Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

宇宙旅行は我々の運命なのか?

This is the Japanese translation of this site.

 

ギリェルモ・ゴンザレス

2020/4/16 5:02

 

数日前、私は『BIO-Complexity』誌に「The Solar System: Favored for Space Travel」という論文を発表しました。Evolution Newsの読者の皆さんに、この論文の短い要約をお伝えするのは、私にとって有益だと思いました。

 

2018年にスーパーアースからロケットを打ち上げることの難しさについて2つの論文が発表されたことが、この研究を行う動機となりました。スーパーアースは、太陽系周辺の外惑星で発見されている最も一般的な型の惑星です。その定義は、地球よりも大きくて質量が重いですが、天王星海王星よりも小さくて質量が軽いという、やや緩いものです。観測によると、スーパーアースは地球の1.5倍以上の大きさになると、岩石質からガスを主体とした組成に変化するようです。

2つの研究

それと共に2つの研究が、スーパーアースからロケットを打ち上げるのが難しいだけでなく、私たちの恒星よりも質量の小さい星から恒星間ミッションを打ち上げるのも難しいことを明らかにしました。著者の一人、天文学者のマイク・ヒプケはこう書いています

 

我々人類が、宇宙飛行を行うための適度な軽さの惑星にこれほど近づくに至っていることは驚きである。 他の文明が存在したとしても、それほど運が良くないかもしれない。惑星が大きければ大きいほど、宇宙飛行は指数関数的に高価になるだろう。そのような文明には、衛星テレビも、月探査も、ハッブル宇宙望遠鏡もないだろう。

 

もう一人の著者であるハーバード大学の天文学者、エイブラハム・ローブはこう指摘しています

 

化学推進が必要とする燃料質量は終端速度に応じて指数関数的に増加する。幸運な偶然により、太陽を公転する地球の軌道からの脱出速度は、化学ロケットが到達できる限界の速度である。しかし、もっと暗い星のハビタブルゾーンは星により近くなり、その深い重力の穴から化学ロケットが脱出するのははるかに困難になる。

言葉の選び方

彼らの言葉の選び方に注目してください。「驚き」「運が良い」「幸運な偶然」。この論文の著者たちは、ロケットの推進力と惑星やその母星の重力を関連付ける単純な方程式を用いて結論を導き出しました。その出発点は、ツィオルコフスキー方程式です。惑星の表面重力が大きくなると、ロケットの質量に占める推進剤の割合が大きくなるという結論は避けられません。実際、推進剤の質量に対する割合は、惑星の質量に応じて指数関数的に上昇します。

 

しかし、ヒプケとローブが出した結論よりもさらに悪いことがあります。大気は2つの点でロケットの打ち上げを困難にしています。まず、大気によりロケットへの抵抗力が生じます。次に、スーパーアースの表面の圧力が高くなると、ロケットの有効な推力が減少します。スーパーアースは地球よりも厚い大気を持っているはずなので、状況はさらに悪くなります。また、宇宙飛行士を惑星に帰還させることを想定した場合、再突入時に発生する大きな熱に対処しなければなりません。

 

大気中にかなりの量の水素が含まれているスーパーアース (割合としては恐らくかなり多い) は、宇宙探検家を目指す人たちをさらに苦しめることになるでしょう。水素は軽い分子であるため、大気はより厚くなります (専門的な言葉では、スケールハイトが大きくなります)。これでは、空気抵抗が無視できるようになるまでに、ロケットが惑星からかなり遠くまで移動しなければなりません。すると、全体の空気抵抗が大きくなってしまいます。

基本的な原材料

ロケットを作るためには、基本的な原材料も見逃せません。地球は、大量の採掘可能な金属鉱石や化石燃料に恵まれています。さらに、ロケットの最良の推進剤の1つである水素は水から簡単に取り出せますし、最良の酸化剤の1つである酸素も大気中から得られます。次に水を飲むときは、このことを考えてみてください。

 

惑星を離れれば、さらなる冒険を考え始めることができます。ローブが述べたように、質量の小さい赤色矮星ハビタブルゾーンから星間探査機を発射するのはより困難です。星系内の巨大な惑星の重力支援が助けになりますが、赤色矮星には木星のような巨大な惑星はほとんどありません。さらに、大型の恒星間航行船を作るなら、小惑星帯で入手できる原材料が不可欠です。小惑星帯は惑星系に当たり前に存在するものではありません。

距離と塵

母星系から出発すると、距離と塵の2つが恒星間旅行の大きな課題となります。太陽系近傍の恒星間の典型的な距離は数光年です。太陽以外で最も近い恒星はプロキシマ・ケンタウリで、4.22光年です。つまり、光速で移動した場合、プロキシマ・ケンタウリまでは4.22年かかることになります。

 

しかし、他の星に行くときには、必ず固体の物質に遭遇します。そのほとんどが、0.1ミクロン以下の微小な塵です。高速で航行する宇宙船に塵が衝突すると、大きなダメージを受けることになります。これは宇宙船の質量がある程度失われることを考慮してデザインすることで補うことができますが、そうすると必要な初期質量が増えてしまいます。航海中に遭遇する星間塵は最小限に抑えるのが最善です。

 

星の密度や星間塵の多さは、天の川銀河内の住所によって大きく異なります。私たちは天の川銀河の中でも塵の少ない地域にいるだけでなく、「塵の穴」の中にいるのです。太陽系が天の川銀河の中心を平らな銀河円盤に対して上下に揺れながら回っていると、少し中心に近づくことがあります。現在、太陽系は約2億2千万年の軌道で最も中心に近い位置にあり、銀河円盤の中央平面にも近いところにいます。つまり、太陽は今、天の川を巡る軌道全体の中で、最も星が密集している領域を通過しているのです。初めての恒星間任務に出発するには絶好の機会です。

 

これをどのように考えればよいのでしょうか?地球や太陽系が、他の多くの場所よりも宇宙旅行に適しているように見えることに驚くべきでしょうか?確かに、私たちは宇宙旅行をしなくても生きていけます。私たちの祖先は宇宙飛行をする人々ではありませんでした。なぜ私たちは、宇宙探査がより困難な、より一般的な惑星系の一つに住むことにならなかったのでしょうか?「The Privileged Planet」説を読めば、このことを完璧に理解できます。「宇宙は発見のためにデザインされている」という同じパターンに従っているのです。私たちは科学を行い、宇宙を探検するように意図されています。