Japanese Translation of EVOLUTION NEWS & SCIENCE TODAY

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カーン・アカデミーのビデオ「Evidence for Evolution」はウマの化石の偽の系列を推す

This is the Japanese translation of this site.

 

ケイシー・ラスキン
2022/2/9 9:33

 

私はカーン・アカデミーのビデオ「Evidence for Evolution」をレビューしているところですが、このビデオは、生物学的起源について著しく時代遅れの科学で学生や教師を誤導しています。先日の私の2つの投稿 (こちらこちら) をご覧ください。生物学者のジョナサン・ウェルズが「進化のイコン」と呼ぶもの、つまり、ずっと以前に信用を失ったものの決して消え去ってはいない証拠の数々をこのビデオが扱っていることを詳しく述べています。相同性に基づく共通先祖についての循環論法を用いた後、カーン・アカデミーのビデオはもう一つの進化のイコン、ウマの化石を推そうとします。

 

カーンは、ウマの化石のある種から次の種へとまっすぐな矢印を描き、「絶え間ない変化の存在を私たちは化石の記録を通して直接見ることができます」と言っています。ビデオでは、岩石の地層の連続的な断面を示し、そこに線を引いて、あたかもこの「漸進的」な一連のウマが、同じ単位で、つまり同じ場所で長い期間にわたって発見され、したがって、「非常に、非常に緩やかなペースで」進化が働いているように見せることさえしています。

古典的系列の問題点

しかし、この有名な系列において、ウマの化石は一直線に進化するわけでもなく、同じ場所で見つかるわけでもなく、変化の方向が連続的であることを示してもいません。ジョナサン・ウェルズは、著書『進化のイコン』でこのことに取り組んでいます。

 

一九二〇年代にはすでに、ウマの進化はマーシュの直線的な絵より、はるかに複雑であることが明らかにされていた。古生物学者ウィリアム・マシューと彼の研究室生ルーベン・スタートンは、いくつかのウマの絶滅種はプロトヒップス (Protohippus) と共存していたこと、ウマは歴史的にいくつかの大陸に跨って行き来していること、の立証をした。ウマの化石記録は、まっすぐに並んだ経路よりも、ダーウィンの枝分かれする樹に近いように見えた(図10-2)。

 

一九四四年にシンプソンは、「ウマの進化の一般的な考え方は、現在の定向進化の考え方とはかけ離れている」と述べた。特にその分岐する樹のパターンは「内在的な直線による考え方と全く矛盾するものだ」。さらに、シンプソンによれば、定向進化を支持するかのように思われていた諸傾向は錯覚であった。例えば、大きなサイズに向かう傾向は、絶滅した他の分岐種のすべてに見られないし、あるものは実際には逆方向の小さくなる方に向かっている。ウマの進化の修正図でさえ単純化しすぎている。とりわけミオヒップス (Miohippus) は、化石記録では現実にメソヒップス (Mesohippus) の前に現れている――その後で存続はしているが。

 

修正されたにもかかわらず、ウマの進化の絵にはいまだに、ヒラコテリウム (Hyracotherium) とその想定された子孫、さらに現在のウマまでをつないだ系統ラインが含まれている。

― 273ページ

 

ここでウェルズは、ウマの中間体の古典的な系列を批評していますが、同様の問題がカーン・アカデミーの物語を悩ませています。ビデオでは、ある種から次の種へまっすぐな矢印が描かれ、メリキップスが「1600万年〜1200万年前」に生息し、すぐに「1200万年〜500万年前」に生きたプリオヒップスに引き継がれたかのように誤解させています。直線は、先祖種と子孫種がきれいにきちんと連続することを示唆しています。

 

現実はもっと複雑です。オンライン古生物学データベース『Fossilworks』では、メリキップスは1597万年前から533万2千年前まで、プリオヒップスは早ければ1597万年前からつい490万年前までとされています。このデータベースにおける学名命名法には多少の矛盾があるかもしれませんが、要点は、これらの分類群が時間的に著しく重なっていることは間違いなく、ある種が他の種を、何らかのきれいな、きちんとした、漸進的な直接先祖-子孫の直接的な進化の順序に沿って「継承」したのではないということです。

この系列が真実であったとしても

ウマの系列に基づく論議の最大の問題は、それが偽の系列であることではなく、仮にそれが真実の系列であったとしても、大規模進化を示していないことでしょう。カーンでさえ、古典的な系列の化石のいくつかは互いに「非常に近い」ように見えると認めています。この論題について、カリキュラム「Discovering Intelligent Design」は次のように述べています。

 

ある進化生物学者が「ウマは進化の申し子だ」と主張したように、ウマもまたマクロ進化を支持する化石としてよく引き合いに出される一群の化石である。教科書や博物館にはしばしばウマの化石を示す図が展示されている。典型的には、4本指の小さな動物から始まり、大きくなっていき、足指がなくなり、系列の最後で蹄を持つ現代のウマになる。

 

ウマのボディプランが系列全体で大きな進化を遂げていないことはさておき、この進化物語には著しい問題がある。それは、これが架空の系統であるということだ。実際の化石記録では、初期のウマの方が後期のウマより大きいものがある。さらに、想定される系統で描かれる化石は、広大な海域を隔てた異なる大陸にまたがっている。

 

場所と順序の両方が、しばしば描かれるような進化の系列と矛盾しているのである。著名な進化論のウェブサイトでさえ、ウマの化石は単に「系統樹の枝を表しており、現代のウマにつながる直系の由来を表してはいない」と認めている。

 

これに返答して、ダーウィニズムの擁護者の中には、乱雑で枝分かれした進化系統樹は、それでも進化を実証していると言う人もいるであろう。そうかもしれないが、しかしそれならなぜ教科書や博物館はウマの化石の記録を操作する必要を感じるのだろうか?

 

ナイルズ・エルドレッジはこの系列を「思弁的」と呼び、「教科書の中で次々と文字通りの真実として提示されてきた」ことを「嘆かわしい」と思っている。同様に、進化のある専門書は、ウマの進化の古典的な描写を「正確ではない」と呼び、それらが「ウマより図表を優先した」と認めている。

― 179-180ページ

藁人形への攻撃

相同性と同様に、カーンは創造に反対する無目的論的な議論に頼っています。彼はこう述べています。「これは進化の強力な証拠です。私たちが今日見ている動物は、単に突然創造されてそれ以来変わっていないのではありません」。ここで、カーンは藁人形を攻撃しています。私がこれまで会ったダーウィン懐疑論者は、種や分類群がサイズの変化を含む小規模な変化を遂げることは有り得ないとは言っていません。たとえウマが進化を遂げたとしても、それは小規模な変化です。それで、この話はカーン・アカデミーが見せかけているよりもずっと複雑なだけでなく、ダーウィン的でもマクロ進化論的でもないのです。

 

似たようなことは、ビデオの最後に、進化の証拠として抗生物質耐性を挙げているところにも出てきます。確かにこれは進化の一例ですが、私の知る限り、ダーウィン懐疑論者で抗生物質耐性が起こることや、それが今日の医学における現実の問題であることを否定する人は誰もいません。しかし、私が別のところで説明したように (「Antibiotic Resistance Revisited」をご覧ください)、これも小規模な進化であり、新しい特徴を生み出さず、重要な特徴を頻繁に破壊し、抗生物質耐性生物に適応コストを強要します。この小規模な変化の証拠は進化の証拠かもしれませんが、カーン・アカデミーが視聴者に信じさせたいようなダーウィン的なマクロ進化とは異なります。

 

さらに、進化する細菌や癌細胞の裏をかく薬を創造するために、生物医学研究者はインテリジェントデザインの過程を用いなければなりません。彼らは、生物が自身で進化できる程度には限界があるという事実を当てにして薬物カクテルを創造します。抗生物質耐性菌は、ダーウィン理論の証拠となるどころか、マイケル・ベーエが「進化の端」と呼ぶ、それを超えると無誘導のダーウィン的過程が無力になる限界を示しています。

 

次に、ビデオに登場するもう一つの進化の古き陳腐な話、ヒトとチンパンジーの遺伝的類似性に基づく共通先祖の論議について検証して、このシリーズを締めくくることにします。

進化のイコン

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