Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

ウォルフ-エッケハルト・レーニヒ: インテリジェントデザインの開拓者

This is the Japanese translation of this site.

 

グランヴィル・セウェル

2021/4/21 11:50

 

1971年、インテリジェントデザインの考え方が広く知られるようになる25年ほど前に、ベルリン=ダーレム植物園・植物博物館の館長で、ベルリン自由大学の教授であったテオ・エックハルト博士 (1910-1977) は、次のように書いています。

 

喜びとともに報告したい。ついにある修士論文で、一人の若者が「聖なる牛」(ネオダーウィニズムまたは系統の理論一般) に決定的に反旗を翻し、多くの人にとって単なる理論や大層な概要ではない、非の打ちどころのないほぼ完全に証明された事実として考えられている教義の弱点を論証している。この問題についての彼の個人的な意見は、論文全体の最後の2つの文章にはっきりと示されている。「テクノロジーで実現されたサイバネティックシステムは、デザインを前提としている。生物の世界の起源についてもこれを仮定すること以上に真実に近い結論があるだろうか?」(131ページ)。もちろん、L氏はこのような視点を持つことで自分だけ孤立させているわけではない。第一章ですでに、ネオダーウィニズムを不適当と考える著名な植物学者や動物学者の名前が多数挙げられている。ここで注目しなければならないのは、L氏は動物学の分野であっても、関連する文献を名称と引用で知っているだけでなく、たとえそれが膨大な量からなるものであっても、優れた方法で実際に対処していることである・・・。L氏は基本的に、私の植物学の教師であるカール・フォン・ゲーベルやウィルヘルム・トロールが生涯をかけて導き出したのと同じ結論を導き出しており、かつてトロールはそれを適切にも次のように定式化した。「・・・一方で物理的な過程を示唆し、他方で部分の総和 (ゲシュタルト) よりも大きなものを示唆し、さらに高い意味では生命の中のロゴスを認識することを可能にするのは、多様性の中の統一性という同じ基本的な現象である。」

 

L氏とは、『Evolution News』の読者にはよく知られているウォルフ-エッケハルト・レーニヒのことで、彼はその後、ボン大学で遺伝学の博士号を取得し、ケルンのマックス・プランク植物育種研究所で植物の遺伝と突然変異を研究する科学者として25年以上活躍しました。今や彼は半世紀にわたって、ダーウィニズムを批判し、インテリジェントデザインを推進しています。こちらは2018年のドイツのテレビ番組でのレーニヒのインタビュー (英語字幕)、こちらは最近の英語でのインタビュー (イタリア語字幕) です。

カンブリア爆発とダーウィンの忌まわしい謎

1971年の論文で、彼はすでに食虫植物ウトリクラリアの起源などを論じており、その文脈でダーウィンの言葉を引用しました。「継続的でわずかずつの無数の変異によっては形成され得ないような、複雑な器官の存在が実証されるなら、私の理論は完全に崩れ去るだろう」(31-32ページ)。また、カンブリア爆発やダーウィンの「忌まわしい謎」である被子植物の起源についても詳細に検討されました (53-68ページ)。さらに、ウィスターシンポジウムの「Mathematical Challenges to the Neo-Darwinian Interpretation of Evolution」から、シュッツェンベルジェのネオダーウィニズムへの反論が長々と引用されました (70ページ)。さらに、熱力学第二法則と進化論の問題との関連性についても議論されました (71-73ページ)。

 

彼の教職修士論文 (1974年) では、教師志望のグループの前で、高校で進化のトピックに関する賛否両論を、高校の1回45分の8回の授業でどのように教えることができるかを説明しました。この方法は、セミナーを担当していたシュライバー教授によって引き継がれました。

 

1991年、テュービンゲンでは、同大学の集団遺伝学教授であるディーター・シュペリヒと進化論について議論し、その後、聴衆と公開討論を行いました。生物学科のほぼ全員が参加しました (レーニヒの友人の一人によると、330人でした)。結果としてデザイン側が成功したことは、シュペリヒさえ認めました。

レーニヒの著作の例

引退したとはいえ、レーニヒは多作な著述家であり、最近の著作の例を挙げると以下があります。

彼のウェブページには、ダーウィニズムとIDに関するさらに多くの文章があり、その多くが科学雑誌に掲載されています。食虫植物に関する彼が共著した査読済みの科学論文は、私の2020年のビデオ「Why Evolution Is Different」の21:50から紹介されており、収斂と還元不能な複雑性の両方の現象を扱っています。食虫植物の罠は、マイケル・ベーエの「ネズミ捕り」のように、還元不能な複雑性の好例です。

 

彼の著作に共通しているのは、科学的詳細に大いに配慮していることです。マルコス・エベリンが言うように、「悪魔は細部に宿る」のです。ダーウィニズムが表面的にはもっともらしく聞こえるのは、実際の植物や動物の還元不能な複雑性を見るまでのことです。そうするなら、漸進的な発展という考えは崩れ去るのです。レーニヒの著作の多くは、ダーウィニストによってなされる主張に対する回答であり、しばしば彼らと直接やりとりをしています。イタリア語のインタビューの最後の数分で論じられたように、批評家の中には彼に怒りをぶつけたり、黙らせようとする人さえいますが、彼は批評家との直接の議論を避けたことはありません。彼はいつも、怒りではなく冷静な科学的論拠をもって回答しています。上記の指導教員のコメントにもあるように、レーニヒは多量の読書家でもあり、動物学や古生物学など、進化に関連する他の多くの分野にも精通しています。

インテリジェントデザインの歴史

レーニヒは、メキシコで行われた娘の結婚式には出席したものの、アメリカ国内を旅行したことがないためか、他の著名なID研究者に比べて、アメリカではあまり知られていません。しかし私の友人であるウォルフ-エッケハルトは、世界で最も信頼され、見識のあるID推進者の一人であるとともに、間違いなく開拓者の一人です。

 

レーニヒ博士は、私へのメールでこう付け加えています。「私自身の謙遜さを称賛したり誉めたりすることに関しては、むしろ読者の注意を、絶対的に素晴らしく独創的で賢明な、宇宙と生命の創造者に集めたいと思っています。しかし、インテリジェントデザインの初期の歴史という論題では、IDに関連した私の科学的キャリアの記録は明らかに適切であることに同意します。」