Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

化石の金曜日: 新たな研究で「羽毛恐竜」が二次的に飛べなくなった鳥だったことが確証される

This is the Japanese translation of this site.

 

ギュンター・ベヒリー
2024/4/5 6:55

 

今回の「化石の金曜日」では、すべての化石の中で最もよく知られたものの1つ、バイエルン州にある後期ジュラ紀のゾルンホーフェン石版石層から産出された、古代の鳥アルケオプテリクスの有名なベルリン標本を紹介します。この象徴的な化石は、恐竜と鳥類のミッシングリンクであり、ダーウィン的進化を支持する化石証拠のポスターチャイルドであるとしばしば考えられていました。

 

『Evolution News』の過去のいくつかの記事で、私は古鳥類学者アラン・フェドゥーシアの仕事について議論しました。彼は、1970年代半ばにイェール大学の古生物学者ジョン・オストロムが「Bird-are-Maniraptoran-Theropods (BMT)」仮説で最初に提唱した、鳥類は恐竜から進化したという現在の総意的見解に勇敢にも異議を唱えました。フェドゥーシアは彼の反対意見を、多くの専門記事や『The Age of Birds』(フェドゥーシア、1980、邦訳: 『鳥の時代』、小畠郁生/杉本剛訳、思索社、1985)、『The Origin and Evolution of Birds』(フェドゥーシア、1996、邦訳: 『鳥の起源と進化』、黒沢令子訳、平凡社、2004)、『Riddle of the Feathered Dragons』(フェドゥーシア、2012)、そして最近では『Romancing the Birds and Dinosaurs』(フェドゥーシア、2020) という4冊の大衆向けの本で詳しく述べています。最後の本を大いに推薦する書評でジェームズ (2021) は、「鳥が恐竜であることは小学生なら誰でも知っている。この話題については、数多くの雑誌記事や大衆向けの本が入手可能である」と書いていますが、これは比較的最近の科学的仮説を、確立された事実として広く一般聴衆に売り込むという点での目覚ましい成功です。ジェームズは続けて、「鳥類の起源の問題は解決されているというこの確信にもかかわらず、この論点は未解決だとする強力な根拠が存在し、・・・。確かに、鳥類はマニラプトル類の獣脚類であるという仮説には深刻な問題があることを認める方が、それを強く擁護するよりも良いだろう」と述べています。

3つの一般的な反論

フェドゥーシアの以前の著書『Riddle of the Feathered Dragons』の書評で、リー (2014) は恐竜から鳥へというオストロムの仮説へのフェドゥーシアによる3つの一般的な反論を挙げています。

 

  1. 鳥類の祖先が獣脚類であることを支持するために使用される化石のほとんどが、アルケオプテリクスより2000万年以上新しいこと [これはフェドゥーシアによって「時間的パラドックス」とラベル付けされたことで有名でした]。
  2. デイノニクスを含む獣脚類恐竜がランナーだったこと。コウモリや翼竜のように、鳥類は樹上生活動物に由来し、滑空能力を介して飛行を進化させたと考える方がはるかに合理的です。
  3. 羽毛は、オストロムが示唆したように、断熱材あるいは昆虫を捕らえるための器官の一部としてではなく、滑空や飛行に関連して進化したことを、化石の記録が示唆していること。

 

ジェームズ (2021) は、フェドゥーシアが最新の著書で識別した、彼の代替的な見解を支持するさらなる問題点をいくつか挙げています。

 

  • ネオフライトレス問題: いくつかの飛べる鳥や飛べない鳥が獣脚類に誤って分類されている。
  • データ解析の問題: 標準的な系統解析では、収斂のような複雑な進化過程を検出することができない。飛べない鳥は獣脚類のボディプランに収斂している。基本的な類似性 (相同性) を推定するには、系統解析の前に解剖学的研究が必要である。
  • 縮小した前肢の問題: 一度失われた複雑な特徴が再進化することはありそうにない。ドロの原理。
  • プロトフェザー問題:「プロトフェザー」は劣化したコラーゲン繊維かもしれない。
  • 指の問題: フレームシフトは検証主義的説明であり、BMTに適合するようにデザインされている。
  • 行動の問題:恐竜の鳥類的行動を推測する研究は、誤認された鳥類についてのものである。
  • 確証の問題: スカンソリオプテリクス科には獣脚類独特の特徴がない。彼らが獣脚類であるという仮定は確証バイアスの一形態である。

 

ガイスト (2022) は同じ書籍の書評で以下のようにコメントしています。

 

フェドゥーシアは読者に、科学者たちがBMT仮説を支持するクラドグラムに適合させるために、自分たちの結論と直接矛盾するデータを回避しようと並外れた労力を費やした事例を次々と紹介している。このような努力は、科学哲学のもう1つの、鉄壁ではないにせよ基盤となるものに違反している。すなわちオッカムの剃刀であり、複数の仮説が与えられた場合、競合理論の中でもっとも単純なものを複雑な理論より優先させるというものである。フェドゥーシアは、鳥類と恐竜の間の関係を規定する分岐解析から導出された結論が、この原理に違反する事例を優雅に例示している。少なくとも本書によって、BMTの支持者たちはデータを再評価するよう説得されるかもしれない。

 

分岐学のこの欠点はジョン・オストロム (1994: 172) 自身も認めており、「このような質の疑わしい推論は、分岐学の方法論に根本的な欠陥があることを実証している。よく推論された分析を犠牲にして、共有された派生的特徴の長大なリストの編集に夢中になると、そのたびに誤った系統発生論を招く結果になる」とコメントしています。

フェドゥーシアへの返答

では、恐竜が鳥類の祖先であるという説の推進者たちは、フェドゥーシアの深遠な挑戦にどう返答したの でしょうか?ダーウィニストたちが、自分たちのお気に入りの仮説が実際のデータによって挑戦されたときにいつもするようにしたのです。すなわち、その批判を嘲笑し、軽視し、あるいは藁人形に戯画化します。以下は、ルーベン (1997) がフェドゥーシアの2冊目の本の書評で書いたことです。

 

鳥類の起源に関心を持つ、特に恐竜-鳥類の系統を唱える専門家たちは、この系統に反論する、以前は無視されていた様々なデータに直面せざるを得なくなるだろう。したがって、本書が最近の書評で、特に熱狂的な、分岐学的に指向性のある古生物学者たちによって却下されたとしても、驚くには当たらない。しかし、読者はそのような悪ふざけに誤導されるべきではない。

 

熱狂的な悪ふざけ?これはいわゆる偏りのない科学的真実の探求にとっては、かなりの暴露です。

ネオフライトレス仮説

しかし、羽根の生えた二足歩行の恐竜 (羽盗類と呼ばれる) と真の鳥類との間の明白で多大な類似性を、フェドゥーシアはどう説明するのでしょうか?実は、彼は密接な関係にはまったく異論を唱えていないのですが、羽盗類は獣脚類恐竜ではなく、むしろ二次的に飛べなくなった鳥類であったと提唱しており、これをネオフライトレス仮説と呼んでいます。ちなみに、ダーウィン的進化に懐疑的な人々も同じ主張をしています。

 

今回、『米国科学アカデミー紀要』で発表されたキアットとオコナー (2024) による新たな研究は、ネオフライトレス仮説に強力な付加的支持を与えています (フィールド自然史博物館、2024およびクムンドゥロス、2024によるプレスリリースもご覧ください)。この科学者たちは、鳥類のすべての主要な目から数百種の翼の羽毛を研究し、二次的に飛べなくなった鳥と飛べる鳥を確実に区別する単純なパターンを発見しました。後者には初列風切と呼ばれる非対称形の風切羽が常に9~11本あるのに対し、前者にはそれよりかなり多いか、まったくないかのどちらかなのです。さらに、初列風切羽の非対称性の程度は、飛行に強く関係していることが判明しました。これにより研究者たちは、65種の鳥類と羽毛恐竜の化石を調べ、彼らの飛行能力を推定することができるようになりました。意外なことではありませんが、アルケオプテリクスおよび4枚の翼を持つミクロラプトルは飛行のリトマス試験に合格しました。

 

はるかに驚くべきなのは、この研究が、「カウディプテリクス」のような羽毛恐竜が、「正しい数の初列風切を持っていたが、それらはほぼ完全に左右対称形だったので、飛行は『ほぼ確実に』不可能だった」と示唆していることです (クムンドゥロス、2024)。著者たちは、「これらのデータを絶滅した羽盗類に当てはめると、アンキオルニス類とオヴィラプトロサウルス類のカウディプテリクスは二次的に飛べなくなったことが示唆される。これらの種の系統学的位置づけにより、飛翔能力が羽盗類にとって祖先形質であることが示唆される」と結論しています。言い換えれば、これらの羽毛恐竜はすべて、もともと鳥のような翼を持ち、飛行できたのであり、走行性の恐竜から鳥類の飛行が進化する過渡的段階を表しているわけではありません。それらは、大羽や翼の起源を説明する上で何の助けにもなりません。これは、鳥類の翼が、カウディプテリクスやミクロラプトルの前翼膜のような、マニラプトル類恐竜のより原始的な構造に由来するというシナリオを提唱した、ごく最近の研究を時代遅れにするものでもあります (宇野・平沢、2023; 東京大学、2023もご覧ください)。新しいデータがますます速いスピードで蓄積されるにつれて、進化の物語の有効期限は数十年からわずか数ヶ月へと激減しています。

科学を信頼する?

あなたは本当に科学を (あまり長期ではないにしても) 信頼すべきなのでしょうか?アラン・フェドゥーシアは自分の理論を経験的に確証する重要な点を正当に主張でき、ダーウィニストたちはいくつかの大切な仮定の過渡的形態と、その上に築かれた進化的にそれらしい話に別れを告げなければならないかもしれません。しかし、それだけではありません。キアットとオコナー (2024) は、「これらの分析結果は、恐竜の飛行の起源が単一であることを支持しており、羽毛のある翼の進化の初期段階は、現在利用可能な化石記録にはサンプルがないことを示唆している」と明確に認めています。それはまるで、羽毛のある翼をもつ飛行する脊椎動物がジュラ紀に完全な形態で突如として出現したように見えるということで、インテリジェントデザイン理論とは完璧に共鳴しますが、ダーウィニズム (無誘導の漸進的進化という意味) にはあまり共鳴しません。

 

追記: この論題に興味がある方は、こちらにある、ID理論家のウォルフ-エックハルト・レーニヒによるアラン・フェドゥーシアの『Romancing the Birds and Dinosaurs』の綿密な書評をきっと楽しまれることでしょう。

参考文献