Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

インテリジェントデザインの証拠としてのファインタイミング

This is the Japanese translation of this site.

 

デイヴィッド・コッペッジ
2022/10/17 18:44

 

映画ではしばしば、プロットの軸となるとてもありそうにない出来事が描写されます (以下にいくつか例を挙げます)。観客は、その偶然が脚本家の作為によるものであることを知りつつ、エンターテインメントのために不信感を抱きます。ところで、現実の世界ではどれだけの偶然が重なれば、合理的な人間は「何か非ランダムなことが起こっている」と納得するのでしょうか?

私はこれまで1991年と2017年の2回、皆既日食を目撃しています (2024年にもアメリカで起こる予定です)。皆既日食は「すべての感覚を呼び覚ます」ものであり、人が経験できる最も感動的な天体事象の1つであるというギリェルモ・ゴンザレスの意見に私は同意します。皆既日食を可能なのは、地球から見た月と太陽の見かけのサイズが見事に一致しているからだと、多くの人が指摘しています。さらに、太陽と月のサイズは、地球の居住可能性と密接に関連しています。G2主系列星である太陽は、そのサイズと温度によって、液体の水が存在できるハビタブルゾーンの半径が決定されます。また、月は海の潮流を司り、地球の傾きを安定させるという重要な役割を果たしています。ゴンザレスは、ジェイ・リチャーズとの共著『The Privileged Planet』の中で、「地球型惑星に複雑な生命が存在するための要件は、皆既日食を観測するための要件と強く重なっている」(7ページ) ことを指摘しています。彼らがさらに論じているように、これらの要件は、科学的発見を行う能力とも重なっています。

土星のゴンドラ

ゴンザレスは、太陽系内の天体間で日食の発生が可能なすべての事例、全部で64個を計算ました。彼はその結果のグラフを『The Privileged Planet』の11ページに含めました。完全な日食を起こすのに適切なサイズの天体は、土星の小さな衛星プロメテウスだけです。もし、土星の雲の上の適切な位置でゴンドラに乗れば、プロメテウスが太陽を横切るときに皆既日食が0.5秒間見られるかもしれません。一方、地球上では、皆既日食の時間は7.5分に及びます。

 

しかし、プロメテウスについての「話の続き」を忘れてはいけません。ゴンザレスは、その「非常に細長い形状が彩層の眺めを損なっている」(10ページ) と指摘します。確かに、私が勤務していたJPLカッシーニ計画でプロメテウスの写真を撮影したところ、その不規則なジャガイモのような形状が詳細に明らかになりました。ですから、プロメテウスが太陽をぴったりと覆うことはあり得ません。そうすると、太陽系で完全な皆既日食が起こる場所として残されるのは地球だけです。ドキュメンタリー『Privileged Planet』でゴンザレスは、「観測者がいる場所こそが、最高の日食が起こる場所なのです」と語っています。

適切な時に適切な月があること

しかし、この「偶然」には、あまり議論されていない別の側面があります。月は、1年に3.8cmずつゆっくりと地球から遠ざかっています (『The Conversation』)。時が経てば、月が遠くなりすぎて、太陽の円盤を正確に覆えなくなります。そうなった後は、すべての日食は金環日食になるでしょう。同時に、太陽の直径も増大しているとゴンザレスは指摘します。「この2つのプロセスが一緒に働くことで、地球の年齢のわずか5パーセントである約2億5千万年後には皆既日食が終わるはずだ」(18ページ)。しかし、その期限よりもずっと前に日食は徐々に短くなり、したがって科学的発見にはあまり役立たなくなることも考慮しましょう。一方、後退速度を外挿してはるかな過去へ遡ってみると、月が大きく見えすぎて、ベイリービーズ、フラッシュスペクトル、「ダイヤモンドリング」効果など、日食ウォッチャーや科学者が好む特殊効果を生み出すことはできなかったでしょう。ゴンザレスは、完全な日食を目撃できるのは、「地球の歴史の中でかなり狭い範囲であり、現在を含む」(9ページ) と結論しています。

 

完全な日食が見られる時期が狭いということは、デザインの証拠としてのタイミングの問題を考えることにつながります。他にもタイミングの一致を識別できるでしょうか?

 

明日は、「インテリジェントデザインと惑星のタイミング」です。