Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

https://evolutionnews.org/ の記事を日本語に翻訳します。

メタンが宇宙人をもたらす?

This is the Japanese translation of this site.

 

Evolution News | @DiscoveryCSC
2021/7/23 6:39

 

科学は、制御された実験によって観察された証拠を厳密に検証することで、想像力を覆すことができるはずです。今日の教科書では、17世紀にヴァン・ヘルモントが考案した、小麦と汚れたシャツからネズミを作り出すレシピや、腐った肉がウジを産み出すという当時の信条などにより、経験的厳密さの欠如が例示されています。マクロの自然発生は、1668年にハエが肉に止まらないように制御した実験をフランチェスコ・レディが行ってすぐに廃れましたが、微生物の自然発生という信条は、1864年ルイ・パスツールが白鳥の首の形のフラスコを使って有名な実験を行うまで、さらに2世紀も存続しました。パスツールは、「この単純な実験が加えた致命的な打撃から、自然発生の学説は二度と回復しないであろう」と誇らしげに発表しました。

 

パスツールダーウィニズムに精通していましたが、ダーウィン主義者の想像力の強さを過小評価していました。20世紀に入ると、自然発生は「化学進化」の旗印の下に再び大声を上げました。化学と数学の途方もない問題があるにもかかわらず、世界中のほぼすべてのエリートたる科学の研究室や研究機関では、1世紀後の今でもこの説が主流となっています。ダーウィン主義者は、頭の中で踊る暖かい小さな池のイメージに魅せられて、化学進化は古い自然発生の信念とは違うと主張します。しかし、本当にそうでしょうか?彼らはネズミのレシピの代わりに、細胞のレシピを持っています。単純な気体が生命に変わるのです。

 

ジョナサン・バートレットは先月、Mind Mattersに「20年経った今でも、異星人が地球温暖化をもたらしている」という記事を書きました。バートレットの主題は、2001年にマイケル・クライトンカリフォルニア工科大学の学生に向けて行った有名なスピーチ「異星人が地球温暖化をもたらす」をもじったものです。これは、科学者が想像力を働かせて、コンセンサスの支持を集めるような疑似科学的な主張をしていることへのパンチの効いた論駁でした。厳密さを欠いた想像力がいまだに学術界の一部に君臨していることを示すために、太陽系内の生命に関する最近のヘッドラインに証拠を提供してもらいましょう。

メタンが宇宙人をもたらす

この文章では因果関係の連鎖が逆になっているように見えますが、「メタンが宇宙人を信じる原因になっている」と補足すると意味が通じます。進化論者の想像の中では宇宙人は、メタンの検出がきっかけで出現します。

 

長年にわたり、火星の大気中にメタンが検出されることで惑星科学者たちは困惑してきました。微量のメタンガスは、時間の経過とともに増減しているようです。地球上のメタンの主な発生源は (熱水噴出孔の微生物や牛の鼓腸などの) 生物学的なものなので、研究者の中には火星のメタンは微生物の兆候なのではないかいう思い付きに飛びついた人もいました。

 

この反応は現在も続いています。ジョナサン・オカラガンは『New Scientist』誌に、「Microbes burping methane on Mars may be right next to NASA rover」という記事を書きました。2012年から火星表面にいるローバー「キュリオシティ」は、バックグラウンドレベルで10億分の1以下のメタンを測定しています。しかし、6回にわたってそのレベルが10倍に急上昇したことがあり、科学者たちはその原因を解明していません。

 

我々はまだそれに近づけていないが、火星のメタンが検出可能な期間は300年程度と予想されており、火星にメタンが存在し続けているということは、「現在、何かがメタンを産み出していることを示している」とムーアは言う。小惑星や彗星が火星に衝突した際の地質学的なものという可能性もあるが、生物学的起源という予想もまだ可能性が残っている。[強調追加]

 

進化惑星科学者は、多様性と包括性を支持します。彼らは、メタンが他の天体で宇宙人を引き起こすことも許容しています。「土星の衛星エンケラドゥスの噴出物に含まれるメタン: 生命の痕跡の可能性?」と、アリゾナ大学が太字で思わせぶりに述べているように。

 

エンケラドゥスから噴出する巨大な水蒸気は、科学者や一般の人々を等しく魅了し、その衛星の岩石質の核と氷の殻に挟まれていると信じられている広大な海についての研究や憶測を呼んできた。この噴出物の中を飛行し、その化学組成をサンプリングした探査機カッシーニは、地球の海底にある熱水噴出孔に関連する特定の分子、すなわち二水素、メタン、二酸化炭素を比較的高い濃度で検出した。特に噴出物に見いだされたメタンの含有量は予想外だった。

 

「私たちが知りたかったのは次のことです。二水素を「食べて」メタンを産出する、地球にいるような微生物によって、カッシーニが検出した驚くほど大量のメタンを説明できるでしょうか?」と、アリゾナ大学生態進化生物学科の准教授で、本研究の二人の筆頭著者の一人であるレジス・フェリエールは述べた。

 

この生命への飛躍で注目に値するのは、「地球上では、熱水活動によってメタンが産出されることはあっても、その速度は遅い」と彼らが認めていることです。したがって、この推論の飛躍は、メタン産出の速度に依存することになります。しかし、衛星における初期メタン濃度や、重力、pH、温度の違い、およびエンケラドゥスに特有の未知の化学的または物理学的過程など、他の非生物学的要因がその速度に影響を与える可能性があります。

 

また、メタン (CH4) は単純な分子 (最も単純な炭化水素) であり、太陽系ではガス惑星内部などに普通に存在することも忘れてはなりません。メタンは、タイタンの大気中に2番目に多く含まれる気体です。同じ惑星科学者たちは、太陽系を形成した惑星ディスクにメタンが存在していたとも考えています。今のところ、微生物による説明に飛躍するのは無理があると思われます。

ホスフィンが宇宙人をもたらす

昨年9月、太陽系全体で最も人を寄せ付けない惑星の一つである金星に、生命が存在する可能性が高いという息を呑むような見出しが報じられました。証拠は?2つの電波望遠鏡のスペクトルで、雲の中にホスフィンが検出されたのです。ホスフィン (PH3) は、有毒かつ有臭のガスで、地球上では生物学的にしか産出されないことが知られています。『The Conversation』では、惑星科学者のモニカ・グラディが想像上の不思議の国に飛び付く記者たちの行列に加わりました。「金星: 本当は生命が潜んでいる?」と彼女は書いています。「新しい研究は驚きをもたらします」。

 

この分子 (ホスフィン) は、酸化の過程で急速に破壊されるため、地球の大気中には1兆分の1以下の微量しか存在しません。それにもかかわらず、酸化的な大気中にこの分子が存在しているのは、微生物によって継続的に産出されるからです。つまり、岩石質の惑星の大気中にホスフィンが存在することは、生命の強力な兆候であると提唱されています

 

グラディは、他の分子を排除したと主張する科学者を信用していました。

 

そのため、この分子の全体的な濃度が地球の約1,000倍高いという発見は、驚きに値するものでした。実際、著者たちは私が見た中で最も詳細に、法医学的な解剖のように自分たちのデータを分析しました。

 

ここに記されているように、法医学はインテリジェントデザイン科学の活動の一形態です。グラディはシャーロック・ホームズを演じています。「不可能を除去して残ったものは、それがどんなにありえないことでも、真実に違いない」。ここでの疑問は、この法医学的演習での確率論的研究が十分に詳細であったかどうかです。4原子の分子と生きた細胞では天文学的な差があります。

 

残念ながら、生物学的な説明は消えつつあります。ワシントン大学の科学者たちは1月に「やはりホスフィンではなかった」と言っていました。「金星のホスフィンと言われているものは、普通の二酸化硫黄である可能性が高いことが新しい研究で明らかになった」。 科学者たちは、「二酸化硫黄は金星の大気中で3番目に多い化合物であり、生命の兆候とは考えられていない "ことをずっと前から知っていた」とのことです。

 

どうやら全ての人が同意しているわけではなく、未だにスペクトルをホスフィンと解釈することに固執している人もいます。しかし、仮に金星にホスフィンがあるとしても、リア・クレインは『New Scientist』誌で、去年検出されたのは「生命ではなく火山の兆候かもしれない」と書きました。コーネル大学の2人の科学者、ジョナサン・ルニンとチュオン・グォクは、ホスフィンは「金星の生物学について語っているのではありません。地質学について語っているのです」と書いています。

 

「火山活動によって、ホスフィンを生成するのに十分な量のリン化物が供給される可能性があります」とチュオンは述べた。「化学的には、ホスフィンは生物由来ではなく、金星の爆発的な火山由来であることが示唆されています」。

 

いずれにしても無理がありました。ワシントン大学のチームは、「金星のホスフィンは、しばしば『地獄のような光景』と簡潔に喧伝されるこの惑星が、その酸性の雲の中に何らかの形で生命を宿しているのではないかという噂を生んだ」と認めています。科学には噂よりも厳密さが必要です。

最良の説明への推論

生命の示唆に飛び付いた科学者たちは、「異常な主張には異常な証拠が求められる」というカール・セーガンの格言を忘れてしまっているようです。確かに、デザインの推論では、まず自然の原因を排除する必要があります。ケイシー・ラスキンがここで書いたようにインテリジェントデザインは、その確率を普遍的確率限界と確率を比較することで測定できます。地球についての限界が232ビットの情報量であるのに対し、単純な一つのタンパク質の確率は少なくとも245ビットであり、偶然は排除できます。火星、金星、エンケラドゥスには地球よりもさらに少ない確率資源しかないので、メタンやホスフィンに対する生物学的原因を排除するのは簡単なはずでした。残念ながら、過剰な想像力や希望的観測が、健全な推論の邪魔をしてしまうことがあります。