Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

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鳥が生きている恐竜ではない10の理由

This is the Japanese translation of this site.

 

ウォルフ-エッケハルト・レーニヒ

2021/4/14 6:56

 

編集部注:「鳥は進化した恐竜から直接派生したものなのか、それとも近縁の恐竜のいとこなのか?」これは、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の進化生物学者であるアラン・フェドゥーシアの近著『Romancing the Birds and Dinosaurs: Forays in Postmodern Paleontology』で取り上げられている魅力的な質問です。これに対し、マックス・プランク植物育種研究所の遺伝学者ウォルフ-エッケハルト・レーニヒが、独特のスタイルでレビューを寄せており、それ自体に素晴らしい学識の一端が表れています。私たちの友人であるレーニヒ博士は、彼のキャリアの中で「おそらく私が書いた中で最も長い書評」だと述べています。レーニヒの新しいインタビューを紹介する中で、数学者のグランヴィル・セウェルが昨日述べた、「インテリジェントデザイン論者がダーウィニズムに批判的なのは、遺伝学や進化論に十分に精通していないからにすぎないと言う人たちに、私は2語 (3語と言うべきか?) で答えましょう。ウォルフ-エックハルト・レーニヒです」という言葉は、まさにその通りです。レビュー全体はこちらでお読みください。しかしすぐに本題に入りたい方は、ここにあるレーニヒによる簡単な要約をご覧ください (引用は省略)。「Summing Up Some Key Points: Why Birds Are Not Living Dinosaurs」からです。

 

(1) (a) 情報を生み出すDNAの「マクロ変異」、すなわち、多くの遺伝子における多数のヌクレオチドの「偶然に調整された」置換により、たった一段階で全く新しい統合組織化された (明示的および/または還元不能なほど) 複雑な生物学的構造を作り出す遺伝的跳躍、さらに、(b) 実質的に新しい情報を生み出し、全体として属、科、目などの間のギャップを埋める大進化的変化をもたらす、遺伝暗号以外のコード (エピジェネティック、RNAスプライシングコード、糖コード、膜コード、生体電気コード) のランダムな変化による突然変異は、これまでに観測されたことがありませんあまりにもあり得ないことなので、進化論者がこのような正のマクロ変異を仮定することは、奇跡を受け入れるに等しいのです (「奇跡とは、ダーウィン主義者にとって、自身の理論の枠組みの中では超宇宙論的にあり得ないという見地から不可能に見えるはずの事象です」- マルセル・ポール・シュッツェンベルジェ)。「これら (跳躍進化) は、全く不毛な疑似解決策であることが証明されており、現代の進化論や現代の遺伝学を理解している人たちは異口同音に否定している」 (エルンスト・マイヤー)。正のマクロ変異の目的論的な意味合いについては、上記のグールドをご覧ください。

 

統合組織化された新しい構造や機能の起源として正のマクロ変異に頼ることはできませんが、機能喪失型突然変異による表現型の激しい跳躍は、島嶼部の個体群、特に鳥ではよく見られるようです (上記の例を参照)。しかしこのような機能喪失は、恐竜と鳥の間の溝を橋渡しすることはできません。とはいえ (フェドゥーシアによると)、鳥が飛行能力を失った過程や、二次的に飛べなくなった鳥が恐らくは、そして不当にも、鳥への進化途上にある恐竜と混同されてきた理由を説明できるかもしれません。

 

(2) 「表現型にわずかな、あるいは目に見えないほどの影響しか与えない」(マイヤー) 突然変異による「無数のわずかな変異」、「極めてわずかな変異」、「限りなく小さな遺伝的変異」などの漸進主義も、統合組織化された新しい構造や原始的な種の起源を説明するためには、全く無効/無力/無根拠であることが判明しました。漸進主義の前提条件が、古生物学的事実とは著しく/極度に/甚だしく矛盾していることは、過去と現在の多くの古生物学者によって指摘されています。

 

(3) 自然選択は、「適者生存は説明できるが、適者到来は説明できない。」「生存競争は創造できるか?根絶やしにすることはできるし、しなければならない、つまり殺すのだ。しかし、何かを創造することはできない。ちょうど、ふるいが新しい穀粒を作ることができず、既存の穀粒をふるいにかけることしかできないのと同じである。」(ニルス・ヘリベルト・ニルソン)

 

(4) 分岐学。「最近、生物学者のラインハルト・ユンカーが『Vogelmerkmale bei Dinosauriern — Vorläuferstadien oder Konvergenzen?』(Studium Integrale、2020年10月、68-77ページ) という論文で分析しているように、・・・大きな問題の一つは、脊椎動物では収斂が優勢な現象であることである」(分岐系統学を前提としています)。

 

(5) ドロの法則。「生物は、その一連の祖先においてすでに実現された元の状態には、部分的にでも戻ることはできない。」恐竜から鳥が生まれたという仮説は、この法則に大きく反していることを示唆しています。恐竜の非常に短い腕は、はるかに長い腕から派生したものであり、鳥になるために再び大きく伸長されたはずです。しかし、現存する鳥でも、「二次的に飛べなくなった鳥が翼を再伸長させ、それによって飛翔能力を再進化させた例はなく、恐竜も同様であると考えられる」とのことです。

 

(6) 鳥と恐竜の手。「我々の『Science』誌の論文では、どのような発生学的基準から見ても、鳥類の手は真ん中の3本の指、II-III-IVで構成されていることを決定的に論証した」(142ページ) のに対し、獣脚類ではI-II-IIIです。ホメオティックフレームシフト仮説を支持するような明らかな選択的有利性はなく、「また、もしこのような劇的な変化が一般的であれば、ほぼすべてが骨格形態に基づいている古生物学的分岐学を系統発生を解決するために使用することは否定されるだろう」(フェドゥーシア)。

 

(7) 系統発生の混乱。上に詳しく示したように、シノサウロプテリクス (最古のはずですが、白亜紀前期から発見されています) から始まる恐竜から鳥への仮説の系統発生順序は、古生物学的記録に対して通常与えられている年代と驚くほど食い違っています。

 

(8)「始祖鳥はほぼすべての解剖学的基準から見て、依然として飛翔可能な鳥である」。

 

(9) 現代の鳥の科や目が、現在よりもさらに豊富で広範な形で、始新世の地層に突如として現れたこと (鳥の進化の「ビッグバン」) は、知的で独創的なデザインを物語っています (一方で、「限りなく小さな遺伝的変異」や遺伝的跳躍は等しくありえません)。

 

(10)「デ・ビーアの公理は今でも有効だと私は信じる。羽毛と鳥類の飛翔翼を持っていれば、それは鳥なのだ」(強調はフェドゥーシア、2020年、312ページ)。