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ギリェルモ・ゴンザレス
2021/10/25 17:04
編集部注: これは、新しく発売された書籍『The Comprehensive Guide to Science and Faith: Exploring the Ultimate Questions About Life and the Cosmos (English Edition)』の一つの章からの抜粋です。
上空の星空の不必要なほどの美しさ。虹の途方もない姿。日食の厳かな輝き。いつでもどこでも、これらは人々を鼓舞するものである。人類の歴史の大半において、これらの現象は謎だった。
ある意味、私たちは今や、この謎の多くを取り去っている。科学者たちは日常的に星までの距離を測定している。私たちは大気中に浮遊する何百万もの水滴を通過する太陽光が、どのように虹を作り出すかを知っている。日食の時期や場所も、何年も前から地球上のどこでも1秒以内に予測することが可能だ。
しかし、これらの発見は、さらに深い謎を指し示している。なぜ私たちの世界は、局所的、銀河的環境から物理学の定数まで、我々が星や虹や日食を見ることができるように設定されているのでだろうか?結局のところ、これらを見ることができる能力は、私たちの存在に論理的に必要なことではない。それらがなくても、宇宙は存在し得たはずなのだ。
宇宙的陰謀
これは、私が共著者のジェイ・W・リチャーズと執筆した『The Privileged Planet: How Our Place in the Cosmos Is Design for Discovery』で答えようとして提示している問題である。副題からして、私たちの論議は明らかだろう。私たちは、宇宙は漠然と居住可能で、科学に開かれているというだけでなく、複雑な生命や観測者に最適の宇宙でも稀な場所は、全体として科学的発見にも最適な場所である (以下、「PPテーゼ」と呼ぶ) と論じた。さらに、これは単なる偶然ではなく、宇宙的陰謀の証拠であると論じた。私たちはこの仮説を自然科学の最良の証拠と照らし合わせて検証することにした。これらの発見、つまり観測は、私たちの仮説を支持する累積的な事例を形成している。私たちは、将来の発見から自分たちの論議を免れさせようとしたのではなく、むしろそれを危険にさらそうとした。だからこそ私たちは、関連する新しい観測 (あるいは既存の観測の新しい分析) が、私たちの論議を確証するだろうと予測した。
本書では、「How Do Solar Eclipses Point to Intelligent Design?」の章で、PPテーゼの証拠について少し述べている。皆既日食の論題は、私が発見したPPテーゼの最初の例であり、『The Privileged Planet』の第1章の論題でもある。PPテーゼは累積的な論議であるため、それぞれの例を付加するごとに強化されていく。紙面が限られているので、この章では付加的な例を2つだけ議論しよう。虹と星の見え方である。
虹と日食
『The Privileged Planet』の日食の章の最後の方で、私は虹についての興味深い話をした。虹はどのように皆既日食と似ているだろうか。どちらも特別な光学的補助を必要としない美しい視覚的スペクタクル (目の保養!) である。どちらも見えなければ私たちが生存できないということはない。虹は皆既日食よりもはるかに一般的だが、降水量の少ない地域では虹は稀である。私の経験では、平均して年に数回虹を見る。誰かと一緒に虹を見るときはいつも、その光景に飽きることはないという話を聞くものだ。虹も皆既日食も、数分程度の束の間の現象である。
虹が見えるには、大気中に浮遊する水滴と、太陽が地平線から高度42度までの間にあることによる直射日光が必要である。これは通常、雷雨が去った直後で、小さな水滴がまだ大気中に残っており、太陽の前で空が晴れているときに起こる。簡単な設定のように思える。これは宇宙ではよくある現象なのではないか?
太陽系の他の主要天体である惑星と大きな衛星について考えてみよう。太陽に最も近い水星と月は、表面的にはよく似ている。これは、大気がないためである。そこでは虹はできない。火星も同様である。薄い大気はあっても、乾燥しすぎている。雨が降ることはない。一方、金星は大気がありすぎる。常に雲に覆われていて、地表は干からびている。巨大惑星は表面が固くないので選択肢に入らない。では、それらの衛星はどうだろうか?
太陽系で厚い大気を持つ唯一の衛星はタイタンである。タイタンの大気は主に霞になっている。地上から見ると、太陽はぼんやりと、空はオレンジ色にかすんで見えるだろう。タイタンをどのように想定しても、虹を見ることはできないだろう。
生命には液体の水が必要である。虹を作るには、降水という形で液体の水が必要である。光合成による豊かな生物圏は、豊富な水だけでなく、豊富な太陽光も必要だ。大陸の内部で生命が繁栄するためには、降水量も重要になる。虹と生命の関係は明白だ。
虹に何かいいことがある?
虹が美しいのはその通りだが、何かいいことがあるのだろうか?実際、虹は科学にとって非常に重要なものだったが、その方法は名状しがたい、長年にわたり、何気なく見ている人も注意深く見ている人も同様に虹に興味をそそられ、多くの質問を投げかけてきた。虹はどのように産み出されるのだろうか?虹の色は太陽光の中にすでに存在しているのか?研究室で人工的な虹を作ることは可能なのか?何世紀にもわたって、このような疑問が光学や光の物理学の研究に拍車をかけてきた。
デカルトやニュートンは、プリズムを使って人工的な虹を作り出す実験を早くから行っていた。これが最初の分光器であり、光を構成する色 (スペクトル) に分けて見る装置であった。この分光器は、自然の虹よりも広い角度で光源のスペクトルを広げることができたため、より詳細な検証が可能になった。実際、天文学者が分光器を太陽に向けると、重要な新発見があった。1802年、イギリスの化学者ウィリアム・ハイド・ウォラストンは、太陽のスペクトルを高分解能で見たときに、一連の暗線を発見した。1814年、ヨーゼフ・フォン・フラウンホーファーがこの暗線を再発見した。現在では、フラウンホーファー線として知られている。
分光器を天文学や化学の分野に応用することで、宇宙に対する理解が飛躍的に深まった。分光学は、化学元素がそれぞれ固有のスペクトルを持つこと、つまり指紋のようなものであることを発見した。この強力なツールによって、天文学者は太陽の大気に存在する化学元素を特定することができた。1864年、ウィリアム・ハギンズは自分の望遠鏡に分光器を取り付け、遠くの星のスペクトルを取得した。分光器は、星の組成のほか、温度や密度などの性質も測定した。ピエール・ジャンサンは、1868年、皆既日食中の太陽のスペクトルから、宇宙で2番目に豊富な元素であるヘリウムを発見した。また、天文学者はドップラー効果を使って、視線に沿った星の速度を測定できることを知った。
まるで、誰かが空一面に大きく輝く物体を描き、「愚か者よ、ここを見よ!これは重要なことである!」と言って私たちの注意を引こうとしているかのようだ。言い換えると、虹の美しさが私たちの目を引きつけ、賢明な人たちがそれについてよく考えることで、自然に対する私たちの知識が大きく広がったのである。降水量が多く、一部曇りのある大気は虹を作り、日食の観測が可能になる。私たちの持つような大気は、遠くの星を見ることもできるのだ。