What’s in Your Genome? 90% of Your Genome Is Junk』という本を書きました。読んで字のごとくです。2023年にもまだ、「あなたのゲノムの90%はジャンクだ」と言う人々がいました。

 

シカゴ大学の進化生物学者で遺伝学者の龍漫遠による2021年の『American Scientist』の共著記事によれば、モラン教授の見解は歴史的にこの分野の総意でした。龍はこのように共著しています。

 

ヒトゲノムの全塩基配列の決定という、13年にわたる記念碑的な研究努力であるヒトゲノムプロジェクトが終結し、私たちのDNAの約98.8パーセントはジャンクと分類された。・・・そのジャンクDNAの機能は何なのか?ほとんどの遺伝学者にとってその答えは、それには何の機能もない、というものであった。

 

『American Scientist』の龍の記事の要約はこのとおりです。「我々のゲノムの99パーセント近くは、歴史的にノンコーディングで役に立たない『ジャンク』 DNAとして分類されてきた。結果として、これらの配列はほとんど研究されてこなかった」。

IDに基づく良い予測

一方、ID推進者たちはジャンクDNAについて、長い間まったく異なる予測をしてきました。1994年、ID支持者のフォレスト・ミムズは、ノンコーディング「ジャンク 」DNAは機能を持つだろうと予言し、『Science』に次のようなレターを書きました。「分子生物学者が『ジャンク』と呼ぶ、無意味だと思われているフィラーDNAの鎖は、デジタルコントローラーのコードをデザインしたり書いたりしてきた我々にとっては、必ずしも無用なものには見えない」。

 

『Science』はこのレターを却下しましたが、「ジャンクDNA」革命が盛んになるずっと前の1998年、ウィリアム・デムスキーはインテリジェントデザインに基づいて、ノンコーディング「ジャンク」DNAの機能を予測しました。

 

しかし、デザインはサイエンスストッパーではない。実際、デザインは伝統的な進化論的アプローチが妨げるところで探求を促進することができる。「ジャンクDNA」という用語を考慮してみよう。この用語は、生物のゲノムは長い間、方向性のない進化の過程を通してつぎはぎして作り上げられたものであるため、ゲノムはパッチワークであり、その生物にとって必須なのは限られた部分だけであるという見解を暗示したものである。したがって、進化的見地からは、無用なDNAがたくさんあることが予想される。一方、生物がデザインされているのであれば、DNAは可能な限り機能を呈することが予想される。そして実際、最新の知見によれば、DNAを 「ジャンク 」と呼ぶことは、機能についての現在の知識不足を隠蔽しているに過ぎない。例えば、ジョン・ボドナーは『Journal of Theoretical Biology』の最近の号で、「真核生物のゲノムにおけるノンコーディングDNAは、生物の成長と発達をプログラムする言語をコードしている」ことを説明している。デザインは科学者たちに、進化では奨励されない機能の探究を奨励しているのである。

― ウィリアム・デムスキー、「Intelligent Science and Design」、『First Things』、86巻、21-27ページ (1998年10月)。

 

それから2004年に、ジョナサン・ウェルズはこのように書きました。「『ジャンクDNA』には、以前には思いもよらなかった機能があることが研究で明らかになった。その研究はダーウィン的枠組みにおいて行われたが、その結果はダーウィン的なリサーチクエスチョンを求めようと試みる人々にとってまったくの驚きであった。「ジャンクDNA」がジャンクではないという事実は、進化論のゆえにではなく、進化論にもかかわらず浮上してきたのである。一方、IDの枠組みにおいてリサーチクエスチョンを求めている人々は、DNAのノンコーディング領域の機能をずっと探求してきたものだ。そして今、我々はそれらについてかなり多くのことを知っているのかもしれない」。

データが示すもの

2012年に、論争全体を変えるような、DNAの大部分は機能的であるというIDベースの予測を支持する出来事が起こりました。ENCODEコンソーシアムによる『Nature』の主要論文が、ヒトゲノムの 「80%についての生化学的機能」の証拠を報告しました。ENCODEを率いる科学者たちは、「ほとんどすべてのヌクレオチドが機能と結びついている」ので、研究が進めば「80%が100%になる」と予測しました。この研究結果を受けて、『Science』誌は「ENCODE Project Writes Eulogy for Junk DNA」と題する記事を発表し、これらの知見は、「我々のDNAにほとんど無用の塩基が散らばっているという考えへの弔鐘に思える」と述べました。

 

その後の10年間で、ジャンクDNAの概念はさらに深刻に侵食されました。2021年の『Nature』の論文は、13万を超える特定の「以前はジャンクDNAと呼ばれていたゲノム要素」に特定の機能が識別されたことを報告し、続いて『Genome Biology and Evolution』のある論文は、「『ジャンクDNA』の時代は終わった」と結論しました。2022年の『Nature Methods』の記事は、「ゲノムは絶えず転写されており、アイソフォームが出現し、スプライシングが行われ、遺伝子は他の遺伝子と交錯している。ゲノムは、かつて『遺伝子間の砂漠の中の遺伝子の島』と呼ばれていたものとは程遠い」と述べました。ごく最近では、昨年秋の『BioEssays』のある論文は、ジャンクDNAという概念からのクーン的な「パラダイムシフト」を説明しました。著者のジョン・マティックは、進化論的パラダイムの失敗について印象的なことを述べています。彼と共著者が、2023年に『Taylor & Francis』から出版された本で次のように書いている通りです。

 

物語は未だに展開中であるが、我々は、ヒトや他の複雑な生物のゲノムはジャンクに満ちているのではなく、むしろ制御RNAを特定することに大部分を充てている高度にコンパクトな情報スイートであると結論した。これらのRNAは分化と発生の軌跡を促し、脳機能を支え、世代を超えた経験の記憶を伝えるが、その多くは長年にわたる遺伝的プログラミングの概念や進化論のドグマに反している。

― ジョン・マティックとパウロ・アマラル、『RNA: The Epicenter of Genetic Information』、CRC-Taylor & Francis、2023、viiページ

 

この引用文を注意して読んでください。これも昨年出版されたばかりの本からです。彼らは、「ヒトや他の複雑な生物のゲノムはジャンクに満ちているのではなく」、このことは「進化論のドグマに反している」と言っています。マティックとアマラルは進化論者ですが、これは通常の進化的パラダイムから出た予測の失敗の大々的な告白です。

進化論者の反応

多くの進化論者は強情で、ジャンクDNAというアイディアを手放すことを拒否し続けています。私たちは彼らの反対への準備ができています。実際、これらの論議に対する多くの反対を取り上げたジャンクDNAの動画第2弾をすでに制作中です。これらの論議への反対は、怒り、データの否定、歴史の書き換え、未知の要素への隠遁、進化的推測が「データ」であるかのような見せかけ、そして私たちの論議をひどく誤って表現することに行き着きます。最も愉快な反応は、自分たちはジャンクDNAにこのような機能があることをすべて予測していたと言ってから (これは歴史修正主義者の歴史です)、同時に私たちのゲノムの大部分は結局のところやはりジャンクであると力説することで自ら矛盾するというものです。批判への回答にご期待ください。

 

もちろん、ゲノムについて理解していないことは依然としてたくさんあり、まだ機能が発見されていない特定の遺伝要素も多く存在します。それにもかかわらず、「ジャンク」DNAの非機能性から遠ざかる強い傾向が生物学にあります。そして、この傾向はIDによって予測されたのであって、進化的パラダイムによって予測されたのではありません。この魅惑的な物語の概要を提供する、私たちの新しい「Long Story Short」の動画をお楽しみください!