Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

デザイナーなしのデザイン?「その通り」と言う新しい本!

This is the Japanese translation of this site.

 

ダニエル・ウィット

2024/4/4 6:59

 

生命システムについて学べば学ぶほど、目的、計画、目標といった目的論を持ち出さずに説明することは難しくなります。もし知的デザイナーを考慮から外すのであれば、これはある種のジレンマを生むことになります。

 

もし、矛盾する事柄を両立できたら ― デザイナーなしでデザインが得られたら、最高ではありませんか?2023年、マサチューセッツ工科大学出版局は、著名な生物学者と科学哲学者による『Evolution "On Purpose": Teleonomy in Living Systems』と題した論文の編書を出版しました。この本の目的は、「テレオノミー」の理論を推進することです。テレオノミーとは「内的目的論」のことで、システムの外部からではなく内部からもたらされる目的指向性のことです。この理論の下では、生命システムの発展を導く神 (あるいはエイリアン、プラトン的・アリストテレス的形相、その類の何か) は必要ありません。生命システムそれ自体が目標を設定するのです。

「語られてはいない」推論

この本の編集者の一人である生物学者のピーター・コーニングはこう書いています。

 

人類の進化は、テレオノミーが生物学的進化における形成にどのような影響を及ぼしたかを示す最も印象的な例であることに疑問の余地はない。しかし、テレオノミーは地球上の生命の歴史における大きな転換点や移行の多くにも関与していた、という主張も可能である。それには、最古の海底コロニー形成、真核生物の出現、海洋から陸上への生命形態の移動、多細胞生物の台頭、陸上植物や樹木の発達、魚類、鳥類、哺乳類の起源、社会組織の発明、分業 (作業の特殊化) などが含まれる。

 

テレオノミーはまた、「シンビオジェネシス」、「有機的選択理論」、進化的「ペースメーカー」、「ボールドウィン効果」、「主要移行理論」、「ニッチ構築理論」、「遺伝子-文化共進化理論」、「自然遺伝子工学」、「セミオーシス」の多くの例、そして最近では進化における「エージェンシー」の概念など、他の多くの良く知られた用語に関連して、暗示的に (語られてはいないが) 影響していると私は論じる。これらの用語はすべて、意図的行動の役割を示唆している。今世紀には、進化についての根本的に異なる見解が浮上しつつある。今や我々は、生命システムが様々な方法で自らの進化を能動的に形成していることを知っている。

 

言い換えると、あらゆる種類の進化理論には、目的性、すなわちデザインという隠れた前提が含まれているとコーニングは言っています。これはID理論家が言ってきたことなので、重要な告白です。

 

もちろん、このデザインがどこから来るのかについては、彼の意見は異なっています。自然においてデザインを推論できるのなら、本質としてデザインを推論できるのです。以上。そして、それが内部と外部のどちらから来ているのかを決めることができます。

 

これは、もしテレオノミー的説明 (「生命システムが様々な方法で自らの進化を能動的に形成している」) が成り立たないのであれば、そこには古い代替仮説が待ち受けているであろうことを意味しています。

テレオノミーは良い説明か?

では、テレオノミーの説明は成り立つのでしょうか?さて、私たちはこう問わねばなりません。「テレオノミー」はどこから来たのでしょうか?なぜ存在するのでしょうか?

 

その答えは、『Evolution "On Purpose"』によれば、それが来ているのは・・・ドラムロール・・・進化からです。テレオノミーは進化を引き起こし、それに加えて進化から来るということです。

 

「テレオノミー」という用語は、「(アリストテレス的あるいは宗教的な)『外的』目的論と、進化の過程と自然選択の産物である生命システムの『内的』目的性と目標指示性との対比を描くため」の造語だとコーニングは書いています。しかし、テレオノミーは「単なる自然選択の産物ではない。それは自然選択の重要な原因でもあり、長期にわたる生物学的進化の形成に主要な影響を与えている」。逆に、自然選択は「この目的性の原因と結果の両方である」。

 

これは、それ自体では非論理的ではありません。目的と自然選択という2つの力が働いて、それが相乗的に互いを促進し、ある種の正のフィードバックループになっているのかもしれません。しかしそれなら、そのフィードバックループがどのようにして始まったのかを、やはり説明しなければなりません。

 

誰かが進化生物学者に、ニワトリはどこから来たのかと尋ねたと想像してください。

 

「卵だ」とその科学者は答えます。

 

「卵はどこから来たのですか?」と彼の相手は応じます。

 

「ニワトリだ!」と科学者は言います。

 

この説明の問題は、それが誤っているということではありません。たまたまですが、それはまったくの真実でしょう。問題なのは、説明に失敗していることです。本当に問われている質問に答えていないのです。

 

同様に、「テレオノミー」は説明に失敗しています。自然のデザインは説明を、究極的な説明を必要としています。「テレオノミー」を持ち出すのは、説明どころか、質問をはぐらかしているだけです。自然選択やランダムな突然変異では説明できないと言えば、進化生物学者は「そう、それはランダムな突然変異ではなく、目標指向性があるのだ」と言うことができます。その目標指向性自体はどこから来たのかと問えば、彼らは「自然選択だ」と答えるでしょう。質問は出発点に戻ります。自然界にデザインが存在する最終的な原因は、未だに提唱されていないのです。

質問の回避

私は、それは決して提唱されないのではないかと思っています。なぜなら、問題を原因の複雑性の内に隠蔽することによって一掃することが要点だからです。テレオノミーの理論は、例えばマイケル・ベーエやウィリアム・デムスキーの、無誘導の過程では単純に新規な情報や還元不能な複雑系を生成することはできないという論議に対処していません。対話にすらなりません。私たちは、細菌の鞭毛、目、あるいは脳について話すのではなく、漠然とした内在する「目的性」について話すことになります。この目的性が存在し、超自然的なものでないとすれば、何らかの組織化された複雑なシステムから生じなければならないでしょう。しかし、そのシステムの正確な性質は、「自然選択によって引き起こされた目的性によって引き起こされた自然選択によって引き起こされた目的性・・・」という、どこまで遡れるか誰にも分からない終わりなき連鎖のどこかに隠されています。

 

今後の投稿で、『Evolution 「On Purpose」』アンソロジーで提唱されている進化の具体的なメカニズムについていくつか議論することを計画しています。しかし、この努力全体の根底にはこの基本的な問題があります。結局のところ、秩序ある複雑性には、極度の幸運か意図的な計画のどちらかが必要なのです。生命そのものがこの計画を立てたというアイディアは、巧妙な回避策のように聞こえるかもしれませんが、結局は自らを創造した神というアイディアに勝るものではありません。

 

何ものもそれ自体を創造することはできません。遡って永遠の「第一原因」に至るまで、すべてのものには原因があります。その論理的到達点を避けようとするいかなる試みも、行き詰ってしまうだけでしょう。