Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

ジャンクデザイン論はなぜジャンクサイエンスなのか

This is the Japanese translation of this site.

 

コーネリアス・ハンター
2022/1/24 16:32

 

2014年に私は、人間の網膜に関して当時イスラエルで行われた新しい研究についての記事を書きました。その研究によると、網膜のミュラー細胞は、波長依存の導波管として働き、視覚の鋭敏さを大幅に向上させるということでした。具体的には、ミュラー細胞は、波長の長い緑~赤の光を錐体光受容細胞に集め、波長の短い青~紫の光を桿体光受容体に通しています。言い換えると、入ってきた光は、単に網膜にある種々の光受容細胞全体に一様に振り分けられるのではなく、むしろ知的に方向づけられるのです。

 

錐体光受容細胞は動作が速く、色覚を提供しますが、感度が低いため、外部からの増幅の恩恵を受けています。一方、桿体光受容細胞は、主に波長の短い青紫色の光に感度があるため、緑赤色の光がフィルタリングされても、あまり失うものはありません。ミュラー細胞は、このために技術者がデザインしたかのように、漏斗状の構造を目の前方に向けています。しかし、この研究が重要なのは、自然界のデザインを実証したこと以上に理由があります。この研究は、進化論者の「ジャンクデザイン」論が、実はジャンクサイエンスから生じていることを明らかにしているのです。

イカと人間

自然界には何十種類もの目や視覚システムが存在しますが、不思議なことに、例えばイカとヒトは同じカメラアイのデザインを共有しています。このように遠く離れた種における印象的な類似性は進化にとって問題です。 なぜなら、仮にこれらのカメラアイのデザインが進化し得たとしても、別の点として、それがイカとヒトの共通祖先から受け継がれることはあり得ないからです。その理由の一つは、このように遠く離れた種の共通先祖とされるものが、カメラアイのデザインを持っているはずがないからです。そのため、進化の下で、この印象的で精細なカメラアイのデザインは、少なくとも2回独立して進化したはずです。

 

言い換えると、このデザインは進化の共通先祖モデルと矛盾します。セントジョージ・ジャクソン・マイヴァートは、この進化論の問題点に早くから着目していました。彼は1871年にこう書いています。

 

この理論 [ダーウィニズム] では、2つの類似した一連の微小な変異が独立かつ偶然に発生・保存され、それが2つの酷似した形態の独立した発達につながるという可能性がほぼ無限に大きくなる1

マイヴァート、1871年、71-72ページ

 

後代の科学が証明したように、マイヴァートは正しい道筋にいました。今日、このいわゆる「収斂」進化の例は、イカとヒトが共有するカメラアイのデザインなど、いたるところに見られます。このような例は、これらの種と環境の間の著しい違いを考えれば、マイヴァートならきっと認識したでしょう。

興味をそそる違い

しかし、カメラアイのデザインが引き起こす進化の問題はこれだけではありません。似ているようでいて、興味をそそる違いもあるのです。すなわち、目の奥にある網膜は、2つの種で正反対の設計になっています。例えば、イカの場合、光受容細胞の光に感応する先端が正面を向いています。言い換えると、入ってくる光線に面しています。光受容細胞の後方には神経細胞があり、電気信号を脳へと運びます。

 

一方、人間の光受容細胞は、光に感応する先端が奥にあり、手前に神経細胞などの支持細胞が林立する逆配置になっています。これは、神経細胞がメッセージを脳に伝えるために、ある点で網膜を潜り抜けなければならないことを意味しており、いわゆる盲点を引き起こしています。

 

進化論者の典型的な流儀は、これをジャンクデザインの一例として自信満々に明言するというものです。リチャード・ドーキンスはこのことを確信しています。光受容細胞の前にある神経細胞やその他の支持細胞によって引き起こされる減衰はわずかであるにもかかわらず、この有名な進化論者は、それは「きちんとした状態を好むエンジニアを怒らせるというのがものの道理だ!」と宣言しました。

 

同様に、進化論者のネイサン・レンツは、近視、遠視、緑内障、その他の病弊をデザインに反対する証拠として識別していますが、私たちの「逆方向」光受容細胞も、デザインに対する単純明快な反駁であると見なしています。この主張の正当化として、レンツは2015年に、「今日まで、脊椎動物の網膜がなぜ逆方向に配線されているのかについての作業仮説は存在しない」と書きました。

 

これは一周して、網膜のミュラー細胞が波長依存の導波管として働き、私たちの視覚を大幅に向上させることを示唆する研究についての私の2014年の記事に戻ってきます。ミュラー細胞は、光受容細胞の前にあることを思い出してください。そう、これらは、ドーキンスやレンツや進化論者によれば入ってくる光をブロックしているその細胞の一部なのです。

問題が分かりますか?

マイヴァートの収斂進化の問題に加えて、カメラアイのデザインはさらに甚大な問題を引き起こしています。いわゆる「逆方向」光受容細胞は、進化論者とその失敗したアプローチを罠にかけています。

 

第1の、そして最も明白な失敗は、進化論者の科学に対する無知にあります。もちろん、ヒトの光受容細胞の向きについては、「作業仮説」が存在していました。そして、2014年の研究は決して最初のものではありませんでした。

 

第2の、より微妙な失敗は、進化論的思考を駆り立てる形而上学にあります。ドーキンスやレンツや進化論者が光受容細胞の向きを「逆方向」と呼び、レンツが今や、ミュラー細胞の途方もない導波機能 (および私たちの網膜における他のそのような能力) を「代償」メカニズムと呼んでいることです。

「制約」ではなく「特徴」

しかし、これは科学的ではありません。これには何一つ経験的な証拠がありません。科学的な観点から見て、デザインが「逆方向」であるという証拠はありません。また、導波機能が代償メカニズムであるという証拠もありません。実際、ある人がコメントしたように、「網膜の奥に光受容細胞があるのはデザインの制約ではなく、デザインの特徴である」というのが真っ当な見方です。

 

これらすべては、進化論者が科学に課している非科学的で形而上学的な信条から来るものです。進化論は決して科学についてのものではなく、私たちは、進化論者の「ジャンクデザイン」論が、実際にはジャンクサイエンスであることをいかに明らかにしているかを知ることができます。一方、インテリジェントデザインは、形而上学的な解釈を課すことなく、自然界をありのままに観ています。

注釈

  1. セントジョージ・ジャクソン・マイヴァート、1871年。『On the Genesis of Species』、ロンドン: マクミラン